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一章 魔王城、意外と居心地がいい気がする。
24※微
しおりを挟むキイィ、バタン、と殊更静かに開閉音を鳴らす豪奢な扉がもの悲しい。
こんな状態でなければ、アゼルを追い出すことなんて決してなかっただろう。俺は罪悪感で悲鳴をあげそうな心を押さえつける。
どうしてか、焦燥感に駆られて、些細なことがお互いにうまくいかない。
傷つけるつもりはなかったのに。
どうして、と理由を考えようとしても今は全く脳みそが使い物にならず、思い通りにならない身体と掻き立てられるだけ掻き立てられた欲を処理するしかない。
霞みがかった頭で緩慢な体をひきずり、ベッドにちゃんと乗ろうともがくが、当然這い上がることはできない。
「ッひ、……く…ぅ……」
拙くもがくうちにズル、とシーツをひきずって、ついにベッドから落ちてしまった。
それでも柔らかな絨毯があるので、体に負担がかかることはないだろう。
ここは背に腹は変えられない。
崩れ落ちた俺は絨毯にはしたなくも丸くなり、夜着の隙間に手を滑り込ませた。
「ぅっ……う……ぅあ……」
既に少し湿り気を帯びていた陰茎は、指を絡めて何度か刺激すると驚くほど早く芯を持ち、明確に粘液を吐き出す。
前の世界を含めても性欲に気を回すほど余裕がなくてそんな気分になれず、ほとんど触れていなかったからだろう。
クチクチと濡れるモノが、待ちわびたように貪欲に刺激を受け取っている。
「……んっ……んんっ………」
慰め始めて幾ばくもないうちに、抑えきれない声とともにドクッ、と濃厚な白濁を手の中に放ってしまった。
記録的な早さだ。泣きたい。
俺史上最速を叩き出した射精の早さだが、吐精間もないにもかかわらず手の中の陰茎はしっかりと芯を保っていて、更に頭を抱えたくなった。
不可抗力とはいえ、なんて恥知らずな。
他人の城の他人の牢。
その絨毯の上へ丸まりながら、ベッドの足元で自慰に没頭する。
状況を整理すると、とてつもなく罪深いことのような気がしてきた。
それでも放っておいても収まることがないだろうくらいの官能が陰部に熱をもたらしていて、俺は観念してまぶたを閉じ、無心で手を動かす。
「クソ……毒のせい……、っく……毒のせい、だ……はっ……ぁ、っ……」
口を開かなければ、久しぶりに感じる快感がこんなにドロ沼のようだったかと溺れそうで、息ができなかった。
はしたない自分から目を逸らしたい言い訳の合間に、クチュ、ヌル、と粘着質な音が手のひらと肉棒の間で奏でられる。
貧血でクラクラする脳を甘やかして、都合のいい言葉を呟きながら何度も擦った。
自慰に夢中な間は、痛みも苦しさも気だるさも、ずいぶん麻痺するのだ。
俺を蝕む毒が、獲物に心地よさを与えて生き血を飲むためのものだからだろう。
あれだけたくさん吸い取られたのだから、同じだけの毒が体に流れ込んだのは必然だった。
血が足りずに冷えていても気持ちいいと喘ぐなんて、狂っている。
「あ……っ……とまら……ない……」
なのに、気持ちいい。
血の気が失せても、体が熱かった。
吐息が喉を通る感覚すらくすぐったいくらいで、空気に犯されている気さえした。
閉じ切らない唇の端から零れた唾液が絨毯の繊維を濡らすが、どうでもいい。
ピクン、ピクンと身体が小刻みに痙攣を始めるのは、細胞が絶頂を追い求めているからだ。
「あ……もっ……う……あっ……」
乱れた呼吸の間隔が、感じるたびに加速度的に短くなっていった。
手の動きが激しさを増し、たまらず体とともに引きずってしまったシーツに、噛みつく。
「──く、ぅ……ン……ッ」
唾液を吸い込んで湿っていくシーツの、淫らな味わい。
二度目の射精は、一度目よりはいくらかかかったが、それでも淫らな気持ちの収まらないまま腰を痺れさせるような快感を伝えた。
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