ゴックン、その口で食べるの? /Osaka発ドラァグドライブ、掛け違いの旅

Ann Noraaile

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【 はじめに、自己紹介をかねて 】

05: 旅と不倫探知アンテナ

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『6月で結婚するんです…その前に心臓が止まるほどのドキドキを体に刻みたかった…』
 これ、とあるAVのタイトルです。
 「ドキドキを体に刻みたかった」とか、なんだか、凄くイマフウの文学チックなタイトルじゃありませんか?
 もっとも中身はシビアなのに、タイトルは『夫のちんぽが入らない』なんて文芸良作もあるので、何がどうなのか良く判らない世の中ですが。

 アンには不倫探知アンテナがあります。
 もちろん、これは多くの女性にもあります。
 アンの場合、その感度は場数が多いだけに男性標準を少し上回っているかも知れません。

 下に書く場面に出くわした旅行では、それ以前に、平日の三朝温泉・S旅館で、二組ピピピでした。
 祝祭日のお泊まりは不倫する側の「言い訳・チャンス・アリバイ作り」が難しいんでしょうね。
 でも不倫現場では、安心しちゃうのか、オーラがだだ漏れです。

 ただし視覚にだけ、こういう探知を頼ると、最近は誤情報が沢山あるので気をつけなければなりません。
 例えば、最近の女子中高生の中にはイケイケさん達と同じファッション、同じメイクをしてる場合があったり、特に女性側は、視覚で何かを探るのは難しいものです。
 極端な場合は、中身は比較的健全なのに、表面だけは母娘そろって、「ママ、今日はお店お休みですかぁ?彼女って、新人さん?」って思わず、こちらがご挨拶をしちゃいそうな人達だっているのです。

 で、鳥取方面から大阪へ帰る途中の三朝の楽市楽座でも、アンテナが壊れてしまいそうな、もろカップルに遭遇しました。
 でも不倫というのは、今でも一応、「道ならぬ恋」みたいなニュアンスが残っている筈で、そういう意味ではこのカップル、スタンダードな「不倫」ではないのかも知れなかったですね。

 トイレの中でベルトを締めてくればいいものを、わざわざ外に出てからバックルをガチャガチャする殿方を時々見かけますけど、このカップルの男がそれに該当。
 トイレの前で出くわしたこの男性、男と言ってもぽちゃっとした感じで、ほぼお爺ちゃんと言っても良いような風貌。
 でも着てるものが、妙に若作りな、ディスカウントショップの輸入品コーナーのメンズみたいなので、しかも突き出たおなかにウエストポーチなわけですよ。

 アンが、今日買って帰って食べようと思ってるトマトなんかを選びながらさりげに観察してると、このポーチお爺さん、先ほどから店内をふらーっと遊泳していた黒服のお嬢さんと接触、二言三言声を交わすとどこかに行ってしまったのです。
 楽市楽座の店内なんて、本来、着飾ったオシャレな若い女の子が遊べるような場所じゃないと思うんですけど、このお嬢さんの退屈ぶりは堂に入っているというか、半分夢遊病者みたいなんですね。
 それに、このお嬢さん、雰囲気自体が「遊んでる女の子」っていう感じでもないし、かと言って普通の子でもない。
 なんとなく、谷崎潤一郎の「富美子の足」に登場する富美子サンを思い出しました。
 あれの世俗ぽいの。

 アンがトマトにキュウリに地卵を買って駐車場に出てみると、白いフーガにのりこまんとするポーチお爺さんを発見。
 フーガが、するると店の前までやってくると黒服のお嬢さんがそれに乗り込みます。
 窓から見えるポーチお爺さんの顔にはレイバンが、、頭痛て~っ、、。

 もちろん、このカップルが走り去った方向は、アンが来た道、つまり三朝・東郷・羽合という温泉密集地帯なんで御座いますよー。
 でも先ほど買い込んだ野菜類をツーシーターにしまいながら、ふと考えました。
 奇妙なカップルもあるもんだって思ったけど、立場が変わればアンも「そんな時」には、他人様からはそう見えるんだってこと、、ですよねぇ。



 ここで大山崎山荘美術館を平日に訊ねた時に印象に残ったエピソードも書いておこうと思います。
 大山崎という名でピンと来られたと思いますが、ここはサントリー所有の私設美術館で、阪急高槻からさほど離れていない場所にあります。
 んー、天王山の麓って言ったほうがいいのか、、。

 この美術館は別荘を改造したものなので入館するのには重い木製ドアのノブを回して入る必要があるんです。
 こう見えても結構、うっかり八兵衛(Oh!水戸黄門)のアンは、美術館と言えば自動ドアかイージーオープンだと思いこんでいますから、ノブも回さずドアを引いたものだから全然開かないんですねー。

 で結果、休館日に来ちゃったのかと恥ずかしげにUターンです。
 そこで遭遇したのが、美術館前の前庭に腰掛けていた中年カップルです。
 平日の昼下がりですよ。

 不倫研究家のアンに言わせれば、世の中には、不倫カップルが行きやすいエリアというものが存在するんですね。
 又、そのエリアは不倫カップルの社会的立場の違いによって、更に細分化されたり、方向性が変わってくるものなんです。

 例えば、男にある程度、金と力があって、女がそれを若さと肉体でバターする関係の場合はAランクからBランクの丁度中間にあるような温泉だとか、観光地がそれに該当するし、男と女が社会的に同等の立場にあって、違う肌のぬくもりだけを感じれればよい場合は、近場の隠れスポットなんかに行ったりします。
 前庭にいたちょっと崩れた感じのする中年カップルは明らかに後者ですね。

 派手目の化粧が結構様になっている中年女性の密やかな嬌声(矛盾表現)が美術館前の森にしみ通っていきます。
 アンは何故か、こういうカップルの前で困惑してる自分の姿を認めたくないんですね。(若干、幼少期のトラウマに関係があるのかしらんと自己分析してみるのだけれど、、)
 なので平然と散策を続けたのですが。
 結局、美術館横の庭園を散歩している間に、美術館の窓に人影を確認して「もしかしてノブ?」と気付いて入館することが出来たんですが、、、ノブを回すのか、、一企業が社会参加というか道楽で美術館を開くとこうなるんですよね。

 展示の方は、モネの睡蓮がかかってました。
 でもスイレンってホント、漢字通りのイメージがある植物ですね。
 眠たげにまどろんで、茫漠としてて生ぬるくて、、ああ又、あの中年不倫カップルの姿が、、、。




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