67 / 87
【6】
?6−4?
しおりを挟む如何にも生真面目でキツそうな女子生徒が、手をまっすぐ上げたまま反応を待っていた。
【 6番 オノレ 様 の発言です。 】
「GM、質問です。4番の考察は“メタ”にならないのですか?
それと、人狼の自滅はゲーム性の崩壊行為……マナー違反じゃ無いんですか?」
【 GM 対応をお願いします。 】
「はいはーい。通常の少人数人狼の場合、人狼の自白はマナー違反です」
「ですよね……!」
「しかし、大人数人狼の場合は陣営が3つ。
人狼陣営の味方もまだ複数人存在します。
1人が自白した所で問題ありません」
「でも、個人の人間関係を情報源に考察させるのは、どうなんですか!?」
「GM制限に基づき、考察の参考にならぬよう、“メタ”に感じたであろう部分は触れずに言いますが……あくまで、“声色考察”であり、メタではありません」
「そんな……」
「情報提供にならぬよう、ティーさんの発言内容は問題無し。
ん~……認めます、とだけ言っておきますかね。
これでよろしいですか?」
「わ、わかりました……」
「ーーそれでは、再開します」
ーーなるほど。
考察への意見・反論では無く、ルール違反の可能性がある場合は中断して質問・指摘が出来るわけか。
人狼は、嘘がつき放題な所が強み。
それに対して社会人陣営はそうはいかない。
勝利条件を無視した嘘の結果報告ーー語り行為。
報告のし忘れ・間違い・裏切りーー愉快犯行為。
これらは特別な理由がない限りマナー違反であり、避けるべき行動である。
今回3番の『指定先を言わない』と言う行為もそれに該当する。
が、敵の炙り出しの為だ明確な理由があり、二周目の公言が約束されている為認められている。
俺の番号は最終の11番。
つまり、情報が1番集まった状態での発言になる。
考察し甲斐がある……と思いつつ。
ーー制限時間は40秒。
2周目があるとは言え、その2周目も倍以上の情報量を纏める事になる。
ーーどう考えても、40秒じゃ……絶対足りない。
そう思った時だった。
ーーーズキンッ。
また、あの痛み。頭に走る鈍い痛みだ。
ーーははは……これだよ、これ。もう驚かないって決めたのにな。
【 2周目の発言時間は最大1分。 】
瞬時にこの情報が脳裏に浮かんだ。
こんな内容、GMは口にしていない。
他の基本ルールも、頭の中にある。
まるで思い出したかのような感覚に身震いした。
奇抜なプレイヤー名が上がっていく。
そんな中でも俺は、それらに混乱する事なく考察を整理する自分に気が付いた。
ーー無視だ。
ゲームに集中したい。
不安な状況に置かれているのも忘れて、ウイルス人狼にのめり込む俺が居た。
この感覚に、何処か懐かしさを感じながら。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
0
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる