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第二章 皇八咫烏 -すめらぎやたがらす-
9 しゅ、しゅごいンゴォ……
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「今の時代って? さっきも当時って言ってたンゴね」
「もう御話しして構わないでしょうか。青龍」
「良いんじゃないか。本来なら魂が定着している頃合いだからね」
「では。あなた様の御名前は、高橋耕作と言います。およそ1500年前、西暦2016年の日本から来ました」
「ンゴ! やっぱりこれは流行りの異世界転生ンゴね!」
「いせか……? それは存じませんが、転生ではありません」
「そうなンゴ? 残念ゴ……」
「転生というのは、仏教でいう輪廻転生、生まれ変わりですよね。耕作様の魂は死んでおりません。死ぬ直前、ここにいる青龍の力により、時を超えて御招きしたのです」
「ンゴッ!?」
「死んでいませんから、転生というわけではないのです」
「ン~ゴ、つまり異世界召喚ゴね!」
「召喚ですか?」
「それも違うね。召喚というと、西洋の悪魔召喚のようなイメージだけど、あれはフィクション。現実的に何もない場所に質量を生み出すのは不可能だよ。それに、耕作様の肉体は別の時代にある」
「ンゴ!? じゃあ僕は何ンゴ? タイムトラベルンゴ?」
「概念としては、それに近いでしょうか。兎に角、耕作様の魂は1500年前から来ました。当時というのは、つまり2016年の日本という意味です」
「今の耕作様は、仮初の依代に宿っている魂だけの存在。元の時代から時を超え、物体を移動させるのは難しいんだよ。だから質量の少ない魂だけを招いた。これを招魂の術と呼ぶ」
魂だけを? 召喚じゃなく、招魂ゴ……?
「例えば成人男性の体重を60キロとしようか。その肉体を動かす魂は10グラム程度だ」
「へ~。軽いンゴね」
「魂というのは単なる情報の集合体。素粒子、光子、あるいは原子や分子、と呼ばれるものがあるだろう。パソコンなどの電子情報も同じだ。それを入れておく器が肉体であり脳であって、情報そのもの、魂はごくごく軽いものなんだよ。パソコンの筐体は重くても、記録媒体だけなら軽く持ち運びが簡単だ。そういうことさ」
「なるほどンゴ」
「最も、肉体が死ねば魂の中の情報も四散してしまうから、その前に保護しておかなければいけない。それだけでも膨大な力が必要だ」
「じゃあ、学校がないって、どういう意味ンゴ?」
「そのままの意味です。先ほど申し上げたように、日本は、地球は、人類は、滅亡に瀕しております。今生き残っている人間も、どこまで生き延びられるでしょうか」
「長くはないだろうね。人類に代わって毛人と呼んでいる生物が、今、本州などで繁殖しているみたいなんだ」
「毛人ゴ……?」
「はい。類人猿、雪男、イエティ。などと呼ばれるような生物に近いと思われますが、詳細は分かっておりません」
「確か朱雀隊だったよね」
「ええ、そうです青龍。最初に毛人を発見したのは朱雀隊でした。と言っても、今の私ではありません」
「まさか朱雀さんもタイムトラベラーなンゴ……!?」
「違います」
「違うよ」
そんな、声を揃えて否定しなくてもいいンゴ。
「朱雀というのは、代々皇室を守り続けてきたヤタガラスの、四つある部隊の一つです。朱雀、青龍、白虎、玄武。私たち朱雀の主な任務は、情報収集。つまり諜報員です。そして……」
朱雀さんが常に気配と足音を消して歩くのは、スパイだからンゴ?
「手前が青龍隊を率いている。青龍は秘術の研究を任されているんだ」
「秘術ンゴ!?」
「4000年間、皇室に代々伝わる秘術は、青龍隊が受け継ぐ。この力は皇室と日本を守るためだけに使われる。歴史の中でも、度々表に出ているよ」
……歴史って言った? 僕の得意分野ンゴ!
「そうだね、一例としては元寇」
「元寇ンゴ! 知ってるンゴ!」
「おや? 記憶の一部が……」
ん? そう言えば、何か思い出しそうな気がするンゴ……?
「先ほどもありましたわね。異世界がどうとか……こうして御話をするのは、記憶と心魂の定着に良い影響を与えているようです。いかがです? これからも折を見て、御話させて頂くというのは」
「それは良いね。手前も一緒しよう」
そんな話はどうでもいいンゴ!
「ンゴ! 元寇ンゴの話ンゴ!」
「そうだったね。脱線してしまった。元寇が日本上陸をしようとした際に、大風を呼び船団を追い払ったのは、青龍隊の力だったんだよ」
「ンゴォ~! しゅ、しゅごいンゴォ……」
「他に分かり易い例では、第二次世界大戦で敗戦した日本。この時、日本の滅亡を防いだのも青龍隊の力だよ」
「ンゴォ~!」
歴史の話! 大好きンゴ! 興奮するンゴォ!
「意識操作の術を用いて敵国の将マッカーサーに働きかけ……」
「マッカーサーンゴ!?」
「本来なら日本はその時点で滅んでいたんだ。その後、生き残ったヤタガラスが歴史に干渉、過去に遡ってマッカーサーを動かし、滅亡した日本の歴史を塗り替えた」
「ンゴオォ~!」
こっ、興奮するぅンゴォ!!
「2016年当時で言えば、疫病。世界中でパンデミックが発生するんだ。この疫病の流行こそが、人類滅亡の狼煙になる」
なん……ンゴ!?
「もう御話しして構わないでしょうか。青龍」
「良いんじゃないか。本来なら魂が定着している頃合いだからね」
「では。あなた様の御名前は、高橋耕作と言います。およそ1500年前、西暦2016年の日本から来ました」
「ンゴ! やっぱりこれは流行りの異世界転生ンゴね!」
「いせか……? それは存じませんが、転生ではありません」
「そうなンゴ? 残念ゴ……」
「転生というのは、仏教でいう輪廻転生、生まれ変わりですよね。耕作様の魂は死んでおりません。死ぬ直前、ここにいる青龍の力により、時を超えて御招きしたのです」
「ンゴッ!?」
「死んでいませんから、転生というわけではないのです」
「ン~ゴ、つまり異世界召喚ゴね!」
「召喚ですか?」
「それも違うね。召喚というと、西洋の悪魔召喚のようなイメージだけど、あれはフィクション。現実的に何もない場所に質量を生み出すのは不可能だよ。それに、耕作様の肉体は別の時代にある」
「ンゴ!? じゃあ僕は何ンゴ? タイムトラベルンゴ?」
「概念としては、それに近いでしょうか。兎に角、耕作様の魂は1500年前から来ました。当時というのは、つまり2016年の日本という意味です」
「今の耕作様は、仮初の依代に宿っている魂だけの存在。元の時代から時を超え、物体を移動させるのは難しいんだよ。だから質量の少ない魂だけを招いた。これを招魂の術と呼ぶ」
魂だけを? 召喚じゃなく、招魂ゴ……?
「例えば成人男性の体重を60キロとしようか。その肉体を動かす魂は10グラム程度だ」
「へ~。軽いンゴね」
「魂というのは単なる情報の集合体。素粒子、光子、あるいは原子や分子、と呼ばれるものがあるだろう。パソコンなどの電子情報も同じだ。それを入れておく器が肉体であり脳であって、情報そのもの、魂はごくごく軽いものなんだよ。パソコンの筐体は重くても、記録媒体だけなら軽く持ち運びが簡単だ。そういうことさ」
「なるほどンゴ」
「最も、肉体が死ねば魂の中の情報も四散してしまうから、その前に保護しておかなければいけない。それだけでも膨大な力が必要だ」
「じゃあ、学校がないって、どういう意味ンゴ?」
「そのままの意味です。先ほど申し上げたように、日本は、地球は、人類は、滅亡に瀕しております。今生き残っている人間も、どこまで生き延びられるでしょうか」
「長くはないだろうね。人類に代わって毛人と呼んでいる生物が、今、本州などで繁殖しているみたいなんだ」
「毛人ゴ……?」
「はい。類人猿、雪男、イエティ。などと呼ばれるような生物に近いと思われますが、詳細は分かっておりません」
「確か朱雀隊だったよね」
「ええ、そうです青龍。最初に毛人を発見したのは朱雀隊でした。と言っても、今の私ではありません」
「まさか朱雀さんもタイムトラベラーなンゴ……!?」
「違います」
「違うよ」
そんな、声を揃えて否定しなくてもいいンゴ。
「朱雀というのは、代々皇室を守り続けてきたヤタガラスの、四つある部隊の一つです。朱雀、青龍、白虎、玄武。私たち朱雀の主な任務は、情報収集。つまり諜報員です。そして……」
朱雀さんが常に気配と足音を消して歩くのは、スパイだからンゴ?
「手前が青龍隊を率いている。青龍は秘術の研究を任されているんだ」
「秘術ンゴ!?」
「4000年間、皇室に代々伝わる秘術は、青龍隊が受け継ぐ。この力は皇室と日本を守るためだけに使われる。歴史の中でも、度々表に出ているよ」
……歴史って言った? 僕の得意分野ンゴ!
「そうだね、一例としては元寇」
「元寇ンゴ! 知ってるンゴ!」
「おや? 記憶の一部が……」
ん? そう言えば、何か思い出しそうな気がするンゴ……?
「先ほどもありましたわね。異世界がどうとか……こうして御話をするのは、記憶と心魂の定着に良い影響を与えているようです。いかがです? これからも折を見て、御話させて頂くというのは」
「それは良いね。手前も一緒しよう」
そんな話はどうでもいいンゴ!
「ンゴ! 元寇ンゴの話ンゴ!」
「そうだったね。脱線してしまった。元寇が日本上陸をしようとした際に、大風を呼び船団を追い払ったのは、青龍隊の力だったんだよ」
「ンゴォ~! しゅ、しゅごいンゴォ……」
「他に分かり易い例では、第二次世界大戦で敗戦した日本。この時、日本の滅亡を防いだのも青龍隊の力だよ」
「ンゴォ~!」
歴史の話! 大好きンゴ! 興奮するンゴォ!
「意識操作の術を用いて敵国の将マッカーサーに働きかけ……」
「マッカーサーンゴ!?」
「本来なら日本はその時点で滅んでいたんだ。その後、生き残ったヤタガラスが歴史に干渉、過去に遡ってマッカーサーを動かし、滅亡した日本の歴史を塗り替えた」
「ンゴオォ~!」
こっ、興奮するぅンゴォ!!
「2016年当時で言えば、疫病。世界中でパンデミックが発生するんだ。この疫病の流行こそが、人類滅亡の狼煙になる」
なん……ンゴ!?
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