誰かの二番目じゃいられない

木樫

文字の大きさ
上 下
23 / 42
2.バカにされては笑えない

15※

しおりを挟む


「ぁはっ……すげ、イイ……っ」

「ん……朝五がいいと、嬉しい」

「イイ……っ、はっ……もっと強くっ……ずっと……ずっと突いてっ……」

「わかった。ふ、ずっと、する」


 男を抱くのは初めてだと気にする夜鳥は、肉欲の赴くまま乱暴に貪らず、朝五の言うことをよく聞く。

 顔色のあまり変わらない夜鳥だが、実にそそる表情をするのだ。

 熱っぽい息を吐き時折眉根を寄せて射精をこらえながら、朝五が望む通りの快楽を送り込んで腰を打ちつける。


「あ~……ったまんねぇ……っ覚え早いな夜鳥……あっ…ふ、気持ちいいよ……最高っ……はぁ、ん……っ」


 夜鳥の与える恍惚感に、朝五は艶のある声を漏らして酩酊した。

 わざと快感を言葉にして、男を煽ることも忘れない。声を我慢せずにあげることはスパイスだ。
 多少演技をすることもよくあるが、夜鳥とのセックスは不思議と満足度が高く、そうせずとも体が盛り上がった。

 朝五はいつも、気持ちよく、気持ちよさそうに恋人とセックスをする。
 おかげで夜に不満を持たれたことはない。感じやすく、ノリがいい。


「ふっ……朝五……」

「はっ……! あっ……!」

「俺、やっぱ下手くそでごめん、なのに……朝五に触れて幸せ……」


 結合部が奏でる粘着音と共に、汗ばんだ肌がぶつかりぱん、ぱん、と破裂した。

 ギシ、と軋むベッド。
 引いては貫く。
 オーダー通り激しい律動。

 絡みつく媚肉を引きずってヌルリと退いた怒張が隙間を埋めようと圧着する襞同士を直後ゾリゾリと引き裂き、強かに直腸の曲がり角を抉るのだ。

 朝五はシーツから背筋が浮くほどしなり、淫らな淫蕩は止まない。

 そんな朝五の体を、夜鳥は感極まったように甘えながら、強く強く抱きしめる。


「こんなの知ったら……もうお触り禁止な他人じゃ、いられないな……」


 夜鳥の男根が中でビクンと脈動するのを感じた。夜鳥も初めての男の中で絶頂を迎えようとしている。

 夜鳥は朝五に出入りして、気持ちがいいのだ。そう思うと、朝五はたまらない。
 胸が何度もキュウキュウと縮こまり、硬く勃起した屹立から迸りそうになる。


「夜、鳥」

「んぅ」


 自身を慰めている手とは逆の腕を夜鳥の首に回し、健気な男の唇にちゅむ、と自分のそれを重ね合わせた。

 角度を変えて何度も味わう。
 鼻息がフゥフゥとかかる生温さもベッドじゃ興奮材料でしかない。


「んっ……ふっ…ぁ……っイク……イキそ……っ」


 喉の渇きの赴くままに舌を差し込み夢中になって夜鳥の口内を貪ると、一定だった律動が小刻みで早いものへと変化した。

 トットッと激しく追い上げる腰使いに、朝五の熱は押し出され、目の奥がチカチカと瞬き始める。
 イク、イク、と繰り返すが、夜鳥は動きを緩めない。


「イク、も、っ夜鳥……っ」

「いいよ、俺も、限界っ……」

「──ン……ッッ!」


 そうして汗ばんだ肢体を重ね合いながら深く穿たれた途端──朝五は肉悦の極致へ昇り詰め、ドク、と精を迸らせた。

 絶頂と共にトロけた内部がぎゅぅぎゅぅとうねりを帯びてキツく収縮を繰り返す。

 数拍ののち、咥え込んだ怒張の脈動を感じた。夜鳥も達したらしい。快楽を共有した愉悦の耽溺に浸り、ぼんやりと蕩揺する。


(……全然慣れてねーセックスなのに、すっげ、気持ちかった……)

「はっ……朝五、大好き……」

「あ……ぅん……」


 出会いから散々言われたはずの夜鳥の言葉に、ピクン……と甘い戦慄きを覚える気だるい腰の中腹。

 朝五は体の満足以上になにやら満たされていくような気がして、唇を噛み締めた。




しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

恋した貴方はαなロミオ

須藤慎弥
BL
Ω性の凛太が恋したのは、ロミオに扮したα性の結城先輩でした。 Ω性に引け目を感じている凛太。 凛太を運命の番だと信じているα性の結城。 すれ違う二人を引き寄せたヒート。 ほんわか現代BLオメガバース♡ ※二人それぞれの視点が交互に展開します ※R 18要素はほとんどありませんが、表現と受け取り方に個人差があるものと判断しレーティングマークを付けさせていただきますm(*_ _)m ※fujossy様にて行われました「コスプレ」をテーマにした短編コンテスト出品作です

【第1章完結】悪役令息に転生して絶望していたら王国至宝のエルフ様にヨシヨシしてもらえるので、頑張って生きたいと思います!

梻メギ
BL
「あ…もう、駄目だ」プツリと糸が切れるように限界を迎え死に至ったブラック企業に勤める主人公は、目覚めると悪役令息になっていた。どのルートを辿っても断罪確定な悪役令息に生まれ変わったことに絶望した主人公は、頑張る意欲そして生きる気力を失い床に伏してしまう。そんな、人生の何もかもに絶望した主人公の元へ王国お抱えのエルフ様がやってきて───!? 【王国至宝のエルフ様×元社畜のお疲れ悪役令息】 ▼第2章2025年1月18日より投稿予定 ▼この作品と出会ってくださり、ありがとうございます!初投稿になります、どうか温かい目で見守っていただけますと幸いです。 ▼こちらの作品はムーンライトノベルズ様にも投稿しております。

夢見がちオメガ姫の理想のアルファ王子

葉薊【ハアザミ】
BL
四方木 聖(よもぎ ひじり)はちょっぴり夢見がちな乙女男子。 幼少の頃は父母のような理想の家庭を築くのが夢だったが、自分が理想のオメガから程遠いと知って断念する。 一方で、かつてはオメガだと信じて疑わなかった幼馴染の嘉瀬 冬治(かせ とうじ)は聖理想のアルファへと成長を遂げていた。 やがて冬治への恋心を自覚する聖だが、理想のオメガからは程遠い自分ではふさわしくないという思い込みに苛まれる。 ※ちょっぴりサブカプあり。全てアルファ×オメガです。

紹介なんてされたくありません!

mahiro
BL
普通ならば「家族に紹介したい」と言われたら、嬉しいものなのだと思う。 けれど僕は男で目の前で平然と言ってのけたこの人物も男なわけで。 断りの言葉を言いかけた瞬間、来客を知らせるインターフォンが鳴り響き……?

【BL】婚約破棄で『不能男』認定された公爵に憑依したから、やり返すことにした。~計画で元婚約者の相手を狙ったら溺愛された~

楠ノ木雫
BL
 俺が憑依したのは、容姿端麗で由緒正しい公爵家の当主だった。憑依する前日、婚約者に婚約破棄をされ『不能男認定』をされた、クズ公爵に。  これから俺がこの公爵として生きていくことになっしまったが、流石の俺も『不能男』にはキレたため、元婚約者に仕返しをする事を決意する。  計画のために、元婚約者の今の婚約者、第二皇子を狙うが……  ※以前作ったものを改稿しBL版にリメイクしました。  ※他のサイトにも投稿しています。

【完結】運命さんこんにちは、さようなら

ハリネズミ
BL
Ωである神楽 咲(かぐら さき)は『運命』と出会ったが、知らない間に番になっていたのは別の人物、影山 燐(かげやま りん)だった。 とある誤解から思うように優しくできない燐と、番=家族だと考え、家族が欲しかったことから簡単に受け入れてしまったマイペースな咲とのちぐはぐでピュアなラブストーリー。 ========== 完結しました。ありがとうございました。

幼馴染は僕を選ばない。

佳乃
BL
ずっと続くと思っていた〈腐れ縁〉は〈腐った縁〉だった。 僕は好きだったのに、ずっと一緒にいられると思っていたのに。 僕がいた場所は僕じゃ無い誰かの場所となり、繋がっていると思っていた縁は腐り果てて切れてしまった。 好きだった。 好きだった。 好きだった。 離れることで断ち切った縁。 気付いた時に断ち切られていた縁。 辛いのは、苦しいのは彼なのか、僕なのか…。

家事代行サービスにdomの溺愛は必要ありません!

灯璃
BL
家事代行サービスで働く鏑木(かぶらぎ) 慧(けい)はある日、高級マンションの一室に仕事に向かった。だが、住人の男性は入る事すら拒否し、何故かなかなか中に入れてくれない。 何度かの押し問答の後、なんとか慧は中に入れてもらえる事になった。だが、男性からは冷たくオレの部屋には入るなと言われてしまう。 仕方ないと気にせず仕事をし、気が重いまま次の日も訪れると、昨日とは打って変わって男性、秋水(しゅうすい) 龍士郎(りゅうしろう)は慧の料理を褒めた。 思ったより悪い人ではないのかもと慧が思った時、彼がdom、支配する側の人間だという事に気づいてしまう。subである慧は彼と一定の距離を置こうとするがーー。 みたいな、ゆるいdom/subユニバース。ふんわり過ぎてdom/subユニバースにする必要あったのかとか疑問に思ってはいけない。 ※完結しました!ありがとうございました!

処理中です...