22 / 42
2.バカにされては笑えない
14※
しおりを挟む自分の中に入っていた手でゆっくりと肉棒を扱き、早く、と強請る。
そしてやっと丸みを帯びた先端が入り口をつつき、グプッ……と朝五の中へ頭を潜り込ませた。
「く、っ……ふ……」
じれったい動きだ。
探り探りに埋め込まれていく。
せっかく亀頭を咥えたのに、逞しい勃起は半分ほどしか与えられず、ぬちぬちと慣らすように往復している。
きゅっと口を締めて誘ってみるが、夜鳥は誘いに乗らない。朝五の太ももや結合部を指先でなぞって具合を見ている。
本来の用途ではない器官に自分の男根が呑み込まれている様が信じがたいらしい。
男を相手にしたことがないらしい夜鳥には神秘に思えても、抱かれることに慣れている朝五にとっては熟知した行為にすぎない。
男に貫かれる快感を知っている淫靡な肉体には、夜鳥の挿入は慎重すぎる。
こんなに優しく抱かれたこともない。
前立腺のある浅いところを小刻みに往復されるのも気持ちがいいけれど、朝五が好きなセックスは、骨がぶつかるくらいに激しいものだ。もどかしさからつい尻が揺れる。
「あ、も……思い切り突っ込めよ……っ」
「でも、半分でも食いちぎられそうなくらい窮屈なんだよ……?」
「はっ……あっ……それは最近使ってねぇからでっ……んっ……すぐ慣れるって……」
「それに俺、初めてだから、朝五に傷をつけるかもしれないでしょ」
「や、俺のほうは割と使い込んだわけでして、マジで慣れてっから、早く……っん……はっ……ゆっくりされんの、なんか変……あっ……奥のほうがムズムズしてるっぽいし……?」
「じゃあ、挿れてから揺らすかな」
「っぐ、ぅあっ……!」
焦れる朝五の懇願に、夜鳥はずぷんっ、とひと息に根元まで突きこんだ。
だからと言っていきなり挿れるな。
内側から声をあげされられたようで、不意打ちをくらって決まりが悪い。
不貞腐れた朝五が腕を伸ばすと、夜鳥は拙いキスをした。
キスは朝五に分がある。こちらから舌を絡めて唾液をすすり、唇ごと感じさせてやると、中のモノが悦さそうに動いた。
「ん……ふ……んっ……んんっ……」
ぐち、ぐち、と半分ほどは埋め込んだまま短いストロークで腰を揺すり、大きさに慣らされていく。
直腸を他人の肉に支配される感覚。
内臓が押しつぶされる圧迫感。
客観視すると拷問に近いが、これがすこぶる気持ちいい。
前立腺が往復する幹にぐりぐりとこそがれると自然に喘ぎ、汗ばんた肌が淡く色づく。セックスは久しぶり。他人の体温が朝五は存外好きなのだ。
「はっ……あ、っ……あっ……!」
唇を離して、喉をそらせる。
こなれた体なもので、簡単だ。
挿れられるだけで肉襞はきゅうきゅうと収斂し、勃起した性器が濡れる。
「あ……っ…ん……んっ……」
突き上げるというよりは、送り込むような腰使い。恥骨で尻肉を押しつぶしているみたいな動きだ。
トン、トン、とゆっくり丁寧に動く。
しかし奥をグリ、ときっちりえぐるのだから、そそられる。──今日はなぜか、めちゃくちゃに抱かれたい気分なのに。
(焦れって……)
「痛くない?」
「全然、ん、く」
両足を抱えるように覆いかぶさられ、待ち望んだ快感に甘く揺らぐ朝五の顔を、夜鳥の瞳が映し出した。
「はっ……夜鳥……もっと激しくシてくんね……? そういう気分、っん、あっ」
「う、ん。でも、男はどこがいいのか難しい。どんな感じで突けばいい?」
「お前ので腹側こそぐ感じ、っあ、っ……んっ……そうそこ……っ、んっ……」
「ここ?」
「あっそこっ……そこイイっ……んっ……そこばっか突いてて……はっ……っう……あっ」
覚束ない様子で腰を振る夜鳥に自分の弱いところを教え探らせると、夜鳥は従順に角度を調整する。
奥を貫かれる時より、退かれる時のほうが気持ちがいい。
カリ首が前立腺を引っ掻くように調整させ、そのまま振り子のように一定のリズムで律動を繰り返させる。
「ンっ……ンっ……」
筋肉質な尻と逞しい恥骨がぶつかり合うたび、朝五はしどけなく開いた唇から悦に入った声を上げた。
20
お気に入りに追加
68
あなたにおすすめの小説

【完結】I adore you
ひつじのめい
BL
幼馴染みの蒼はルックスはモテる要素しかないのに、性格まで良くて羨ましく思いながらも夏樹は蒼の事を1番の友達だと思っていた。
そんな時、夏樹に彼女が出来た事が引き金となり2人の関係に変化が訪れる。
※小説家になろうさんでも公開しているものを修正しています。

離したくない、離して欲しくない
mahiro
BL
自宅と家の往復を繰り返していた所に飲み会の誘いが入った。
久しぶりに友達や学生の頃の先輩方とも会いたかったが、その日も仕事が夜中まで入っていたため断った。
そんなある日、社内で女性社員が芸能人が来ると話しているのを耳にした。
テレビなんて観ていないからどうせ名前を聞いたところで誰か分からないだろ、と思いあまり気にしなかった。
翌日の夜、外での仕事を終えて社内に戻って来るといつものように誰もいなかった。
そんな所に『すみません』と言う声が聞こえた。
六日の菖蒲
あこ
BL
突然一方的に別れを告げられた紫はその後、理由を目の当たりにする。
落ち込んで行く紫を見ていた萌葱は、図らずも自分と向き合う事になった。
▷ 王道?全寮制学園ものっぽい学園が舞台です。
▷ 同室の紫と萌葱を中心にその脇でアンチ王道な展開ですが、アンチの影は薄め(のはず)
▷ 身代わりにされてた受けが幸せになるまで、が目標。
▷ 見た目不良な萌葱は不良ではありません。見た目だけ。そして世話焼き(紫限定)です。
▷ 紫はのほほん健気な普通顔です。でも雰囲気補正でちょっと可愛く見えます。
▷ 章や作品タイトルの頭に『★』があるものは、個人サイトでリクエストしていただいたものです。こちらではいただいたリクエスト内容やお礼などの後書きを省略させていただいています。

エンシェントリリー
斯波良久@出来損ないΩの猫獣人発売中
BL
短期間で新しい古代魔術をいくつも発表しているオメガがいる。名はリリー。本名ではない。顔も第一性も年齢も本名も全て不明。分かっているのはオメガの保護施設に入っていることと、二年前に突然現れたことだけ。このリリーという名さえも今代のリリーが施設を出れば他のオメガに与えられる。そのため、リリーの中でも特に古代魔法を解き明かす天才である今代のリリーを『エンシェントリリー』と特別な名前で呼ぶようになった。

邪悪な魔術師の成れの果て
きりか
BL
邪悪な魔術師を倒し、歓喜に打ち震える人々のなか、サシャの足元には戦地に似つかわしくない赤子が…。その赤子は、倒したハズの魔術師と同じ瞳。邪悪な魔術師(攻)と、育ての親となったサシャ(受)のお話。
すみません!エチシーンが苦手で逃げてしまいました。
それでもよかったら、お暇つぶしに読んでくださいませ。

今夜のご飯も一緒に食べよう~ある日突然やってきたヒゲの熊男はまさかのスパダリでした~
松本尚生
BL
瞬は失恋して職と住み処を失い、小さなワンルームから弁当屋のバイトに通っている。
ある日瞬が帰ると、「誠~~~!」と背後からヒゲの熊男が襲いかかる。「誠って誰!?」上がりこんだ熊は大量の食材を持っていた。瞬は困り果てながら調理する。瞬が「『誠さん』って恋人?」と尋ねると、彼はふふっと笑って瞬を抱きしめ――。
恋なんてコリゴリの瞬と、正体不明のスパダリ熊男=伸幸のお部屋グルメの顛末。
伸幸の持ちこむ謎の食材と、それらをテキパキとさばいていく瞬のかけ合いもお楽しみください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる