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【7】
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しおりを挟む【 甲・戊・辛・壬・癸 】
今回のスカウトは【戊】の担当候補者。
【乙】担当のヒカルと共通の友人である。
不安要素はほぼ0でスカウトに挑むわけだが……実際、やってみないと何が起こるかはわからない。
『戊、だけど……予想以上に、こじつけね』
戊と俺の名前“弘大の大”の共通点挙げた時。
アオイだけが理解はしてくれたものの、その冷ややかな目が忘れられない。
他2人に至っては、あまりの高度な暗号に、理解が追いついていない様だった。
ーーしかし、あの時の俺とは違う。
俺の考えた、”高度ネーム“の適任者を見せつけてやれる時が来たってわけだ。
***
「バウッ!」
”今“のは、犬の鳴き真似をしたんじゃ無い。
俺は、そいつを呼んだーー名前を呼んだんだ。
バウと呼ばれた少年の名前は、犬本基。いぬもとはじめ。
「人狼ゲームやるんだけど、一緒にやってくれよ」
「うん、良いよー」
バウは俺の申し出に迷う間もなく、YESの返事をした。
ーーやっぱり。いつも通り、か。
コイツはいつもOKを出してから考える。
ほんっとに無理だった時にだけ断る。
そして、「また今度ね」と必ず言うのだ。
『今度ね』とは言ったものの、自分から聞きに来ることはない。
別の件でこちらから話しかけた時に、ついでの様に確認してくるのだ。
『また今度ね』
この言葉を忘れていたわけでは無い。必ず聞いてくる。
ーー几帳面な癖に、完全受身のYESマン。そんな奴だ。
バウと言う呼び名は、苗字の犬本がきっかけではある。
正確にいえば、バウが大の犬好きであった事が由来している。
ケンケンやワンコロと言った呼び名も通って来ていて、嫌と言ったことは無かった。
でも、それをいまいち気に入っていないのは……なんとなく、わかった。
俺は……コイツが本当に喜んだ時の反応も、知っているからだ。
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