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ジーク様達と街に入るための列に並んでいれば門の方からガシャガシャと音を立ててピカピカした鎧を付けた人が駆け寄ってきた。
叫んだりはしていないけどどうしたんだろうか? またみー婆達が怖い魔物だって勘違いしてるのかな?
と思っていればどうやらジーク様に用があるらしい。
「お久しぶりですなぁ、ジーク様にサバス殿。その様子を見る限りどうやら完治したのは本当のご様子、何よりです」
「おぉ!その声はランザムか!久しいのぉ、相変わらず鎧を着込んでおるのか?そちも歳じゃろうて」
ジーク様と仲良く話してる鎧姿の御仁だが、ジーク様の言う通り結構年配な感じがする、ヘルムを着けてないからわかったんだけどね? 動きだけなら凄いパワフルで若々しいよ。
「アッハッハ!どうも吾輩これを付けておらんと気が休まらんのですわ、最近は妻にもいい加減脱げと言われる始末ですわい」
「ジュン様、こちらランザム殿でございます。このオールダム領の私兵団の纏め役です」
ほぇ…オールダムの私兵団の纏め役ってことはお偉いさんなのか…どうもです。
「ランザムよ、こちらが儂の恩人のジュン殿じゃ。侍らしとる魔獣の主人でもある」
「不死山猫に冥界の魔獣ですな!この場にいるだけでピリピリと良い闘気を感じますぞ!吾輩はランザムと申します、ジュン殿よしなに」
「こちらこそ宜しくお願いします。ジュンと申します、こちらの猫がみー婆でこっちのわんこの真ん中がクオン、左がシオン、右がカノンです」
『ナァ~』
『『『ワフワフ!』』』
それぞれが宜しくと頭を下げればランザムさんが驚いた感じで笑顔になって、こちらこそよろしく頼みますぞ!なんて言ってた。仲良くしてくれそうで何よりだ。
「してランザムよ、突然どうしたのじゃ? 生憎と馬車できておらんのでな。中に入る手続きはまだしとらんでの。このまま列を無視しては示しがつかんしのぉ」
「相変わらずですなジーク様、ですが吾輩は先触れのようなものですわい。シュナイダー様がもうすぐ飛んできますわ」
シュナイダー様が飛んでくる? ランザムさんの話を横で聞きながら首を傾げていればジーク様がやれやれと言った感じで笑っていた。
そして、そのあとすぐにどうやらその人が来たらしく門の向こうが騒がしくなってきた。なんか街に入るたびに騒がしくなるね、みー婆。
「ガハハ!!ようやっと来たか!!!この死に損ないめが!」
その怒声に似た大声と共に現れたのは立派な白髭を蓄えた大柄の老人でランザムさん以上にパワフルな感じだ。…なんかこの世界の年配の人って元気過ぎないですか?と言うかでっか!
近くにくればわかるけど見上げるほどにデカい、2メートルぐらいあるんじゃないかな?
「相変わらず騒々しい奴じゃなこの筋肉バカめ。ジッとしてられんのか?」
ジーク様には珍しくトゲのある言葉遣いだが2人の間は仲良さそうだ、サバスさんに聞けばどうやら昔馴染みらしく戦友なんだってさ。
なんかそう言うのいいなぁなんて思って眺めていたらいきなり目の前で殴り合いが始まった……え、えぇ…?
「ガハハ!相変わらずの魔力密度!!この魔力バカめが!」
「ふん!お主とて変わらんじゃろ!この筋肉バカめ!」
嬉々として殴り合う老人達にポカンとしながら目の前の光景を眺めていれば、サバスさんもランザムさんも微笑ましく眺めてるけど大丈夫なんですか?結構エグい音してますけど…
「いやはや、シュナイダー様とあそこまで殴り合えるとは。さすがはクリスタリアの魔人ですなぁ」
「シュナイダー様もご健勝なご様子で何よりです。ご隠居なされたとお聞きしましたが要らぬ心配でしたな」
「あ、あのー。いいんですか?凄いことになってますけど…」
「「心配ご無用です(ぞ)」」
「あ、はい」
2人に笑顔でそんなことを言われれば何も言えないです…みー婆達もなんかジッと眺めてるだけだし…俺は正直何が起こってるのか見えないんだけど? ジーク様とシュナイダー様が立ってるだけにしか見えない、ただ凄い音鳴ってるから違うんだろうけど。みー婆達には見えてるのかな?
そのまま殴り合ってる?2人を無視して現実逃避していたらどうやら終わったらしく、ジーク様がシュナイダー様に軽く抱きしめられていた。
「心配かけおってこの死に損ないめ。本当に良かった」
「いつにも増して暑苦しい奴じゃ、まぁ…世話をかけたの』
ジーク様が居心地悪そうにしながらそんなことを言って、シュナイダー様の抱擁から逃げ出せばこちらに歩いてくる。先ほどまで殴り合っていたのに身嗜みが乱れてないのはどう言うことなんだろうか?
「シュナイダーよ、こちらのジュン殿が儂に手を貸してくれての。お主と再び戯れ合うことが叶った」
「おぉ!我はシュナイダー・オールダムじゃ。貴殿のおかげでこうして旧友と戯れる事が叶った、礼を言う」
こちらも挨拶がてら自己紹介をしてがっちりと握手をする。それにしてもさっきのが戯れあいなのか…この世界の人達は本当に凄いな…
「ど、どうも…冒険者のジュンと申します。後ろにいるのがうちの子のみー婆とクオン達です」
「ほぉ、イモータルリンクルに三首の魔獣か。随分と頼もしそうな仲間を連れておるの」
シュナイダー様はうむうむと腕を組んで頷いている。どうやらみー婆達は怖がられてないらしい、よかったよかった。
「それで? なんでまた検問など受けておるんじゃ?はよう中に入らんか」
「馬鹿タレが。貴族とて検問は必要じゃろうて。自領ならいざ知らず他領でわがままなぞ貴族の風上にもおけんわ」
「そうなら早よ言わんか! この者らの素性は知れとる!入ってよし!」
鶴の一声とばかりに声を上げるシュナイダー様に周りにいた人達はポカンとしていた、もちろん俺たちもである。ランザムさんは慣れてるのかどうぞこちらへ、と周りの視線を軽く流しながら門の内側へと案内してくれるが…いいんですかね?
「ジーク様、ジュン様も参りましょうか」
「そうじゃの、手間が省けたと思えばええか。ジュン殿も行こうかの。あやつはそう言う奴なのじゃ」
「あ…はい…」
『ナァー…」
なんだが凄い豪快な人だねみー婆。じゃあ中に入ろっか、クオン達も行くよー、ほらおいで。
と言うわけで並んでいた列を外れて俺達はランザムさんの案内の元街の中へと足を進めていくのだった。
叫んだりはしていないけどどうしたんだろうか? またみー婆達が怖い魔物だって勘違いしてるのかな?
と思っていればどうやらジーク様に用があるらしい。
「お久しぶりですなぁ、ジーク様にサバス殿。その様子を見る限りどうやら完治したのは本当のご様子、何よりです」
「おぉ!その声はランザムか!久しいのぉ、相変わらず鎧を着込んでおるのか?そちも歳じゃろうて」
ジーク様と仲良く話してる鎧姿の御仁だが、ジーク様の言う通り結構年配な感じがする、ヘルムを着けてないからわかったんだけどね? 動きだけなら凄いパワフルで若々しいよ。
「アッハッハ!どうも吾輩これを付けておらんと気が休まらんのですわ、最近は妻にもいい加減脱げと言われる始末ですわい」
「ジュン様、こちらランザム殿でございます。このオールダム領の私兵団の纏め役です」
ほぇ…オールダムの私兵団の纏め役ってことはお偉いさんなのか…どうもです。
「ランザムよ、こちらが儂の恩人のジュン殿じゃ。侍らしとる魔獣の主人でもある」
「不死山猫に冥界の魔獣ですな!この場にいるだけでピリピリと良い闘気を感じますぞ!吾輩はランザムと申します、ジュン殿よしなに」
「こちらこそ宜しくお願いします。ジュンと申します、こちらの猫がみー婆でこっちのわんこの真ん中がクオン、左がシオン、右がカノンです」
『ナァ~』
『『『ワフワフ!』』』
それぞれが宜しくと頭を下げればランザムさんが驚いた感じで笑顔になって、こちらこそよろしく頼みますぞ!なんて言ってた。仲良くしてくれそうで何よりだ。
「してランザムよ、突然どうしたのじゃ? 生憎と馬車できておらんのでな。中に入る手続きはまだしとらんでの。このまま列を無視しては示しがつかんしのぉ」
「相変わらずですなジーク様、ですが吾輩は先触れのようなものですわい。シュナイダー様がもうすぐ飛んできますわ」
シュナイダー様が飛んでくる? ランザムさんの話を横で聞きながら首を傾げていればジーク様がやれやれと言った感じで笑っていた。
そして、そのあとすぐにどうやらその人が来たらしく門の向こうが騒がしくなってきた。なんか街に入るたびに騒がしくなるね、みー婆。
「ガハハ!!ようやっと来たか!!!この死に損ないめが!」
その怒声に似た大声と共に現れたのは立派な白髭を蓄えた大柄の老人でランザムさん以上にパワフルな感じだ。…なんかこの世界の年配の人って元気過ぎないですか?と言うかでっか!
近くにくればわかるけど見上げるほどにデカい、2メートルぐらいあるんじゃないかな?
「相変わらず騒々しい奴じゃなこの筋肉バカめ。ジッとしてられんのか?」
ジーク様には珍しくトゲのある言葉遣いだが2人の間は仲良さそうだ、サバスさんに聞けばどうやら昔馴染みらしく戦友なんだってさ。
なんかそう言うのいいなぁなんて思って眺めていたらいきなり目の前で殴り合いが始まった……え、えぇ…?
「ガハハ!相変わらずの魔力密度!!この魔力バカめが!」
「ふん!お主とて変わらんじゃろ!この筋肉バカめ!」
嬉々として殴り合う老人達にポカンとしながら目の前の光景を眺めていれば、サバスさんもランザムさんも微笑ましく眺めてるけど大丈夫なんですか?結構エグい音してますけど…
「いやはや、シュナイダー様とあそこまで殴り合えるとは。さすがはクリスタリアの魔人ですなぁ」
「シュナイダー様もご健勝なご様子で何よりです。ご隠居なされたとお聞きしましたが要らぬ心配でしたな」
「あ、あのー。いいんですか?凄いことになってますけど…」
「「心配ご無用です(ぞ)」」
「あ、はい」
2人に笑顔でそんなことを言われれば何も言えないです…みー婆達もなんかジッと眺めてるだけだし…俺は正直何が起こってるのか見えないんだけど? ジーク様とシュナイダー様が立ってるだけにしか見えない、ただ凄い音鳴ってるから違うんだろうけど。みー婆達には見えてるのかな?
そのまま殴り合ってる?2人を無視して現実逃避していたらどうやら終わったらしく、ジーク様がシュナイダー様に軽く抱きしめられていた。
「心配かけおってこの死に損ないめ。本当に良かった」
「いつにも増して暑苦しい奴じゃ、まぁ…世話をかけたの』
ジーク様が居心地悪そうにしながらそんなことを言って、シュナイダー様の抱擁から逃げ出せばこちらに歩いてくる。先ほどまで殴り合っていたのに身嗜みが乱れてないのはどう言うことなんだろうか?
「シュナイダーよ、こちらのジュン殿が儂に手を貸してくれての。お主と再び戯れ合うことが叶った」
「おぉ!我はシュナイダー・オールダムじゃ。貴殿のおかげでこうして旧友と戯れる事が叶った、礼を言う」
こちらも挨拶がてら自己紹介をしてがっちりと握手をする。それにしてもさっきのが戯れあいなのか…この世界の人達は本当に凄いな…
「ど、どうも…冒険者のジュンと申します。後ろにいるのがうちの子のみー婆とクオン達です」
「ほぉ、イモータルリンクルに三首の魔獣か。随分と頼もしそうな仲間を連れておるの」
シュナイダー様はうむうむと腕を組んで頷いている。どうやらみー婆達は怖がられてないらしい、よかったよかった。
「それで? なんでまた検問など受けておるんじゃ?はよう中に入らんか」
「馬鹿タレが。貴族とて検問は必要じゃろうて。自領ならいざ知らず他領でわがままなぞ貴族の風上にもおけんわ」
「そうなら早よ言わんか! この者らの素性は知れとる!入ってよし!」
鶴の一声とばかりに声を上げるシュナイダー様に周りにいた人達はポカンとしていた、もちろん俺たちもである。ランザムさんは慣れてるのかどうぞこちらへ、と周りの視線を軽く流しながら門の内側へと案内してくれるが…いいんですかね?
「ジーク様、ジュン様も参りましょうか」
「そうじゃの、手間が省けたと思えばええか。ジュン殿も行こうかの。あやつはそう言う奴なのじゃ」
「あ…はい…」
『ナァー…」
なんだが凄い豪快な人だねみー婆。じゃあ中に入ろっか、クオン達も行くよー、ほらおいで。
と言うわけで並んでいた列を外れて俺達はランザムさんの案内の元街の中へと足を進めていくのだった。
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