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ブランク
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久しぶりにゲームをして少し満足した僕は、夕食を食べてから異世界へとログインする。
「何か変わったことはなかった?」
書物とにらめっこしている委員長に声を掛ける。
「何も事件は起きてないわよ」
騎士達もフランちゃんを狙う刺客も来ていないようだ。
「調べごとのほうは?何か有力な手掛かりでもあった?」
「帰還に関してはまだね。だけど、国王が行ってきた不正に関しては色々と見つかったわ。公になれば国が揺らぐくらいにはやばいことがたくさんね」
「そっか。フランちゃんの様子は?」
「おとなしすぎて少し寂しいくらいね。疲れが溜まっているみたいでもう寝てるわよ」
「何か必要な物があれば買ってくるけど」
「ありがとう。でも大丈夫よ」
「そう。それなら貯蔵庫の中を確認したら帰るね」
委員長の様子も確認し、特に僕の助けも必要としていなさそうなので食料の補充だけして帰ることにする。
「あれ……」
ストレージを確認して、考えていなかった状況にポロっと言葉が出る。
「どうかしたの?」
「お米の残量を勘違いしてたよ。限りがあると言ってもまだあると思ってたけど、後一袋しかなかった」
「一袋って貯蔵庫の袋と同じ?」
委員長は残念そうだ。
「うん、同じだよ。5kgだから、貯蔵庫の分と合わせて6kgくらいかな。すぐにはなくならないけど多くはないね」
中貝さんにもっと買っといてもらえばよかったな。
「毎食食べてたら10日くらいで無くなっちゃうね。フランちゃんも食べるからもっと早いかも」
「僕が用意できればいいんだけど、それは出来ないから節約しながら使ってね。それじゃあ、また明日」
お米以外の食材も貯蔵庫に補充した後、自室へと戻る。
自室へと戻った僕はVRゴーグルを装着して電源をつける。
ログインするのはサモナーストーリーではなく、元々僕がやり込んでいた方のゲームだ。
久々にインしたこともあり、フレンドの人達から誘いを受けて一緒にクエストに向かう。
一つクエストを終わらせた後、ログアウトしてVRゴーグルを外すとまだ日を跨いでもいなかった。
僕はゲームから離れすぎていたことを後悔して頭を抱える。
僕が異世界にうつつをぬかしていた間にアップデートがあったのは知っていたけど、噂だけがずっと先行していた第二層という新マップが実装されるほどの大型アップデートだったとは知らなかった。
他のプレイヤー達は既に第二層の探索を十分に行っており、隠しクエストを探すところまで来ている。
かつては上位ランカーの仲間入りしていた僕は、さっきフレンドに連れられて参加したクエストではお荷物でしかなかった。
イベント報酬が欲しくてランキング上位に入っただけでそこに拘りはないけど、かつて切磋琢磨しあった仲間達に置いていかれた気がして疎外感を感じる。
もちろん、周りがそんな風に思っていないことはわかる。
以前逆の立場になった時、ずっとインしていなかったフレンドと久しぶりにゲーム内で再会して、また一緒に遊べる喜びしかなかったからだ。
しかし、彼はその後またインしなくなった。
リアルが忙しくなり、合間にインしただけだったのだと思っていたけど、今ならそれは違ったのだとわかる。
アップデート前には最強クラスだと言われていた僕の装備は第二層でも使えるものではあったけど、僕がインしていない間もプレイし続けていたフレンドが使用している装備に比べると差は歴然だった。
……それだけならまだよかった。
装備だけなら持っているアイテムを整理して、他のプレイヤーと交渉すればある程度のものは揃う。
そこからより良いものを手に入れていくこともそこまで難しくはないはずだ。
でも、失われた感覚は戻ってこない。
新規モンスターのモーションを知らないなんて言い訳にしかならない。
簡単に避けられるはずの攻撃に何回当たった?
作ってもらった敵の隙を活かせず何回攻撃のチャンスを不意にした?
以前なら初めて戦う相手だろうとこんなことはなかった。
学校に行かなくなるくらいに大好きなゲームだったのに、苦痛でしかなかった。
このゲーム自体がつまらなくなったわけじゃない。まともに操作も出来なくなったことが恥ずかしく、それを表に出さないように薄っぺらな笑顔を貼り付けてプレイするのが辛かった。
「はぁー」
僕はため息を吐いた後、押し入れから古いゲーム機を取り出してテレビに繋げる。
まだVRという言葉自体に馴染みがない頃に発売されたゲーム機で、画質は今とは比べ物にならないほどに悪く、動きも滑らかとは口が裂けても言えない。
容量の問題なのか内容も薄いが、今でも根強いファンがいる。
まずは横スクロールのシューティングゲームのソフトをハードにセットしてプレイする。
ソフトを変えながらゲームをやり続け、気付けば昼になっていた。
「やっぱりレトロゲーは難易度の設定がおかしい!」
文句を言いながらも、僕の顔は笑っていたと思う。
ゲームが嫌いになったわけではないみたいで安心する。
あの苦痛に戻るのは抵抗しかないけど、これまで積み上げてきたデータを捨てるのはもったいないなぁ。
夕方まで寝て、立花さんからメールが来たのでサモナーストーリーを一緒にプレイする。
やっぱりオンラインゲーム自体が苦手になったわけではなく、顔も知らない人と採取のタイミングが被り少しの間一緒にプレイしたけど、特に思うことはなかった。
夕食を食べる為に一旦ログアウトして、その後ももう少しインしてプレイしてからヨツバがログアウトする。
今までは効率を気にして作業的にプレイすることが多かったけど、初心者の立花さんと一緒にプレイすることで本来のゲームの楽しみ方を思い出した気がした。
ほんとノワールが可愛すぎてヤバい。
金策を忘れてずっと撫でていたくなる。
戦闘がメインのゲームばかりやっていたけど、育成メインのゲームにはまた違った楽しみがあった。
サモナーストーリーは立花さんと進行度を合わせると決めていたので、立花さんが飽きてやらなくならない限りはやり過ぎないように僕もログアウトする。
その後、委員長の様子だけ見に行ってから自室に帰ってきて眠る。
翌日からは朝から新しくインストールしたオンラインゲームをプレイして、夕方からはまた立花さんとサモナーストーリーをプレイし、夜になったら委員長の様子だけ見て寝るというサイクルで過ごしていく。
そんな生活を1週間程過ごしたある日、委員長の様子を見に行くと大事な話があると言われた。
「何か変わったことはなかった?」
書物とにらめっこしている委員長に声を掛ける。
「何も事件は起きてないわよ」
騎士達もフランちゃんを狙う刺客も来ていないようだ。
「調べごとのほうは?何か有力な手掛かりでもあった?」
「帰還に関してはまだね。だけど、国王が行ってきた不正に関しては色々と見つかったわ。公になれば国が揺らぐくらいにはやばいことがたくさんね」
「そっか。フランちゃんの様子は?」
「おとなしすぎて少し寂しいくらいね。疲れが溜まっているみたいでもう寝てるわよ」
「何か必要な物があれば買ってくるけど」
「ありがとう。でも大丈夫よ」
「そう。それなら貯蔵庫の中を確認したら帰るね」
委員長の様子も確認し、特に僕の助けも必要としていなさそうなので食料の補充だけして帰ることにする。
「あれ……」
ストレージを確認して、考えていなかった状況にポロっと言葉が出る。
「どうかしたの?」
「お米の残量を勘違いしてたよ。限りがあると言ってもまだあると思ってたけど、後一袋しかなかった」
「一袋って貯蔵庫の袋と同じ?」
委員長は残念そうだ。
「うん、同じだよ。5kgだから、貯蔵庫の分と合わせて6kgくらいかな。すぐにはなくならないけど多くはないね」
中貝さんにもっと買っといてもらえばよかったな。
「毎食食べてたら10日くらいで無くなっちゃうね。フランちゃんも食べるからもっと早いかも」
「僕が用意できればいいんだけど、それは出来ないから節約しながら使ってね。それじゃあ、また明日」
お米以外の食材も貯蔵庫に補充した後、自室へと戻る。
自室へと戻った僕はVRゴーグルを装着して電源をつける。
ログインするのはサモナーストーリーではなく、元々僕がやり込んでいた方のゲームだ。
久々にインしたこともあり、フレンドの人達から誘いを受けて一緒にクエストに向かう。
一つクエストを終わらせた後、ログアウトしてVRゴーグルを外すとまだ日を跨いでもいなかった。
僕はゲームから離れすぎていたことを後悔して頭を抱える。
僕が異世界にうつつをぬかしていた間にアップデートがあったのは知っていたけど、噂だけがずっと先行していた第二層という新マップが実装されるほどの大型アップデートだったとは知らなかった。
他のプレイヤー達は既に第二層の探索を十分に行っており、隠しクエストを探すところまで来ている。
かつては上位ランカーの仲間入りしていた僕は、さっきフレンドに連れられて参加したクエストではお荷物でしかなかった。
イベント報酬が欲しくてランキング上位に入っただけでそこに拘りはないけど、かつて切磋琢磨しあった仲間達に置いていかれた気がして疎外感を感じる。
もちろん、周りがそんな風に思っていないことはわかる。
以前逆の立場になった時、ずっとインしていなかったフレンドと久しぶりにゲーム内で再会して、また一緒に遊べる喜びしかなかったからだ。
しかし、彼はその後またインしなくなった。
リアルが忙しくなり、合間にインしただけだったのだと思っていたけど、今ならそれは違ったのだとわかる。
アップデート前には最強クラスだと言われていた僕の装備は第二層でも使えるものではあったけど、僕がインしていない間もプレイし続けていたフレンドが使用している装備に比べると差は歴然だった。
……それだけならまだよかった。
装備だけなら持っているアイテムを整理して、他のプレイヤーと交渉すればある程度のものは揃う。
そこからより良いものを手に入れていくこともそこまで難しくはないはずだ。
でも、失われた感覚は戻ってこない。
新規モンスターのモーションを知らないなんて言い訳にしかならない。
簡単に避けられるはずの攻撃に何回当たった?
作ってもらった敵の隙を活かせず何回攻撃のチャンスを不意にした?
以前なら初めて戦う相手だろうとこんなことはなかった。
学校に行かなくなるくらいに大好きなゲームだったのに、苦痛でしかなかった。
このゲーム自体がつまらなくなったわけじゃない。まともに操作も出来なくなったことが恥ずかしく、それを表に出さないように薄っぺらな笑顔を貼り付けてプレイするのが辛かった。
「はぁー」
僕はため息を吐いた後、押し入れから古いゲーム機を取り出してテレビに繋げる。
まだVRという言葉自体に馴染みがない頃に発売されたゲーム機で、画質は今とは比べ物にならないほどに悪く、動きも滑らかとは口が裂けても言えない。
容量の問題なのか内容も薄いが、今でも根強いファンがいる。
まずは横スクロールのシューティングゲームのソフトをハードにセットしてプレイする。
ソフトを変えながらゲームをやり続け、気付けば昼になっていた。
「やっぱりレトロゲーは難易度の設定がおかしい!」
文句を言いながらも、僕の顔は笑っていたと思う。
ゲームが嫌いになったわけではないみたいで安心する。
あの苦痛に戻るのは抵抗しかないけど、これまで積み上げてきたデータを捨てるのはもったいないなぁ。
夕方まで寝て、立花さんからメールが来たのでサモナーストーリーを一緒にプレイする。
やっぱりオンラインゲーム自体が苦手になったわけではなく、顔も知らない人と採取のタイミングが被り少しの間一緒にプレイしたけど、特に思うことはなかった。
夕食を食べる為に一旦ログアウトして、その後ももう少しインしてプレイしてからヨツバがログアウトする。
今までは効率を気にして作業的にプレイすることが多かったけど、初心者の立花さんと一緒にプレイすることで本来のゲームの楽しみ方を思い出した気がした。
ほんとノワールが可愛すぎてヤバい。
金策を忘れてずっと撫でていたくなる。
戦闘がメインのゲームばかりやっていたけど、育成メインのゲームにはまた違った楽しみがあった。
サモナーストーリーは立花さんと進行度を合わせると決めていたので、立花さんが飽きてやらなくならない限りはやり過ぎないように僕もログアウトする。
その後、委員長の様子だけ見に行ってから自室に帰ってきて眠る。
翌日からは朝から新しくインストールしたオンラインゲームをプレイして、夕方からはまた立花さんとサモナーストーリーをプレイし、夜になったら委員長の様子だけ見て寝るというサイクルで過ごしていく。
そんな生活を1週間程過ごしたある日、委員長の様子を見に行くと大事な話があると言われた。
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