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第二章「性愛の山」
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十兵衛と、このままずっと居られると思った。
彼が何を望み、何をしようとしていたか、戦のことも、天下のことも、子どもの権太にはまだ分からなかったが、十兵衛の傍にいることが楽しかった。
ただ、楽しかったのに………………
傍に居ては、いけないのだろうか?
十兵衛の傍に居ても、何もできないかもしれない。
戦もできなければ、政のことも分からない。
三宅弥平次や真田八郎のごとく、役には立たないかもしれない。
だが、傍にいたかったのだ。
いや、いたいのだ。
そう思うと、権太は居ても立ってもいられない。
今すぐにでも、十兵衛のもとへ行きたい。
もう戻ってこないなら、こちらから十兵衛のもとへと赴きたい。
だが、十兵衛は何処に行ったのか?
『天下を取りに』と言っていたが、天下なんて………………どこにあるのか?
権太には分からない。
どこに行けば、十兵衛に会えるのか分からない。
十兵衛は、どこに行ったのか?
天下とは何処か?
権太は考えた。
どうすれば十兵衛に会えるのか?
何処に行けば会えるのか?
天下とは何処か?
源太郎やおえい、村人たちが年越しの準備をしているのを脇で見ながら、権太は考え続けた。
ときに、あまりに考え事に耽っているので、源太郎に怒られることもあった。
「みんな忙しんだ、ぼーっとせずに、手を動かせ」
怒られて正月の仕度を手伝うのだが、それでもしばらくすると、十兵衛のことが頭に浮かんで、手が止まってしまう。
すると、父が目をつけ、また小言をいわれる。
慌てて手を動かすが、すぐに手が止まる。
それを何度も繰り返すと、源太郎が大きなため息を吐いた。
「権太、まだあの男のことを思いだしておるのか?」
ぎくりとして、父を見た。
源太郎は、彼には珍しく厳しい顔をしていた。
もしかして、心の中を気とられた?
彼が何を望み、何をしようとしていたか、戦のことも、天下のことも、子どもの権太にはまだ分からなかったが、十兵衛の傍にいることが楽しかった。
ただ、楽しかったのに………………
傍に居ては、いけないのだろうか?
十兵衛の傍に居ても、何もできないかもしれない。
戦もできなければ、政のことも分からない。
三宅弥平次や真田八郎のごとく、役には立たないかもしれない。
だが、傍にいたかったのだ。
いや、いたいのだ。
そう思うと、権太は居ても立ってもいられない。
今すぐにでも、十兵衛のもとへ行きたい。
もう戻ってこないなら、こちらから十兵衛のもとへと赴きたい。
だが、十兵衛は何処に行ったのか?
『天下を取りに』と言っていたが、天下なんて………………どこにあるのか?
権太には分からない。
どこに行けば、十兵衛に会えるのか分からない。
十兵衛は、どこに行ったのか?
天下とは何処か?
権太は考えた。
どうすれば十兵衛に会えるのか?
何処に行けば会えるのか?
天下とは何処か?
源太郎やおえい、村人たちが年越しの準備をしているのを脇で見ながら、権太は考え続けた。
ときに、あまりに考え事に耽っているので、源太郎に怒られることもあった。
「みんな忙しんだ、ぼーっとせずに、手を動かせ」
怒られて正月の仕度を手伝うのだが、それでもしばらくすると、十兵衛のことが頭に浮かんで、手が止まってしまう。
すると、父が目をつけ、また小言をいわれる。
慌てて手を動かすが、すぐに手が止まる。
それを何度も繰り返すと、源太郎が大きなため息を吐いた。
「権太、まだあの男のことを思いだしておるのか?」
ぎくりとして、父を見た。
源太郎は、彼には珍しく厳しい顔をしていた。
もしかして、心の中を気とられた?
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