ゴックン、その口で食べるの? /Osaka発ドラァグドライブ、掛け違いの旅

Ann Noraaile

文字の大きさ
上 下
23 / 177
【 煩悩四国旅 順打ち・逆打ち・乱れ打ち 】

12: 四国は愛媛 今治 ②「しまなみ海道を経て鈍川温泉へ+宇和島」

しおりを挟む

 旅の楽しみの一つは文庫本での読書ですね。
 今回の旅のお供は、村上龍の「共生虫」。
 氏の作品は、上品に言えば官能的、下品に言えばエログロSM小説に果てしなく近いものがありますけれど、これもやや、それ系です。
 時々、村上作品って、アンの生活実態というか、そういうものをストーカーしてセミドキュメント風の小説に書かれてるんじゃないかと思うことさえあります、、。

 旅先で読むようなものではないかも知れないな、チョイスミスです(笑)。
 夕食の時に飲んだビールの酔いにゆられて、村上龍の過剰なビジュアル描写に心が共鳴しだすと、、、ヤバイ、、幻覚症状を引き起こすんじゃないと心配になってきます。
 まあ実際には仲居さんが部屋に入ってきて色々なサービスをしてくれるので「あっちの世界」にドップリは、なかったんですけど、危ない危ないw。

 さて最大の楽しみである温泉。
 鈍川温泉は「美人の湯」と言われるだけあって泉質は「つるすべ」です。
 これはなにより嬉しいw。
 浴室は川縁にこしらえてあって、至近距離に、向かいにある初夏の緑に覆われた山肌が見えます。

 よしずのひさしで覆われたベランダ状の部分には、桧の湯船がもう一つ設置してあって、それが露天風呂の代わりをしているようです。
 こちらの方は人気があって、いつも2・3人がひしめきあって湯船を使っているので、ワケありのアンは遠慮せざるを得ない(当たり前)。
 まあいいや、この檜風呂、明日の早朝にでもゆっくり入る事にしよう。
 温泉旅館はそういう使い回しが出来るのが良いところですね。

 鈍川という語源がどこから来てるのかは知りませんでした。
 (古くは「丹生川」と呼ばれたものが、自然災害などの変遷と共に「鈍川」と改称?)
 だから勝手に、昼間の印象から、頭の中で「水量の少ない川」と思いこんだ状態になっていたんです。
 早朝6時に、くだんの桧風呂に浸かりながら川底を覗いて驚きました。
 この日の早朝からの豪雨の為に、鈍川は土砂が入り交じったミルクコーヒー色の激しい濁流だったのです。

 梅雨明け前特有の激しい雨が降っているからこんな状態になっているのでしょう。
 頭上にせり出したように見える緑濃い枝振り達も、たっぷり雨にうたれています。
 なんだか急に「さみだれを、、」の一句を思い出しました。
 一茶さんって、旅の空の下で、こんな急で激しい風雨をどう凌いでいたんでしょうね。

 鈍川温泉からの出発の時間が来てツーシーターのエンジンをかけました。
 空模様は、未だに土砂ぶりの雨。
 梅雨明けの快晴の空の下のドライブを楽しみにしていたのに、、次の目的地をチェックしようとマップを引っ張り出したころに、ホテルの仲居さんが雨の中、玄関を出て駐車場へ見送りに来てくれています。
 そのまま待ってもらうワケにもいかず、地図確認を諦めて車を駐車場から出しました。
 次は松山を経て宇和島に訪れる予定です。

   ・・・・・・・・・

 ツーシーターのエンジンをかける。
 搭載のナビが「今日は7月20日海の日です。」とアナウンスしてくれる。
 ところが空模様は土砂ぶりの雨。
 ついていない時はすべてこんなものですね。

 松山に抜ける県道を雨の中走りました。
 宇和島方面にある魚市場を尋ねるためです。
 アンはどういうワケか食べる方では生魚が苦手な癖に、魚市場は大好きだからです。
 操業時間は11時までとあります。
 小一時間は向こうで遊べるだろうと計算してましたが、到着した八幡浜港の「どーや市場」は寂しかったです。

 いくら観光用の魚市場でも、早朝の7時から始まる場所に10時過ぎに着いては、店じまいの店の方が多いのは当たり前ですよね。
 お土産用にアワビを買いました。
 昨日食べた「よしうみいきいき館」のアワビよりずっと小さい。
 もっといいものがあるのかも知れないけど、店に出されているモノ自体が売り切れていては仕方がないですね。

 雨にけぶって灰色に染まる港が妙に旅情をかき立ててくれます。
 瀬戸内の海は余り荒れないし、段々畑のあるなだらかな岬を背後にしてるから日本海側の港とはまた風情が違うんです。
 いつかこんな港の商人宿に泊まって、場末のスナックで酒を飲むような旅行もいいかな~と一瞬だけ考えて首を振りました。
 アンは見た目ほど贅沢な人間ではないけれど、「みじめさ」に耐性がある方じゃないし。

 今回の旅は天候に始まってついていない事が結構多いモノでしたが、それがもう一つ起こりました。
 四国と言えばうどんなんですが、今回の旅行先は愛媛で本場の香川ではないという事がネックだったんですね。
 松山から高速に乗る前に立ち寄ったうどん屋は、セルフじゃないんですが地元では結構名の売れた店らしいんです。
 なら美味しいうどんが戴けるだろうと、調子にのって大阪では滅多に食べない「ぶっかけ」を注文したのが悪かったんですね。

 麺はさすがに四国、愛媛でもまったく問題ないんですが、ツユが濃すぎました。
 この濃いツユが、うどんの上に乗っかった大量の削りカツオに絡まって、辛い、、。
 二口食べただけで放棄。
 モッタイナイよー。
 こんな時、便利な奴隷君がいてくれたら喜んで後始末をしてくれるのに。
 結局、じゃこ天うどんと呼ばれるものをハーフサイズで追加注文するはめに、、。
 うどんの鉢やだしツユの小瓶に使われている砥部焼きの青い模様を恨めしく眺めるアンなのでした。

PS 宇和島の市営闘牛場にも立ち寄りましたよ。
 闘牛っていつでもやってる訳ではないので、ガワだけの見学で雰囲気だけ味わって来ました。
 考えてみれば闘犬にしても闘牛にしても四国、、逆に岩手なんかでは、馬と人が同じ家の中に住む曲り家みたいな文化があったり、人と家畜の関わりも又、文化なんですね。

 でも牛さんって忙しいですよね。
 牛同士で闘わされたり、赤いマントの男に突っ込まされたり、帽子被った男を背中に乗せて暴れてみたり、
お乳を搾り取られたり、あげくの果ては、切り刻まれて煮たり焼かれたり、、、。


しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

会社の上司の妻との禁断の関係に溺れた男の物語

六角
恋愛
日本の大都市で働くサラリーマンが、偶然出会った上司の妻に一目惚れしてしまう。彼女に強く引き寄せられるように、彼女との禁断の関係に溺れていく。しかし、会社に知られてしまい、別れを余儀なくされる。彼女との別れに苦しみ、彼女を忘れることができずにいる。彼女との関係は、運命的なものであり、彼女との愛は一生忘れることができない。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

カレイなる日々

隠井迅
エッセイ・ノンフィクション
2022年の夏から巡り始めた書き手のカレー題材のエッセイです。

ふと思ったこと

マー坊
エッセイ・ノンフィクション
たまにはのんびり考えるのも癒しになりますね。 頭を使うけど頭を休める運動です(笑) 「そうかもしれないね」という納得感。 「どうなんだろうね?」という疑問符。 日記の中からつまみ食いをしてみました(笑) 「世界平和とお金のない世界」 https://plaza.rakuten.co.jp/chienowa/  

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

処理中です...