ゴックン、その口で食べるの? /Osaka発ドラァグドライブ、掛け違いの旅

Ann Noraaile

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【 煩悩四国旅 順打ち・逆打ち・乱れ打ち 】

13: 四国は愛媛 今治 「湯ノ浦温泉とスローバラード」

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 早春、今治市に近い湯ノ浦温泉という新興の温泉地に出かける事になりました。
 小高い丘にあり、ホテル群のそばに小じゃれた住宅街が混在するという不思議なロケーションの温泉です。
 白砂清松の桜井海岸を望むロケーションってことなんですが、到着したのが夕刻なのでその辺りはよく判りません(笑)。

 ここへは国道196号線(今治バイパス)からそれて丘に登っていくんですが、ちょうどその交差点近くに温泉スタンドがあります。
 温泉スタンドって時々、旅行中に見かける事があるんですが、「ホントに稼働してるのかなぁ?」って感じのものが多いんですよね。
 例えは悪いんですけど、寂れた道に忘れ去れたようにある成人雑誌(ビニ本古っ!)自動販売スタンドみたいな、、。

 でもここのは明るく立派に稼働中!
 泉質は単純弱放射能冷鉱泉、、、ってつまりラドンやフッ素なんかを含んでる奴です。
 温泉療法医お勧めの名湯百選の一つ、、「選ばれるには理由がある」ってCMが作れそう(笑)。
 ホテルの最上階にある湯船に浸かりながら窓の外の夜空を見ていると、ふと忌野清志郎歌う「スローバラード」を思い出して涙が出そうになりました。


 「昨日は車の中で寝た、あの娘と手をつないで。市営グランドの駐車場。二人で毛布にくるまって。」
 あの頃はあんなに無茶が効いたのに、あのころはどんなに惨めな状態でも幸せでいられたのに、、。
 鼻の下まで身体を湯の中に沈める。
 確かに生活は豊かにはなった。
 こうやって休みが取れればロングドライブも出来、連休前の冗談のような宿泊料金が払えるのだから、、。
 自分を包んでくれる湯の暖かさが身にしみる。
 そして自分の皮膚の下にある内蔵や筋肉、骨格や脂肪の声に耳を澄ませてみる。
 大丈夫よアン、あなたは確実に生きている。
 その事が一番大事なんだから、、そんな声が聞こえてくる。
 この、夜空の下のどこかに、あの頃の私やあなたが今もいるのだろうか、、。


 旅の二日目は、綱敷天満宮・桜井の梅林を早朝から見てまわりました。
 地元のお年寄り達が観梅会があるとかで、丁寧に掃除をされている最中、、「おはようございます」の挨拶を交わします。
 よく晴れた早春の朝は心地よい。
 赤・ピンク・白の梅花たちも何処か潮の匂いのする空気の中で楚々とその花を咲かせています。
 
 そして連子(窓・欄間に取り付ける格子)の残る街並みを少し歩いて、桜井漆器の販売店へ。
 店内にお雛様の飾り物を見つけてほのぼの気分。
 お店のご主人に、蕎麦茶と金平糖をごちそうになりました。
 美味しい。
 小さな心遣い、、かって日本の美徳だったものの名残を見た思いがしました。


 
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