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ドレイク狩り

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モーガンとの勝負が始まり、僕はドレイク種の目撃情報がある地で行ったことのある場所を回ることにした。

まずは肩慣らしに植物系の魔物であるウッドドレイクを討伐することにする。

「ウッドドレイクの目撃情報があったって聞いたんですが、どのあたりで見たか教えてもらえますか?」
王都の冒険者ギルドに集まっている情報だけでは足りないので、現地の冒険者ギルドにて詳しい場所を尋ねる。

「メービウスの森のちょうど中央あたりになります。討伐依頼をお受けしていただけるのですか?」

「ウッドドレイクの依頼はBランク依頼ですよね?残念ですけど、僕はDランクなので受けることが出来ないです」

「そうでしたか。ウッドドレイクが目撃されてからメービウスの森での依頼を受けられる方が減ってしまって、ギルドとして高ランクの冒険者の方が来ていただけると助かるのですが……被害が出ていないのでなかなか他の支部から応援が来てくれないんですよね。ウッドドレイクの場所を聞かれたということはメービウスの森に入られる予定なのですか?」

「はい。王都で色々とありましてここまで来ることになりました。依頼は既に受注してあるので、ウッドドレイクの場所を聞きにきただけです」
モーガンと勝負する前に受けた依頼はホブゴブリンの討伐依頼なので、どこかでホブゴブリンも倒しておかないといけないな。

「王都の冒険者さんでしたか。目撃情報の場所にウッドドレイクがいるとは限りませんので、くれぐれも気を付けて、万が一見掛けたらすぐに逃げてくださいね」

「ご心配ありがとうございます」


メービウスの森に入り、教えてもらった森の中央あたりを目指して歩くと、途中で鹿が蔓によって宙吊りになっているのを見つける。

ウッドドレイクの縄張りに入ったようだ。

「ほら、逃げろ。もう捕まるなよ」
鹿を横取りしたところで捌き方を知らないので、蔓を切って鹿を逃してあげる。

ウッドドレイクは自身の体の一部でもある植物を操り、罠を仕掛け、獲物を捕食する。
まだ生きている鹿がいたのだから、ここで待っていれば向こうの方からやってくるだろう。


「グルゥギャアァァァァ!」
せっかく捕まえた獲物を僕が逃したことにも気付いているだろうウッドドレイクが現れ、咆哮してこちらに敵意を向ける。

「1体目の犠牲者はお前だ」

ウッドドレイクには植物を操る力があり、纏わり付かせることで体を大きく見せている。
元々の体も大きいこともあってその見た目は迫力満載ではあるが、所詮はBランクの魔物だ。

決して弱いわけではないが、レベルを100まで上げてしまった僕にとっては雑魚でしかない。

罠を張る程度には知能はあるみたいだけど、戦法が巨体を駆使した押しつぶしがメインだというのも残念なポイントだ。
植物を纏っているから燃えやすいし、色々と残念だ。

サクッと火魔法で燃やして、山火事にならないように後処理も忘れずにおこなう。

「ドロップは木竜の角か……魔石でも心臓でもないからハズレだな。ドラゴンハートは超希少アイテムだったし、ドロップしても魔石だけだろうから、先は長そうだ」
よくよく考えると、この勝負は僕に不利すぎるな。
魔石と心臓をモーガンが確実に持ってくるようにするつもりで言ったことが、僕の首を絞めている。

勝敗は討伐記録で確認して、魔石と心臓は買い取るから持ってくるように言うくらいが良かったなと思うが、今更だ。


「ウッドドレイクがいたので倒しておきました。跡形もなく燃えてしまったので、残った素材はこの角一本だけです。素材は買い取ってもらう予定でないので、報告だけ」
冒険者ギルドに戻り、ウッドドレイクの討伐報告をしてギルド証を提示して討伐を証明する。

「え……あ、ありがとうございます…………本当に討伐記録がありますね」

「依頼を受けてないので報酬はないですね。討伐されたという処理だけしておいてください」

「ランク規定により依頼達成にはなりませんが、報酬は受け取ることが出来ますよ」
依頼を受けなくても報酬は出るのか。
知らずに王都のギルド長にいらないと言ってしまったな。
ギルド長はお金の問題としてああ言った訳ではないし受け取ってもいいのだろうけど、なんだか恥ずかしいな。

「そうなんですね。知らなかったです。でも受け取るつもりではなかったので、報酬は無しでいいですよ」

「え!?いらないんですか?」
受付嬢に驚かれる。
まあ、当然か。

「はい」

「……報酬を拒否された方は初めてです。少しお待ちいただけますか?ギルド長に確認してきます」
受付嬢は立ち上がりギルド長に確認に行く。

「お待たせしました。ギルド長からそんな馬鹿がいるか、俺をおちょくっているのか、と怒られてしまいました。なので報酬は受け取って記録に残してください」

「それは悪いことをしてしまいました。受け取り処理をしてください」

「はい。それではウッドドレイクの討伐報酬が大銀貨4枚になります。先に依頼を受けていない為8割の報酬となっております」

「わかりました。これはこのままお姉さんに差し上げます。ギルド長を怒らせてしまったお詫びです」

「え!?いや、受け取れないですよ。こんな大金」

「同僚の方とご飯を食べたり買い物でもしてください。代わりと言ってはなんですが、教えて欲しいことがあるんです」

「な、なんですか?悪いことは出来ませんよ」
受付嬢は少し怯えながら聞き返す。

「悪いことを頼みはしませんよ。ドレイク種の目撃情報を教えて欲しいだけです。他の地区でも、情報があれば教えてください」

「もしかして……初めからウッドドレイクを討伐するつもりでしたか?」

「まあ、そうですね。そう言うとランクの低い僕には詳細を教えてくれない可能性が出てくるので、わざと言いませんでした。すみません」

「ギルド長に代わってもよろしいですか?」

「もちろんです。ありがとうございます」
お金には手を付けず、また受付嬢はギルド長の元に行く。

「さっきからおかしなことを言っているのはお前か?」
白髪のおじさんにイラつきながら聞かれる。
体格的にも、話の流れ的にもこの支部のギルド長だろう。

「受付の方を困らせてしまったようですみません。これ以外にドレイク種の目撃情報があれば教えてください。あと、これは先程の受付の女性に詫びとして渡しておいてください。要らないと言われたら、それで職員の人に差し入れでもしてください」
ギルド長に先程の報酬を渡しながら、ドレイク種について尋ねる。

王都のギルドでも聞いてはいるけど、20日という期限があるのを分かった上で教えてくれているので、近場しか教えられていない。

「報酬目当てでもなくドレイク種ばかりを狩ろうとしているのか?なにかドレイク種に恨みでもあるのか?」

「そんなのないですよ。討伐祭を盛り上げる為にドレイク種を狩ろうとしているだけです。女王陛下が神事を行う話はこの街にも届いてますよね?」

「ああ、もちろんだ。何故そんなことをするのか説明を聞いても難解すぎて理解出来なかったが、必要なことなのだろうということは伝わった。だからこそ協力している」

「討伐祭で狩られた魔物の魔石と心臓は神への供物として捧げられることになるそうですが、数が足りていないそうなんです。なので依頼を受ける人の少ないドレイク種の討伐を行っています」

「Dランク冒険者ではあるみたいだが、レベルはいくつだ?」

「ちょうど100です。ランクに関しては昇格試験をうけてないだけなので気にしないでください」
僕の場合好きにポイントを振れるから、この世界の人の同じレベル帯より強くなるのは当然で、レベルで力を測るには適していない。

「レベル100か……。ギルドとして安全は保証出来ない。依頼として受けることも出来ない。それでいいんだな?」

「もちろんです」

「いいだろう。教えてやる」
ギルド長から王都のギルドで聞いた情報に追加してもらう。

「ハイドレイクの棲家は知らないですか?出来ればなんちゃってドラゴンじゃなくて、おとぎ話になるような本物のドラゴンと戦いたいんですけど」
レベルも上げて、高火力の魔法スキルを取得するポイントの余裕はある。
弱点属性を集中して選択して取得すれば、ドラゴンくらい倒せるだろう。
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