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独身は唯一無二
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さて、今日は〇月〇日。皆さん、いかがお過ごしでしょうか。先日、コラムを連載させていただいている雑誌で『憧れの芸能人夫婦ランキング』なるものを見ました。このラジオを聴いてくださっている方の中には、結婚されている方も独身の方もいらっしゃると思いますが、皆さんは『結婚』あるいは『夫婦』に対してどんな印象を持っていますか? 結婚前と結婚後で変わった方もいるかもしれませんし、そんなもの考えたこともないという方も中にはいるかもしれません。
かくいう私は独身ですが、既婚の先輩方の話を聞いていると、やっぱり羨ましいなと思うことが多々ありましたね。最近はそれほどでもありませんが、20代の頃は結婚願望も強かったですから。
数年前の飲み会で、新婚の男性を含めた数人で芸能人の話題になったことがありました。「芸能人のAさんって可愛いよね」という話になったところ、その新婚男性が言ったんです。この前奥様とテレビを観ていた時にそのAさんが出演していて、本当に何気なく「可愛いよね」と聞いたら、奥様に「こういう人がタイプなの?」と不機嫌そうに言われたとそりゃもう嬉しそうに語ってくれました。まぁいわゆる惚気というやつだったんですが、さりげなさすぎて逆に微笑ましかったですね。そういう会話が日常的でとても幸せなんだろうなと思ったものです。
一方で、接客業をしている友人が以前こんなことを言っていました。「たまにお店に変わったお客さんが来る」と。その人が指輪をしているのを見て、「旦那さんはどんな人だろう」と思っていると、大体『似たもの夫婦』なんだそうです。逆に、奥様か旦那様がしっりしている例もあるけれど、その時はよっぽど、ふたりが出会うタイミングが良かったんだろうなと感じるそうで。結婚に限らず、人間関係というのは、波長が合えば合うほど惹かれやすく、打てば響くような会話が心地よいものですよね。じゃあ、私たちってそういう男の人がこの世にいないのかしらなんて無理やり笑い話にするつもりで私が口にしたら、彼女がこう返してきたんです。「独身は唯一無二だから」と。深いなと思いました。確かに、見方を変えればというか、極限にポジティブに解釈すればそうですよね。似ている人も共感する人もいない、それがなんだと。思えばそれからかもしれません。私の薄れつつあった結婚願望が、急激に萎んでどうでも良くなったのは。当時、30代が目前だったこともあるでしょう。このまま『唯一無二』を守り続けるのも悪くないなと思ったんですね。あえて結婚にこだわることもないか、と。もちろん私を愛してくれる人に出会えたなら、これほど嬉しいことはありませんが、だからといって無理に探すことはやめてもいいかなと思ったんです。
よく「幸せは自分から探しにいくものだよ」なんて言葉を耳にします。「自分から動かなければ結婚相手なんて見つからないよ」なんて言われることもありますね。確かにそうなんでしょう。でもね、実際にそうしてみると、永遠の幸せを見つけることって一時の傷つきと引き換えなんだと嫌でも感じてしまいます。そしてその一時の傷つきが重なっていって、このまま相手が見つからなければ傷つき損じゃないかと思うところまでくると、途端に全てを投げ出したくなるんですね。本当の幸せを手にした人は、そこで投げ出さずに踏ん張った人なのかもしれません。傷つくことに耐えたからこそ手に入れた幸せ、なのでしょう。未来の幸せを想像できない私にとっては、ただの苦痛の時間でしかありませんでしたが。未来を信じることができる人にこそ、幸せは訪れるのかもしれませんね。私もそうやって未来に希望が持てるなら、もう少し意識は変わったんでしょうか。それとも所詮その程度で諦めてしまえるくらい、私は軽い気持ちだったということでしょうか。わかりません。ともあれ、私は30目前にして一切合切、婚活というものをやめました。一気に気持ちが楽になって、なんだかこのまま独身でもいいかななんて思うこともあります。だって、毎日好きなことができるし。ご飯だって自分の好きなものが食べられて、お金だって全部自分のことに使える。
高校時代の友人が私以上に「結婚なんて別に」という冷めた子でした。子どもも苦手だと事あるごとに言っていました。でも、彼女は私より先に結婚して、今や一児の母です。まだ新婚の頃、あんなに子どもは苦手だと言っていた彼女が「好きな人との子どもならほしいと思うものだよ」と答えたんです。私の考え方は昔からあまり変わっていないので、あぁ、彼女は本当の幸せに出会えたんだなと感慨深くなりました。この話を思い出すと、同時に『独身は唯一無二』が頭をよぎります。だって、そんな出会いがなければ私の固定観念も、きっとずっと変わることがないでしょうから。とはいえ、羨ましいとか妬ましいとか、そんなことはとっくに通り越して、彼女には幸せになってほしいと思っていますよ。
さて、皆さんは理想の結婚生活ってありますか? 同じテレビを観て、同じご飯を食べて、同じ部屋で寝る。当たり前のことが当たり前にできる生活っていいですよね。私はね、同じ空間にいて別のことをできる夫婦って素敵だなと思うんです。私が本を読んでいる時、旦那さんがゲームをしているとか。家事は助け合って協力していきたいものですが、趣味の時間はそれぞれ好きに使う。そんなことができたらいいなと。最近は女性の推し活に寛容な男性も増えましたよね。逆も然りでしょうか。なんというか『人類総オタク時代』というとなんだかとてつもなく壮大ですが、でもどんな年代のどんな性格の人も、何かひとつくらいは夢中になれるものを持っていますよね。昔に比べてコンテンツも増え、ネット環境によって趣味の幅も増えました。だから、お互いの趣味について理解し合える。休日には別々の場所に出かけるなんてご夫婦もいらっしゃるかもしれません。それがふたりにとって幸せなことなら、誰が何と言おうと素晴らしいことですよね。
そろそろお別れの時間です。結婚観というのは人それぞれだと思います。やっぱり独身がいいという方もいることでしょう。私もいつか出会えるかな、なんて高望みでしょうか。さっきも言ったように、何もしなければ何も変わらないのかもしれませんね。でも、いつか私がこの世にお別れする時にたったひとりだったら、とふと考えることがあります。私が生きた証って、誰が証明してくれるんだろうと。そんな時は、結婚相手でなくても、そういう人がいたら幸せだろうなと思いを馳せることで、なんとか正気を保っています。では、また来週お会いしましょう。深見小夜子でした。
かくいう私は独身ですが、既婚の先輩方の話を聞いていると、やっぱり羨ましいなと思うことが多々ありましたね。最近はそれほどでもありませんが、20代の頃は結婚願望も強かったですから。
数年前の飲み会で、新婚の男性を含めた数人で芸能人の話題になったことがありました。「芸能人のAさんって可愛いよね」という話になったところ、その新婚男性が言ったんです。この前奥様とテレビを観ていた時にそのAさんが出演していて、本当に何気なく「可愛いよね」と聞いたら、奥様に「こういう人がタイプなの?」と不機嫌そうに言われたとそりゃもう嬉しそうに語ってくれました。まぁいわゆる惚気というやつだったんですが、さりげなさすぎて逆に微笑ましかったですね。そういう会話が日常的でとても幸せなんだろうなと思ったものです。
一方で、接客業をしている友人が以前こんなことを言っていました。「たまにお店に変わったお客さんが来る」と。その人が指輪をしているのを見て、「旦那さんはどんな人だろう」と思っていると、大体『似たもの夫婦』なんだそうです。逆に、奥様か旦那様がしっりしている例もあるけれど、その時はよっぽど、ふたりが出会うタイミングが良かったんだろうなと感じるそうで。結婚に限らず、人間関係というのは、波長が合えば合うほど惹かれやすく、打てば響くような会話が心地よいものですよね。じゃあ、私たちってそういう男の人がこの世にいないのかしらなんて無理やり笑い話にするつもりで私が口にしたら、彼女がこう返してきたんです。「独身は唯一無二だから」と。深いなと思いました。確かに、見方を変えればというか、極限にポジティブに解釈すればそうですよね。似ている人も共感する人もいない、それがなんだと。思えばそれからかもしれません。私の薄れつつあった結婚願望が、急激に萎んでどうでも良くなったのは。当時、30代が目前だったこともあるでしょう。このまま『唯一無二』を守り続けるのも悪くないなと思ったんですね。あえて結婚にこだわることもないか、と。もちろん私を愛してくれる人に出会えたなら、これほど嬉しいことはありませんが、だからといって無理に探すことはやめてもいいかなと思ったんです。
よく「幸せは自分から探しにいくものだよ」なんて言葉を耳にします。「自分から動かなければ結婚相手なんて見つからないよ」なんて言われることもありますね。確かにそうなんでしょう。でもね、実際にそうしてみると、永遠の幸せを見つけることって一時の傷つきと引き換えなんだと嫌でも感じてしまいます。そしてその一時の傷つきが重なっていって、このまま相手が見つからなければ傷つき損じゃないかと思うところまでくると、途端に全てを投げ出したくなるんですね。本当の幸せを手にした人は、そこで投げ出さずに踏ん張った人なのかもしれません。傷つくことに耐えたからこそ手に入れた幸せ、なのでしょう。未来の幸せを想像できない私にとっては、ただの苦痛の時間でしかありませんでしたが。未来を信じることができる人にこそ、幸せは訪れるのかもしれませんね。私もそうやって未来に希望が持てるなら、もう少し意識は変わったんでしょうか。それとも所詮その程度で諦めてしまえるくらい、私は軽い気持ちだったということでしょうか。わかりません。ともあれ、私は30目前にして一切合切、婚活というものをやめました。一気に気持ちが楽になって、なんだかこのまま独身でもいいかななんて思うこともあります。だって、毎日好きなことができるし。ご飯だって自分の好きなものが食べられて、お金だって全部自分のことに使える。
高校時代の友人が私以上に「結婚なんて別に」という冷めた子でした。子どもも苦手だと事あるごとに言っていました。でも、彼女は私より先に結婚して、今や一児の母です。まだ新婚の頃、あんなに子どもは苦手だと言っていた彼女が「好きな人との子どもならほしいと思うものだよ」と答えたんです。私の考え方は昔からあまり変わっていないので、あぁ、彼女は本当の幸せに出会えたんだなと感慨深くなりました。この話を思い出すと、同時に『独身は唯一無二』が頭をよぎります。だって、そんな出会いがなければ私の固定観念も、きっとずっと変わることがないでしょうから。とはいえ、羨ましいとか妬ましいとか、そんなことはとっくに通り越して、彼女には幸せになってほしいと思っていますよ。
さて、皆さんは理想の結婚生活ってありますか? 同じテレビを観て、同じご飯を食べて、同じ部屋で寝る。当たり前のことが当たり前にできる生活っていいですよね。私はね、同じ空間にいて別のことをできる夫婦って素敵だなと思うんです。私が本を読んでいる時、旦那さんがゲームをしているとか。家事は助け合って協力していきたいものですが、趣味の時間はそれぞれ好きに使う。そんなことができたらいいなと。最近は女性の推し活に寛容な男性も増えましたよね。逆も然りでしょうか。なんというか『人類総オタク時代』というとなんだかとてつもなく壮大ですが、でもどんな年代のどんな性格の人も、何かひとつくらいは夢中になれるものを持っていますよね。昔に比べてコンテンツも増え、ネット環境によって趣味の幅も増えました。だから、お互いの趣味について理解し合える。休日には別々の場所に出かけるなんてご夫婦もいらっしゃるかもしれません。それがふたりにとって幸せなことなら、誰が何と言おうと素晴らしいことですよね。
そろそろお別れの時間です。結婚観というのは人それぞれだと思います。やっぱり独身がいいという方もいることでしょう。私もいつか出会えるかな、なんて高望みでしょうか。さっきも言ったように、何もしなければ何も変わらないのかもしれませんね。でも、いつか私がこの世にお別れする時にたったひとりだったら、とふと考えることがあります。私が生きた証って、誰が証明してくれるんだろうと。そんな時は、結婚相手でなくても、そういう人がいたら幸せだろうなと思いを馳せることで、なんとか正気を保っています。では、また来週お会いしましょう。深見小夜子でした。
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