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◇
「この辺りでいいか」
「そうだね、森ともだいぶ離れたし」
そう言ってグレンがローブの袖に手を入れると、平原の真ん中にポンっとグリーンのテントが現れた。
「わ、手品?」
「無限収納魔術」
グレンが僕の頭を撫でる。
グレンも身長百八十後半はありそうだ。
俺は百七十二だから、それなりに差がある。
「スバルも荷物に困ったらグレンに預けるといい」
「僕は荷物持ちじゃないけど、スバルの荷物なら喜んで預かるよ」
「あは、持ちきれなくなったらお願いします」
イーサンとグレンの会話に笑いながら、テントの中を覗くと、そこには見た目に反して広い空間になっていた。
「テントの中もグレンの魔術が展開されてるから、広いだろ?」
「グレン凄い……」
「いや、まあ……それほどでもあるんだけどね?」
「座ってもいい?」
「どうぞ」
二人に倣い入口の近くで靴を脱いで中に進み、ふかふかの絨毯が敷かれた床の上に座って、沢山置かれたクッションの一つをぎゅっと抱き締めた。
「疲れたーぁ……」
そのまま寝転がって、抱き締めたのとは違うクッションに頭をのせた。
「ぐっ……」
「やば……」
様子が変なイーサンとグレンに首を傾げて、俺はテントの天井を見上げる。
「あ、ごめんなさい。ついくつろいで……」
「いや、いい。そのままで……」
「そうだよ。ここには僕達しかいないんだから、思うがままに振る舞ってもいいんだよ」
「調子に乗っちゃうからそんなこと言っちゃダメですよ」
俺は起き上がって姿勢良く正座した。
「そういうスバルだから大丈夫だと思うけど、目に余る時はイーサンの教育的指導が入るから」
「それは怖いですね……」
「うん、そうなんだよ……」
「本当にキレたら怖いのは、グレンの方だけどな」
「ううん……それもあり得る……」
俺は唸って、抱き締めたクッションに口元を埋めた。
「今日はこのまま床で寝よっか」
「そうだな。街に着いたら三人で寝られる寝具を揃えよう」
「賛成!」
「え? え?」
急な話題の転換に戸惑っていると、二人が寝方について決めて行ってしまう。
「もちろん、スバルは真ん中で寝てね」
「えぇ!?」
寝相は悪くないと思うけど、イケメン二人に挟まれるのはちょっと……なんて考えは、まだ甘かった。
……寝て起きたら二人の腕が俺の上にあり、二人とも至近距離で寝ていて、目を開けたらイーサンが、首筋の後ろにはグレンの吐息がかかり、俺は思わず驚きの声をあげたのだった。
「ちょ、ちょっと二人とも!?」
「この辺りでいいか」
「そうだね、森ともだいぶ離れたし」
そう言ってグレンがローブの袖に手を入れると、平原の真ん中にポンっとグリーンのテントが現れた。
「わ、手品?」
「無限収納魔術」
グレンが僕の頭を撫でる。
グレンも身長百八十後半はありそうだ。
俺は百七十二だから、それなりに差がある。
「スバルも荷物に困ったらグレンに預けるといい」
「僕は荷物持ちじゃないけど、スバルの荷物なら喜んで預かるよ」
「あは、持ちきれなくなったらお願いします」
イーサンとグレンの会話に笑いながら、テントの中を覗くと、そこには見た目に反して広い空間になっていた。
「テントの中もグレンの魔術が展開されてるから、広いだろ?」
「グレン凄い……」
「いや、まあ……それほどでもあるんだけどね?」
「座ってもいい?」
「どうぞ」
二人に倣い入口の近くで靴を脱いで中に進み、ふかふかの絨毯が敷かれた床の上に座って、沢山置かれたクッションの一つをぎゅっと抱き締めた。
「疲れたーぁ……」
そのまま寝転がって、抱き締めたのとは違うクッションに頭をのせた。
「ぐっ……」
「やば……」
様子が変なイーサンとグレンに首を傾げて、俺はテントの天井を見上げる。
「あ、ごめんなさい。ついくつろいで……」
「いや、いい。そのままで……」
「そうだよ。ここには僕達しかいないんだから、思うがままに振る舞ってもいいんだよ」
「調子に乗っちゃうからそんなこと言っちゃダメですよ」
俺は起き上がって姿勢良く正座した。
「そういうスバルだから大丈夫だと思うけど、目に余る時はイーサンの教育的指導が入るから」
「それは怖いですね……」
「うん、そうなんだよ……」
「本当にキレたら怖いのは、グレンの方だけどな」
「ううん……それもあり得る……」
俺は唸って、抱き締めたクッションに口元を埋めた。
「今日はこのまま床で寝よっか」
「そうだな。街に着いたら三人で寝られる寝具を揃えよう」
「賛成!」
「え? え?」
急な話題の転換に戸惑っていると、二人が寝方について決めて行ってしまう。
「もちろん、スバルは真ん中で寝てね」
「えぇ!?」
寝相は悪くないと思うけど、イケメン二人に挟まれるのはちょっと……なんて考えは、まだ甘かった。
……寝て起きたら二人の腕が俺の上にあり、二人とも至近距離で寝ていて、目を開けたらイーサンが、首筋の後ろにはグレンの吐息がかかり、俺は思わず驚きの声をあげたのだった。
「ちょ、ちょっと二人とも!?」
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