人の心、クズ知らず。

木樫

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第七話 キョースケと愛し方。

10(side今日助)※

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 目を細めて咲が見つめる。
 俺が喉を締めて扱くと、低く笑われた。


「はっ、……ね、コレが後でお前の中に入んだぜ。自分のためにも、ちゃんと舐めろよ? 女相手にするみたいにゃ慣らしてやんねーから。うふふ」

「ン、……っ、は…ん」

「想像してみ、そのお粗末な脳細胞で。お前が必死になってしゃぶってるそれが、お前の熱くて狭い淫乱な腹の中に入んの」

「っ……ふ」

「疼いてんだろ? 腹の奥がさぁ。お前、指でイッて足りる程度の健全な体じゃあねーじゃん」

「ぁ、ん……」

「お前の体は、男の味を覚えた、だらしない体」


 唾液と混ぜ合わせた淫液を啜り、ゴクリと喉を鳴らして飲み込む。

 それだけでピクン、と達したはずの肉棒が頭をもたげ始めた。

 伺う目に溶け落ちそうな欲情の炎が灯ったことも、バレているんだろう。薄い色の瞳が嘲っている。


「後ろから根元まで挿れてあげる。皮膚を引き裂いて、肉を掻き分けて、みっちり俺ので埋めたらギッチギチで。痛いよ。でも好きだろ? 痛いの」

「ン、んぐ……ッ」

「なに、その目。くく、好きじゃねーのね。舌絡めてちゅーちゅー吸ってそれは許してぇって、甘えん坊になっちゃったのかしら」


 しゃぶりながら震える俺を、咲は蔑むように視線で嬲り言葉で茶化した。

 ただ実際に口の中の肉棒で濡れた尻の内側を引きずるように擦られることを考えて、口寂しくなっただけだ。

 無意識に動きが早くなる。
 咲のコレが奥に欲しくて。


「甘えん坊ちゃん。じゃあそのあとたっぷりヨくしてやる。前立腺ゴリゴリなすり潰して、後ろの粘膜が捲れ上がって痺れるくらい犯してやるよ。お前の好きな苦しいことシて、気道塞いであげながらさぁ……」

「ハッ、はっ……ん、……んん……っ」


 すり、と項を冷たい指先がなでる。

 咲の声に導かれるように自分の中を熱いこれが貫く感覚を鮮明に思い描くとドクッ、と鼓動が早まり、無意識に腰が揺れた。

 そうだ。じゃあに意味はない。
 咲はいつだってただ優しくなんて抱いてくれない。

 明確に優しく抱こうとしてくれたのは、優しさの実験をしたあのセックスだけだ。
 あの時ですら気持ちいいだけの甘いセックスじゃなかったし、咲の言葉や感想、行動理念は自然に生まれた優しさでは到底なかった。

 それでも、俺の身体はもう咲に抱かれる快感を骨の髄まで覚えてしまっている。

 吐精しても出さずにイッても許さないとばかりに腹の中を貫かれて、内も外も満足するまでオモチャにされて、頭がおかしくなりそうになれば、強引に現実に連れ戻される。


(はっ……っ咲のものに、なりたい……)


 そんな主導権のない恥辱だらけのセックスを思い出すと、俺は汗の浮いた太ももをモジモジと擦り合わせてしまうのだ。

 はしたなく勃ちあがった俺の肉棒を、咲は喉で笑って足先でつついた。


「ッ、ぁ……っ」

「ン……クク、ちゃんとイク時はね、ギリッギリまで我慢させて、キチッと首を絞めてやる。死んじゃう寸前でイカせてやるよ、なぁ、キョースケ」

「はっ、ん……ふぁひぃさき……っ」


 たまらなくて咲を呼んだ声は恥ずかしいほど物欲しそうな響きを孕んでいて、甘えた声が浴室に空回ると、カッと更に身体が熱くなる。

 俺の身体はたびかさなる咲のお遊びで、苦しみや痛みという苦痛を、快感に変換してしまうようになっていた。




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