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天才と何とかは紙一重
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さて、今日は〇月〇日。皆さん、いかがお過ごしでしょうか。最近話題のニュースといえば、やっぱり野球でしょうか。誰もが夢中になりましたよね。今回の放送は平日の朝でしたけど、道路が空くくらいみんな釘付けだったようですね。スポーツってルールもうろ覚え、あるいはほとんど知らなくても、どうしてあんなに盛り上がることができるんでしょうね。CMさえももどかしく、深夜だろうが早朝だろうが、やっぱりリアルタイムで楽しみたいものの一つですよね。
私はバレーボール部だったんですけどね・・・「え、身長低いのに?」と思いました? まぁジャンプしてもネットから手は出ませんでしたけど。でもね、私はありがたくもレシーブが上手だったので、リベロという守備専門のポジションを得ることができたんですね。強い攻撃が来れば来るほど、興奮したものです。あれ、私ってMだったのかしら、なんて話はどうでもよくて、やっぱり自分が経験したことのあるスポーツはより楽しめますよね。ルールも知っているし、選手の動きもなんとなく読める。試合展開に一喜一憂しながら、点が入った時は選手以上に叫んでしまう。そういう感覚を、知らない誰かとでも共有できるのが気持ちいいのかもしれませんね。
スポーツに限らず、『天才』って世の中にはいますよね。何をもって天才というかは、きっと分野によって違うと思いますが、スポーツ界では実績を残した上で後世に語り継がれる記録を持つ人のことを言うのでしょうか。でも、監督やアスリートを支える裏方の人たちにだってきっと『天才』はいるはず。皆さんの近くにも、きっといると思います。
よく『天才と何とかは紙一重』っていいますよね。あれって、いろんなニュアンスを含んでいると思うんです。たとえば『馬鹿正直』なんて言葉がありますけど、馬鹿みたいにまっすぐひたむきに、それにずっと打ち込んで来た人のことを『天才』と言ったり。『馬鹿力』なんて言葉がある通り、その分野であり得ないほどの力を出せる人のことを『天才』と言ったり。
それ以上に私はね、社会に出てよく考えることがあるんです。以前、会社に勤めていた頃、上司たちの話を聞いていたら、私が輪の中に入る余地もなく、どんどん話が進んでいって、「あぁそういう意味か」と私が咀嚼し終えた時には、もう話が終わっていたことがありました。上司たちの頭の回転と会話のリズムが速すぎて、私ごときにはついていけなかったわけですね。いわゆる『天才』とはこの頭の回転の速さをも無視して、思考回路そのものが一足飛びなのでしょう。凡人が一生懸命考えて辿り着く答えに、一瞬で到達してしまう。しかも『天才』にはそれが当たり前で、もちろん本人なりに考えた結果なのでしょうが、あまりにも突飛すぎて凡人からすると「何言ってるの?」となるじゃないですか。そうなってしまうと、『天才』と『天然』の区別ってつきにくいんですよね。要は本人がわかっていて言っているのか、わかっていないで言っているかですが、どちらにしても周囲にはそのわかっているかどうかがわからないので、一緒くたにされてしまうんですね。
それがきっと『天才と何とかは紙一重』の真意だと思っているのですが、皆さんもそういう経験あるんじゃないでしょうか。「何言ってんの?」と思っていたけれど、よくよくよーく考えたら同じ結論に達したとか。自分には思いつかないけれど、それはとてもいい案だったとか。そもそも『天才』って発想力が飛び抜けているから、それを認めてもらえる場所って少ないのかもしれませんよね。何を馬鹿なことを言っているんだと、ところによっては一蹴されてしまう可能性だってありますから。
でも、ひとたびそれが認められれば、将来は約束されたも同然かもしれません。私のような凡人にしてみると、「あぁ羨ましい」だなんて思いますが、天才には天才なりの苦悩があるのでしょう。天才にしか辿り着けない境地は、当然ながら天才しか知らないわけなので、それをいかに凡人に・・・とは思っていないでしょうが、周囲に伝えるかが天才にはある意味難しいのかもしれません。
皆さんも新入社員を迎える季節かと思いますが、自分が知っていること、当たり前のことって、案外教えるのが難しいんですよね。どこまで噛み砕けばいいのか、そもそも基礎と呼ばれるのがどこからどこまでなのか、私にはもうわからない、という古参の方も多いはず。教えることは自分の勉強にもなる、というのはそういうことなのでしょうね。
世の中には『天才』と呼ばれる人が確かにいます。自信があって才能があって、実力がある。凡人から見ると、努力さえしていないように見えますが、そんな人は一握りで、努力あっての『天才』のほうが多いことでしょう。いえ、むしろ『努力こそ天才の証』と考える人もいるかもしれません。私もそう思います。人並み以上に『努力』できる人も、それはそれで『才能』ですし、『努力』という分野での『天才』なのだと思います。
でもね、無理してその『天才』の域に手を伸ばさなくてもいいとも思うのです。だって、『天才』は『天才』ですから。いいじゃないですか、『馬鹿』だって。いい言葉じゃないから嫌だって? いかにも馬鹿にされてるみたいだから嫌だって? でもね、『馬鹿』みたいに夢中になれることも、これまた『才能』だと思うんですよ、私は。『好きこそものの上手なれ』って言うじゃないですか。『火事場の馬鹿力』とも言うし、『馬鹿正直』だって別に悪いことじゃないと思うのです。正直が一番とは限らないし、もちろん私自身嘘をついたこともあります、というかある意味では嘘だらけですけどね、私の人生は。ともあれ、自分が損することになったとしても、周りに呆れられたとしても、『馬鹿正直』でいることは簡単なことじゃありませんから。
『天才』じゃなくても『馬鹿』じゃなくても、ただの凡人だって『私は私』です。皆さんの『私』の中ではきっと『天才』と思うところと『馬鹿』と思うところが共存しているのではないでしょうか。それがきっと『人間』であり、『主観』であると思うのです。そろそろお別れの時間です。あなたはあなたに胸を張って明日からも過ごしていきましょうね。では、また来週。深見小夜子でした。
私はバレーボール部だったんですけどね・・・「え、身長低いのに?」と思いました? まぁジャンプしてもネットから手は出ませんでしたけど。でもね、私はありがたくもレシーブが上手だったので、リベロという守備専門のポジションを得ることができたんですね。強い攻撃が来れば来るほど、興奮したものです。あれ、私ってMだったのかしら、なんて話はどうでもよくて、やっぱり自分が経験したことのあるスポーツはより楽しめますよね。ルールも知っているし、選手の動きもなんとなく読める。試合展開に一喜一憂しながら、点が入った時は選手以上に叫んでしまう。そういう感覚を、知らない誰かとでも共有できるのが気持ちいいのかもしれませんね。
スポーツに限らず、『天才』って世の中にはいますよね。何をもって天才というかは、きっと分野によって違うと思いますが、スポーツ界では実績を残した上で後世に語り継がれる記録を持つ人のことを言うのでしょうか。でも、監督やアスリートを支える裏方の人たちにだってきっと『天才』はいるはず。皆さんの近くにも、きっといると思います。
よく『天才と何とかは紙一重』っていいますよね。あれって、いろんなニュアンスを含んでいると思うんです。たとえば『馬鹿正直』なんて言葉がありますけど、馬鹿みたいにまっすぐひたむきに、それにずっと打ち込んで来た人のことを『天才』と言ったり。『馬鹿力』なんて言葉がある通り、その分野であり得ないほどの力を出せる人のことを『天才』と言ったり。
それ以上に私はね、社会に出てよく考えることがあるんです。以前、会社に勤めていた頃、上司たちの話を聞いていたら、私が輪の中に入る余地もなく、どんどん話が進んでいって、「あぁそういう意味か」と私が咀嚼し終えた時には、もう話が終わっていたことがありました。上司たちの頭の回転と会話のリズムが速すぎて、私ごときにはついていけなかったわけですね。いわゆる『天才』とはこの頭の回転の速さをも無視して、思考回路そのものが一足飛びなのでしょう。凡人が一生懸命考えて辿り着く答えに、一瞬で到達してしまう。しかも『天才』にはそれが当たり前で、もちろん本人なりに考えた結果なのでしょうが、あまりにも突飛すぎて凡人からすると「何言ってるの?」となるじゃないですか。そうなってしまうと、『天才』と『天然』の区別ってつきにくいんですよね。要は本人がわかっていて言っているのか、わかっていないで言っているかですが、どちらにしても周囲にはそのわかっているかどうかがわからないので、一緒くたにされてしまうんですね。
それがきっと『天才と何とかは紙一重』の真意だと思っているのですが、皆さんもそういう経験あるんじゃないでしょうか。「何言ってんの?」と思っていたけれど、よくよくよーく考えたら同じ結論に達したとか。自分には思いつかないけれど、それはとてもいい案だったとか。そもそも『天才』って発想力が飛び抜けているから、それを認めてもらえる場所って少ないのかもしれませんよね。何を馬鹿なことを言っているんだと、ところによっては一蹴されてしまう可能性だってありますから。
でも、ひとたびそれが認められれば、将来は約束されたも同然かもしれません。私のような凡人にしてみると、「あぁ羨ましい」だなんて思いますが、天才には天才なりの苦悩があるのでしょう。天才にしか辿り着けない境地は、当然ながら天才しか知らないわけなので、それをいかに凡人に・・・とは思っていないでしょうが、周囲に伝えるかが天才にはある意味難しいのかもしれません。
皆さんも新入社員を迎える季節かと思いますが、自分が知っていること、当たり前のことって、案外教えるのが難しいんですよね。どこまで噛み砕けばいいのか、そもそも基礎と呼ばれるのがどこからどこまでなのか、私にはもうわからない、という古参の方も多いはず。教えることは自分の勉強にもなる、というのはそういうことなのでしょうね。
世の中には『天才』と呼ばれる人が確かにいます。自信があって才能があって、実力がある。凡人から見ると、努力さえしていないように見えますが、そんな人は一握りで、努力あっての『天才』のほうが多いことでしょう。いえ、むしろ『努力こそ天才の証』と考える人もいるかもしれません。私もそう思います。人並み以上に『努力』できる人も、それはそれで『才能』ですし、『努力』という分野での『天才』なのだと思います。
でもね、無理してその『天才』の域に手を伸ばさなくてもいいとも思うのです。だって、『天才』は『天才』ですから。いいじゃないですか、『馬鹿』だって。いい言葉じゃないから嫌だって? いかにも馬鹿にされてるみたいだから嫌だって? でもね、『馬鹿』みたいに夢中になれることも、これまた『才能』だと思うんですよ、私は。『好きこそものの上手なれ』って言うじゃないですか。『火事場の馬鹿力』とも言うし、『馬鹿正直』だって別に悪いことじゃないと思うのです。正直が一番とは限らないし、もちろん私自身嘘をついたこともあります、というかある意味では嘘だらけですけどね、私の人生は。ともあれ、自分が損することになったとしても、周りに呆れられたとしても、『馬鹿正直』でいることは簡単なことじゃありませんから。
『天才』じゃなくても『馬鹿』じゃなくても、ただの凡人だって『私は私』です。皆さんの『私』の中ではきっと『天才』と思うところと『馬鹿』と思うところが共存しているのではないでしょうか。それがきっと『人間』であり、『主観』であると思うのです。そろそろお別れの時間です。あなたはあなたに胸を張って明日からも過ごしていきましょうね。では、また来週。深見小夜子でした。
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