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【 旅と温泉グルメ しゃぶれどもしゃぶれども(番外編) 】
17: 「破門」と堺の「銀シャリ屋 ゲコ亭」
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アンは、2015年に俳優の北村一輝さんとの濱田岳さんのダブル主演で放映されたTVドラマの「破門(疫病神シリーズ)」が大好きなんです。
このドラマの原作は、黒川博行氏の作品『疫病神』から始まった、桑原・二宮の悪党コンビのすったもんだを描く疫病神シリーズの5作目、「破門」に該当します。
アンの場合、このドラマを視聴し始めた頃には、まだ黒川氏の原作を読んでいませんでした。
後に疫病神シリーズの全てを読んで、改めて「桑原・二宮」ファンになった次第です。
そして、ドラマ・原作と言う順で、この疫病神シリーズに出会えたことに感謝してるんです。
往々にして小説などの原作ありのドラマでは、それを演じる俳優さんの選定や登場人物のキャラ造形に問題が起こる事が多いようですが、「破門」については、まったく逆のような気がします。
原作でも、主人公である桑原・二宮のひととなりをリアルに描写した箇所が沢山あるんですが、それでも、その顔が余り浮かんでこないんですよね。
つまり、それだけ桑原・二宮の二人の個性が強烈過ぎるということでもあるし、同時に、この二人は意外にも「巷の人々の誰でもあり得る姿」なんだってことなんです。
他の書評では、あまり書かれていませんが、桑原や二宮の魅力って、普通の男の子なら一度は格好良い「不良」に憧れるような時期があって、大人になっても大部分の男性はその心を捨てきれないんだと思います。
でも「はい、そうでしたか、でしたらこの物語はどうでしょう?」って感じで、リアルさの欠片もないものを、小説やドラマで提示されても、人生経験を積んだ大人には通用しない。
桑原と二宮の二人が巻き起こすトラブルドラマは、それを上手くかなえているような気がします。
だから桑原と二宮の二人は、唯一無二であると、同時に誰でも有り得る。
それがこの小説の醍醐味でもあるんですけれど、逆にこの二人の放つ、いかにも人間臭い魅力は、もしこの二人が具体的な血肉を持った人間として、目の前に現れたら、きっと「かなんだろうな(嫌だろうな)」と思います。
魅力的だけど、この二人とつき合うのはどうもな、安全圏で彼らの生き様を眺めていたい(笑)。
今から思うと、そんな願いを見事に実写(実在)化して、叶えてくれていたのがドラマ「破門」でした。
ですから今でも黒川博行氏の原作を読む時に、アンの頭の中で暴れまわっているのは、いつも北村一輝さんの桑原保彦であり、濱田岳君の二宮啓之なんです。
そして原作を読むたびに、「破門」は本当に良くできたエンタメドラマだったんだなと改めて思うのです。
このドラマをリアルタイムで見ていた当時は、「破門」って大ブレイクするんじゃなかと思ってたんですけど、評価は高くても、伝播率がイマイチでした。
大阪弁にアレルギーをお持ちでないなら、このドラマ、お勧めなんですけどね。
やっぱり「全部まるごと大阪弁」が行けなかったんでしょうか?
「破門(疫病神シリーズ)」 第4話を見てる時に、深夜営業の天ぷら屋食堂「大吉」さんが登場しました。
「深夜食堂」みたいな感じの営業時間帯の中、エネルギッシュに活動してるこの天ぷら屋食堂さん、人気のあさりの味噌汁は、なぜか貝殻を床にペッって感じで落とすのが定番になっているらしく、桑原がツウな感じで、それをやってるシーンがいかにもって感じです。
(「破門」は大阪グルメのドラマでもあるんですが、その話題は機会があればいずれ詳しく。)
でこのシーンを見ながら「そう言えば、他の堺のグルメって、なんだろう?」って暫く考えてました。
堺は地名で書くとナニワオオサカと区切れた感じが、しますが、もちろん、地勢的には普通に地続きで、特になんて事はない所です。
まあ敢えて言えば、ホオチョーが有名?(笑)ってな位で、だからグルメたって、「こら、秋田名物八森ハタハタ、男鹿で男鹿ブリコ、アーソレソレ♪」なんてのは堺にはありません。
第一、正直言って現在の日本で、一応「都会」と位置づけられる場所の食べ物レベルって均一化されてると思いません?
その差を付けるのは距離や位置じゃなく、「値段」だけみたいな(笑)。
ただずっと昔、堺の「銀シャリ屋 ゲコ亭」っていう大衆食堂さんの白いゴハンが超絶美味しい!って話を聞きつけて、わざわざ食べに行った事があります。
(昔からね、色々、冷めてるワリにはミーハーなんです。)
実際、長靴をはいた下着姿のオジサンが工場の裏庭みたいな雰囲気の場所で大釜を用いてゴハンをガンガン大量生産する光景を見ました。
大衆食堂の裏舞台なので、そんなに驚く程でもなかったんですが、その時、思ったのが、口コミとかが「物事」に付与する「価値」って凄いなーとは思いましたね。
到達してくる情報は「米のうまさを究極まで引き出した拘りの銀しゃり」とかなんですが、大衆食堂がそんな求道者みたいな事に拘ってたら商売成り立ちませんて。
『店を繁盛させる、その為に「旨い飯」を炊く』、ただその一点から全ては始まるんです。
で実際、食べて見た感想なんですが、「まずくはない、普通レベル以上。美味しい、でも世間がそれ程、騒ぐ味じゃない。料理のすっごく上手なお母さんなら普通米でもこれくらい炊いちゃうかも?」でした。
言ってはなんですが、料亭に行ってそれなりのお金をはらってご飯を食べたら、このレベル以上の「美味い銀しゃり」は幾らでも食べられます。
ネックは、そう、「大衆食堂で普通の値段で美味い銀しゃりが食べられる」って事です。
多少のガッカリ感と、改めての現実認識というか「勉強させて貰いました感」を感じながら、ゲコ亭を去った思い出があります。
でそのゲコ亭どうなってるの?って思って調べてみたら、なんとあのご飯炊きのオジサン、お店は途中で引退、中国に招かれて「ご飯炊きの講師」をしてらっしゃって、最近、帰国なされたとか。
あの当時でも、結構、お年を召された感じでしたから、もうご高齢でしょうね。
でも又、厨房には復帰なさるとか、すごい。
店の方は2013年に飲食チェーンに引き継がれたとありますから、このご時世には逆らえず自力単独経営は難しかったのかな?と勝手な妄想を抱いていますが、「銀シャリ屋 ゲコ亭」ってのれんが残る事自体凄いことだ思いますよ。
それに食べ物サイトなんかで検索をかけると、今でも「ゲコ亭」は、ずーっと、あの頃の「飯が旨い」系の評判が途絶える事なく乗り続けてるのもすごいなーと。
新「銀シャリ屋 ゲコ亭」でも、飯炊き技術継承?だったって事なのかな。
その点では、良い話ですね。
このドラマの原作は、黒川博行氏の作品『疫病神』から始まった、桑原・二宮の悪党コンビのすったもんだを描く疫病神シリーズの5作目、「破門」に該当します。
アンの場合、このドラマを視聴し始めた頃には、まだ黒川氏の原作を読んでいませんでした。
後に疫病神シリーズの全てを読んで、改めて「桑原・二宮」ファンになった次第です。
そして、ドラマ・原作と言う順で、この疫病神シリーズに出会えたことに感謝してるんです。
往々にして小説などの原作ありのドラマでは、それを演じる俳優さんの選定や登場人物のキャラ造形に問題が起こる事が多いようですが、「破門」については、まったく逆のような気がします。
原作でも、主人公である桑原・二宮のひととなりをリアルに描写した箇所が沢山あるんですが、それでも、その顔が余り浮かんでこないんですよね。
つまり、それだけ桑原・二宮の二人の個性が強烈過ぎるということでもあるし、同時に、この二人は意外にも「巷の人々の誰でもあり得る姿」なんだってことなんです。
他の書評では、あまり書かれていませんが、桑原や二宮の魅力って、普通の男の子なら一度は格好良い「不良」に憧れるような時期があって、大人になっても大部分の男性はその心を捨てきれないんだと思います。
でも「はい、そうでしたか、でしたらこの物語はどうでしょう?」って感じで、リアルさの欠片もないものを、小説やドラマで提示されても、人生経験を積んだ大人には通用しない。
桑原と二宮の二人が巻き起こすトラブルドラマは、それを上手くかなえているような気がします。
だから桑原と二宮の二人は、唯一無二であると、同時に誰でも有り得る。
それがこの小説の醍醐味でもあるんですけれど、逆にこの二人の放つ、いかにも人間臭い魅力は、もしこの二人が具体的な血肉を持った人間として、目の前に現れたら、きっと「かなんだろうな(嫌だろうな)」と思います。
魅力的だけど、この二人とつき合うのはどうもな、安全圏で彼らの生き様を眺めていたい(笑)。
今から思うと、そんな願いを見事に実写(実在)化して、叶えてくれていたのがドラマ「破門」でした。
ですから今でも黒川博行氏の原作を読む時に、アンの頭の中で暴れまわっているのは、いつも北村一輝さんの桑原保彦であり、濱田岳君の二宮啓之なんです。
そして原作を読むたびに、「破門」は本当に良くできたエンタメドラマだったんだなと改めて思うのです。
このドラマをリアルタイムで見ていた当時は、「破門」って大ブレイクするんじゃなかと思ってたんですけど、評価は高くても、伝播率がイマイチでした。
大阪弁にアレルギーをお持ちでないなら、このドラマ、お勧めなんですけどね。
やっぱり「全部まるごと大阪弁」が行けなかったんでしょうか?
「破門(疫病神シリーズ)」 第4話を見てる時に、深夜営業の天ぷら屋食堂「大吉」さんが登場しました。
「深夜食堂」みたいな感じの営業時間帯の中、エネルギッシュに活動してるこの天ぷら屋食堂さん、人気のあさりの味噌汁は、なぜか貝殻を床にペッって感じで落とすのが定番になっているらしく、桑原がツウな感じで、それをやってるシーンがいかにもって感じです。
(「破門」は大阪グルメのドラマでもあるんですが、その話題は機会があればいずれ詳しく。)
でこのシーンを見ながら「そう言えば、他の堺のグルメって、なんだろう?」って暫く考えてました。
堺は地名で書くとナニワオオサカと区切れた感じが、しますが、もちろん、地勢的には普通に地続きで、特になんて事はない所です。
まあ敢えて言えば、ホオチョーが有名?(笑)ってな位で、だからグルメたって、「こら、秋田名物八森ハタハタ、男鹿で男鹿ブリコ、アーソレソレ♪」なんてのは堺にはありません。
第一、正直言って現在の日本で、一応「都会」と位置づけられる場所の食べ物レベルって均一化されてると思いません?
その差を付けるのは距離や位置じゃなく、「値段」だけみたいな(笑)。
ただずっと昔、堺の「銀シャリ屋 ゲコ亭」っていう大衆食堂さんの白いゴハンが超絶美味しい!って話を聞きつけて、わざわざ食べに行った事があります。
(昔からね、色々、冷めてるワリにはミーハーなんです。)
実際、長靴をはいた下着姿のオジサンが工場の裏庭みたいな雰囲気の場所で大釜を用いてゴハンをガンガン大量生産する光景を見ました。
大衆食堂の裏舞台なので、そんなに驚く程でもなかったんですが、その時、思ったのが、口コミとかが「物事」に付与する「価値」って凄いなーとは思いましたね。
到達してくる情報は「米のうまさを究極まで引き出した拘りの銀しゃり」とかなんですが、大衆食堂がそんな求道者みたいな事に拘ってたら商売成り立ちませんて。
『店を繁盛させる、その為に「旨い飯」を炊く』、ただその一点から全ては始まるんです。
で実際、食べて見た感想なんですが、「まずくはない、普通レベル以上。美味しい、でも世間がそれ程、騒ぐ味じゃない。料理のすっごく上手なお母さんなら普通米でもこれくらい炊いちゃうかも?」でした。
言ってはなんですが、料亭に行ってそれなりのお金をはらってご飯を食べたら、このレベル以上の「美味い銀しゃり」は幾らでも食べられます。
ネックは、そう、「大衆食堂で普通の値段で美味い銀しゃりが食べられる」って事です。
多少のガッカリ感と、改めての現実認識というか「勉強させて貰いました感」を感じながら、ゲコ亭を去った思い出があります。
でそのゲコ亭どうなってるの?って思って調べてみたら、なんとあのご飯炊きのオジサン、お店は途中で引退、中国に招かれて「ご飯炊きの講師」をしてらっしゃって、最近、帰国なされたとか。
あの当時でも、結構、お年を召された感じでしたから、もうご高齢でしょうね。
でも又、厨房には復帰なさるとか、すごい。
店の方は2013年に飲食チェーンに引き継がれたとありますから、このご時世には逆らえず自力単独経営は難しかったのかな?と勝手な妄想を抱いていますが、「銀シャリ屋 ゲコ亭」ってのれんが残る事自体凄いことだ思いますよ。
それに食べ物サイトなんかで検索をかけると、今でも「ゲコ亭」は、ずーっと、あの頃の「飯が旨い」系の評判が途絶える事なく乗り続けてるのもすごいなーと。
新「銀シャリ屋 ゲコ亭」でも、飯炊き技術継承?だったって事なのかな。
その点では、良い話ですね。
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