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【 旅と温泉グルメ しゃぶれどもしゃぶれども(中部編) 】
40: 愛知 名古屋市駅から日間賀島へ④
しおりを挟む日間賀島は、離島という感じが殆どしない。
川を渡って隣町へとまでは行かないが、知多半島の一部という感じの小さくて可愛い島だ。
舟を使って十分程度、それでも島は島なので、「港に着いた。さあこれから」って楽しみはある。
行政上の分類では「内海本土近接型離島」というものらしい。
そうそう、今回の旅の目的はフグだけれど、日間賀島のもう一つの名物はタコで、観光客をお出迎えする島のキャラは当然、タコになる。
島に上がれば判るが、なんだかこのタコキャラの扱いが当たり前すぎて、自然すぎて、ほのぼのしちゃうほどだ。
三河湾の夕焼けは、その海の貌に似て、いつ見ても穏やかで心和むが、それに続く夜は寂しい。
日間賀島の向かいにある島は篠島で、アンがお泊まりしたホテルの窓からは、篠島の灯りが夜の海に提灯のように浮かんで見える。
でもその島の灯りが、アンを暖かくすることはない。
その灯りの下に人が集うイメージを思い浮かべる事よりも、無人の寂寞とした、ただ闇に照らし出された心細い道を強く想うからだ。
そして、ここからその島の灯りまでを隔てる暗い海の距離、、。
ひれ酒を すすめる人に 相づちを
島の灯りに 涙飲み干し
夕食は勿論、目当てのふぐ料理。
苦手な白子も、微かな臭みすらなく、つるりと口の中に。
てっさは果てしなく甘い。
日間賀島自慢の「蛸の丸煮」は食べやすい弾力。
隣の隣の席は、筋者さんファミリーなのだけれど、若いお父さんは子ども達に囲まれて幸せそう、、。
そして窓の向こうには篠島の港町が、ボタンエビが抱えた卵のような青紫の灯りを、その腕の中に抱えているのが見える。
・・・自分の生活、数えてみたら満足の数の方が多い。
それでも哀しい時がある。
ひれ酒を すすめる人に 相づちを 島の灯りに 涙飲み干し
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