赤いトラロープ〜たぶん、きっと運命の

ようさん

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それ行け!ファミリービジネス

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「祖父ちゃん……」「親方」

 俺達四人は恐る恐る、祖父ちゃんの言葉を待った。

「もし反対なら聞かなかったフリで……黙認しててくれるだけでいいんだけど」

「馬鹿野郎!孫の不始末ぁ、親代わりのこの俺の不始末だ。ほっかむりして知らんぷり、なんてできるわきゃねえだろうが!!」

 祖父ちゃんに久々に雷を落とされ、みんな縮み上がった。

「俺ら職人は、二言目にゃあ『根性見せろ、すじとおせ』って親方や兄さん方に怒鳴られながら歯ぁ食いしばって仕事を覚えたもんだ。
 が、世間様はどうだ。悲しい事に正義も道理もクソもねぇ、金持ってる奴だけがのさばって、弱いもんだけが泣き寝入りってなことがまかり通ってら。
 だがよ。それでもそれがお前さんなりの筋の通し方だってんなら、コソコソやらずに堂々とやれ。俺がみんなの代わりにまとめて頭も下げるし、塀ん中でも何でも入ってやらぁ」

「祖父ちゃん……!ありがとう」

「親方……!」

 こうなるとラスボスは……一番手強いこの人だけだ。

「清」

「清さん……」

 俺と玄英の事情を一番よく知る清さんは、難しい表情のままじっと腕を組んでいた。

「……そんな目で見ねぇでおくんなせぇ」

「……」

「坊ちゃんのためならともかく、俺ぁあの優男のために指一本動かしてやるつもりもねえし、その義理もねぇ」

「おい、清の字」「お前なあっ」

「兄さん方。いくら先方につき合いや義理あるからって親方に迷惑かけてまでやる事なんですかい?しかも青葉造園を危うくしてまで」

「……っ」

「世間でどれだけ持て囃されてるか知らんが、天才社長なら自分のケツくらい自分で拭けってんだ。そうでしょう?」

「……」

「ですが」

 清さんは俺の顔を真っ直ぐ見ると

「どうせ坊ちゃんは、一人でもお行きになるおつもりなんでしょ?ここで見過ごしたら男が廃るってもんでさ。腹なんて当に括ってます」

 と、渋々ながら言ってくれた。

「やったああ!清さん!大好き!」

 俺は嬉しさのあまり、清さんに抱きついたーー子どもの時以来だ。一杯ひっかけた酒の臭いと煙草臭くて整髪料臭い、清さんの匂いがした。

「ちょっ……ちょっと坊ちゃん、落ち着いて……」

「清さんがいてくれたら、百人力だ!絶対上手くいく気がしてきた!ありがとう、清さん、ありがとう、みんな!」
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