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2、王との対面
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システィーナが長い長い旅路を経て、アストリア王宮についてから5日が過ぎた。
結婚式が翌日に控えていることもあって、王宮の者たちは猫の手も借りたいほど目まぐるしく働いている。
にも関わらず、システィーナのとある話題で城内は持ちきりだった。
それは、4日前に遡る。
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「アストリア王にお目通りを。」
王の執務室の衛兵たちは、目の前に立つシスティーナをちらりと一見した。
それを護衛として、システィーナの後ろに控える近衛隊長がジロリと睨む。
衛兵たちは不躾に見てしまった非礼を詫び、慌てて扉を開けた。
扉を閉め終えると、一人の衛兵が祈るように言葉を漏らす。
「どうか姫君が、正気を保って戻ってこられますように。」
「おひさしぶりでございます、アストリア王。ルボスの第一王女システィーナがご挨拶申し上げます。」
執務室に入ったシスティーナは、優雅にカーテシーをし、目の前の人物の声かけを待つ。
「面を上げてくれ。」
夕暮れということもあって、窓から入る陽がまぶしく、目がかすむ。
絹のようにさらりと流れる赤髪、陶器のような肌には、完璧にパーツが配置されている。
そして何より目を惹くのは、神秘的な黄金の瞳。
システィーナは思う、あぁこれは大変だと。
頬に片手をやり、視線を逸らす。
近衛隊長は、そんなシスティーナの様子から、先の未来を想像し、漏れそうになる溜息をぐっとこらえる。
システィーナは、再びアストリア王へ目を向ける。
目を伏せ、何か言おうとするも、戸惑い閉口する。
「システィーナ姫、はるばるよく来られた。緊張せず、話してくれ。」
システィーナは、その言葉にゆっくりとうなずき、言葉を発する。
「では、私事のお願いで申し訳ないのですが、カーテンを閉めていただけますか。陽が肌を照るので、乾燥するのです……それと陛下のご尊顔には一ミリも興味がございませんので、無駄にきらびやかな笑顔を見せてくださらなくて結構ですわ。」
そう伝え、にっこりと微笑み、カイゼンを見据えたのだった。
結婚式が翌日に控えていることもあって、王宮の者たちは猫の手も借りたいほど目まぐるしく働いている。
にも関わらず、システィーナのとある話題で城内は持ちきりだった。
それは、4日前に遡る。
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「アストリア王にお目通りを。」
王の執務室の衛兵たちは、目の前に立つシスティーナをちらりと一見した。
それを護衛として、システィーナの後ろに控える近衛隊長がジロリと睨む。
衛兵たちは不躾に見てしまった非礼を詫び、慌てて扉を開けた。
扉を閉め終えると、一人の衛兵が祈るように言葉を漏らす。
「どうか姫君が、正気を保って戻ってこられますように。」
「おひさしぶりでございます、アストリア王。ルボスの第一王女システィーナがご挨拶申し上げます。」
執務室に入ったシスティーナは、優雅にカーテシーをし、目の前の人物の声かけを待つ。
「面を上げてくれ。」
夕暮れということもあって、窓から入る陽がまぶしく、目がかすむ。
絹のようにさらりと流れる赤髪、陶器のような肌には、完璧にパーツが配置されている。
そして何より目を惹くのは、神秘的な黄金の瞳。
システィーナは思う、あぁこれは大変だと。
頬に片手をやり、視線を逸らす。
近衛隊長は、そんなシスティーナの様子から、先の未来を想像し、漏れそうになる溜息をぐっとこらえる。
システィーナは、再びアストリア王へ目を向ける。
目を伏せ、何か言おうとするも、戸惑い閉口する。
「システィーナ姫、はるばるよく来られた。緊張せず、話してくれ。」
システィーナは、その言葉にゆっくりとうなずき、言葉を発する。
「では、私事のお願いで申し訳ないのですが、カーテンを閉めていただけますか。陽が肌を照るので、乾燥するのです……それと陛下のご尊顔には一ミリも興味がございませんので、無駄にきらびやかな笑顔を見せてくださらなくて結構ですわ。」
そう伝え、にっこりと微笑み、カイゼンを見据えたのだった。
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