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第57話 ウィスドム、芽生えた感情に戸惑う。
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あ~~~~……、う~~~~~~…………!!
ゴロンゴロンとベッドの中を転がりながら、わたしは妙な呻き声を上げる。
隣ではアホも同じように、ハニャ~~、フニャ~~~~。と妙な鳴き声を上げている。
そして、そんなわたし達を微笑ましそうに部屋に常駐している治癒師が見ているのが何と言うか、……何というか!!
だけどゴロンゴロンしないと、何と言うか……。
「…………うぁ~~、まだ顔が熱い……」
「ウィスもアルかぁ……?」
顔に両手を当てながら、呻くように呟いたんだけど……アホには聞こえていたらしい。
視線をそっちに向けると……、アホも顔が真っ赤で……いや、角までも真っ赤になっているように見える。
もしかしたらだけど、わたしも顔が真っ赤になっているのかも知れない。
どうしてそうなったのかの理由は簡単だ。勇者……その、ヨシュアが……泣いていたわたし達を抱き締めて、撫でたからだ。
何と言うか、泣いている時にそれをやられると、意識してしまうのかも知れない。
と言うか、事実今……わたしはヨシュアを意識してしまっているようだ。多分、アホのほうも……。
……だから、一応聞いておこう。
「ねえ、あんたは……ヨシュアのこと、どう……思った?」
「ゆうしゃ……よしゅあアルか? 何と言うかよしゅあの……、子供つくりたい思ったアル。
よわっちいけど、胸がドキドキしているアル。きっとこれが、仲間が言ってた好きって感情だと思うアル」
…………ど直球と言えば良いのか、何かスッパリとそんな言葉が出てきて引いた。
と言うか、やっぱりそう言うことを平然と思うのは、人じゃないから……だと思う。
そう思っていると、わたしがアホへと投げかけた問い掛けが同じように返って来てしまった。
「ウィスはよしゅあのこと、どう思ったアルか?」
「あ、え、あ……そ、その…………。あ、ああいう、勇者が居ても……可笑しくない、と思う……。
それに、強くなって欲しい……って思ったりもする」
考えている事を頭の中で組み立てるように、わたしは言葉を積み上げていく。
そう呟きながら、頭が痛むからかそれとも、ヨシュアにドキドキしてしまっているからか……頭の中に優しく笑いつつも、わたし達のために魔王軍と戦う勇者の姿が思い浮かぶ。……そして、左右に立っているのはわたしとアホ……。
そんなわたし達の指には、指輪が――。
「って、そこまでまだ望んでいないと思うからっ!! ~~~~~~っ!!」
「ど、如何したアルか、ウィス!?」
「や……、いやちょっと……、自分自身の先走った妄想が……」
恥かしい。なんで、ついさっきまで情けないとか思ってたヨシュアに対してこんなにも感情を露わにしてしまってるんだろうか?
昔誰かが言った、ちょろいという様なタイプなんだろうか……わたしは。
とか思っていると、忘れていた頭の痛みが津波のようにやって来た。
「あ――――っ、痛………………っっ!!」
「うぷ、き……ぎもぢわるいアルゥ…………!!」
頭を抱えるように抑え始めると、アホのほうも口に手を当てて顔を蒼ざめさせ始めたのが見えた。
正直、わたし達の体はいったいどうしてしまったのだろうか?
……夢なのか幻なのかは分からないけれど、見知らぬ空間に連れて行かれて何かをされたのは間違いないのかも知れない。
何故ならわたし達と一緒に連行されていたはずの騎士の姿が何処にも居ないし……まるで初めからその存在は無かったようにも思える。
…………わたしは覚えているけれど、アホは覚えているのだろうか?
「ねえ……」
「おぇっぷ……、な、なにアルか……?」
「その、……わたし達2人以外にも、後1人……いたよね?」
「たぶん、いたアル……」
わたしの質問に、アホは吐くのを堪えながらも……呻くように言う。
……やっぱり居た。なのに、今は居ない。そう考えると……。
「ねえ……、どうやらわたし達、見逃された……って考えたら良いと思うんだけど?」
「そうかも……、知れないアル…………」
「ちなみに、アレが何だったのか……分かる?」
「わからな――うっぷ……わからない、アル。ファンロン、怖くて……まともに思い出せないアル…………」
今にも吐きそうになっている……いや、もしかするとお腹の中が空っぽになっているから吐けていないであろうアホが顔を青くさせながら言う。
……わたしも思い出そうとすると頭がガンガンして、寒気がして来る。……何とか頑張って思い出そうとしたけれど、思い出せるのは珍しい髪の色とデカイ胸、それと薄ら笑いだけだった……。
だけど、それでも思い出せることはある……。アレは、ヨシュアに異常な執着を持っているように感じられた。
いったいどうしてだろう? 理由を考えようとする……。
「ぅいっつっ……! 駄目だ、考えようにも頭、痛い……」
「ファンロンも、何か食べたいけど……食欲わかないアル……」
「大丈夫ですか? 無理は禁物ですから、一度眠ったほうが良いと思いますよ」
グッタリしながら、ベッドに倒れ込んでしまう。
そんなわたし達へと治癒師が声をかけてくる。
……あ、そういえば居たんだった。
って、もしかして……いや、もしかしなくても、今の会話聞かれてた……はず。
う、うわぁ~~、は……恥ずかしい! 何だろうかこの……昔、本で読んだ恋する乙女とか言う状況はっ。
って、恋していない! 恋はしていない!! …………はず。
そう考えながらズキズキと痛む頭で、ヨシュアのことを考えてみた。…………顔が熱くなった。
うわぁ、うわぁ……!? まさか、まさか本当に?
本当なわけ? そんなまさかぁ……。
ベッドの中でゴロンゴロンしながら、浮かぶ考えを必死に否定しようとする。
だけど、消えない。まったく消えない……。
そしてズキズキと痛む頭は限界を向かえたようで……わたしはぷっつりと意識を失ってしまった。
ゴロンゴロンとベッドの中を転がりながら、わたしは妙な呻き声を上げる。
隣ではアホも同じように、ハニャ~~、フニャ~~~~。と妙な鳴き声を上げている。
そして、そんなわたし達を微笑ましそうに部屋に常駐している治癒師が見ているのが何と言うか、……何というか!!
だけどゴロンゴロンしないと、何と言うか……。
「…………うぁ~~、まだ顔が熱い……」
「ウィスもアルかぁ……?」
顔に両手を当てながら、呻くように呟いたんだけど……アホには聞こえていたらしい。
視線をそっちに向けると……、アホも顔が真っ赤で……いや、角までも真っ赤になっているように見える。
もしかしたらだけど、わたしも顔が真っ赤になっているのかも知れない。
どうしてそうなったのかの理由は簡単だ。勇者……その、ヨシュアが……泣いていたわたし達を抱き締めて、撫でたからだ。
何と言うか、泣いている時にそれをやられると、意識してしまうのかも知れない。
と言うか、事実今……わたしはヨシュアを意識してしまっているようだ。多分、アホのほうも……。
……だから、一応聞いておこう。
「ねえ、あんたは……ヨシュアのこと、どう……思った?」
「ゆうしゃ……よしゅあアルか? 何と言うかよしゅあの……、子供つくりたい思ったアル。
よわっちいけど、胸がドキドキしているアル。きっとこれが、仲間が言ってた好きって感情だと思うアル」
…………ど直球と言えば良いのか、何かスッパリとそんな言葉が出てきて引いた。
と言うか、やっぱりそう言うことを平然と思うのは、人じゃないから……だと思う。
そう思っていると、わたしがアホへと投げかけた問い掛けが同じように返って来てしまった。
「ウィスはよしゅあのこと、どう思ったアルか?」
「あ、え、あ……そ、その…………。あ、ああいう、勇者が居ても……可笑しくない、と思う……。
それに、強くなって欲しい……って思ったりもする」
考えている事を頭の中で組み立てるように、わたしは言葉を積み上げていく。
そう呟きながら、頭が痛むからかそれとも、ヨシュアにドキドキしてしまっているからか……頭の中に優しく笑いつつも、わたし達のために魔王軍と戦う勇者の姿が思い浮かぶ。……そして、左右に立っているのはわたしとアホ……。
そんなわたし達の指には、指輪が――。
「って、そこまでまだ望んでいないと思うからっ!! ~~~~~~っ!!」
「ど、如何したアルか、ウィス!?」
「や……、いやちょっと……、自分自身の先走った妄想が……」
恥かしい。なんで、ついさっきまで情けないとか思ってたヨシュアに対してこんなにも感情を露わにしてしまってるんだろうか?
昔誰かが言った、ちょろいという様なタイプなんだろうか……わたしは。
とか思っていると、忘れていた頭の痛みが津波のようにやって来た。
「あ――――っ、痛………………っっ!!」
「うぷ、き……ぎもぢわるいアルゥ…………!!」
頭を抱えるように抑え始めると、アホのほうも口に手を当てて顔を蒼ざめさせ始めたのが見えた。
正直、わたし達の体はいったいどうしてしまったのだろうか?
……夢なのか幻なのかは分からないけれど、見知らぬ空間に連れて行かれて何かをされたのは間違いないのかも知れない。
何故ならわたし達と一緒に連行されていたはずの騎士の姿が何処にも居ないし……まるで初めからその存在は無かったようにも思える。
…………わたしは覚えているけれど、アホは覚えているのだろうか?
「ねえ……」
「おぇっぷ……、な、なにアルか……?」
「その、……わたし達2人以外にも、後1人……いたよね?」
「たぶん、いたアル……」
わたしの質問に、アホは吐くのを堪えながらも……呻くように言う。
……やっぱり居た。なのに、今は居ない。そう考えると……。
「ねえ……、どうやらわたし達、見逃された……って考えたら良いと思うんだけど?」
「そうかも……、知れないアル…………」
「ちなみに、アレが何だったのか……分かる?」
「わからな――うっぷ……わからない、アル。ファンロン、怖くて……まともに思い出せないアル…………」
今にも吐きそうになっている……いや、もしかするとお腹の中が空っぽになっているから吐けていないであろうアホが顔を青くさせながら言う。
……わたしも思い出そうとすると頭がガンガンして、寒気がして来る。……何とか頑張って思い出そうとしたけれど、思い出せるのは珍しい髪の色とデカイ胸、それと薄ら笑いだけだった……。
だけど、それでも思い出せることはある……。アレは、ヨシュアに異常な執着を持っているように感じられた。
いったいどうしてだろう? 理由を考えようとする……。
「ぅいっつっ……! 駄目だ、考えようにも頭、痛い……」
「ファンロンも、何か食べたいけど……食欲わかないアル……」
「大丈夫ですか? 無理は禁物ですから、一度眠ったほうが良いと思いますよ」
グッタリしながら、ベッドに倒れ込んでしまう。
そんなわたし達へと治癒師が声をかけてくる。
……あ、そういえば居たんだった。
って、もしかして……いや、もしかしなくても、今の会話聞かれてた……はず。
う、うわぁ~~、は……恥ずかしい! 何だろうかこの……昔、本で読んだ恋する乙女とか言う状況はっ。
って、恋していない! 恋はしていない!! …………はず。
そう考えながらズキズキと痛む頭で、ヨシュアのことを考えてみた。…………顔が熱くなった。
うわぁ、うわぁ……!? まさか、まさか本当に?
本当なわけ? そんなまさかぁ……。
ベッドの中でゴロンゴロンしながら、浮かぶ考えを必死に否定しようとする。
だけど、消えない。まったく消えない……。
そしてズキズキと痛む頭は限界を向かえたようで……わたしはぷっつりと意識を失ってしまった。
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