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第四章 騎士団の洗礼
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美人のはにかむ姿は絵になる。
というか、どんな仕草も様になっている。
「団長、クルーチェが参りました」
思わず見惚れていたところに、秘書官のカスティーリャがノックして言った。
「クルーチェ?」
副神官と紫紋が顔を見合わせる。
「来たか。入れ」
団長が答えると、扉が開いてカスティーリャが入ってきた。
「失礼します! ピエール・クルーチェ、団長がお呼びと伺い参りました」
元気な声がカスティーリャの向こうから聞こえる。カスティーリャが脇に避けると、頭頂部をこちらに向けた赤い髪が見えた。
「頭を上げていい」
「はっ」
団長の言葉で頭を上げたピエールは、そこにいた人物を見て「あ」と声を上げた。
「兄上」
「ピエール」
緑の瞳を見開き、兄のファビアンを見て、それから紫紋に視線を向ける。
「クルーチェ…副神官もクルーチェだから、ややこしいな。彼がシモン・カドワキ。異世界から聖女様と共に召喚された守護騎士だ」
「紫紋です」
「ピエールだ。カドワキ…守護騎士?」
ピエールが目を凝らし、まじまじと紫紋を見つめる。それから紫紋の手の甲にある印に視線を移す。
「聖女の召喚を行うとは聞き及んでおりましたが、彼も? 彼が守護騎士というのは、本当なのですか」
ピエールは団長と兄を交互に見て、説明を求める。
「詳しくはわかりません。ですが、彼が聖女様と共に召喚され、守護騎士であることは間違いありません」
「本当に守護騎士なのですか?」
すぐには信じられないのか、彼は同じ質問をする。
「しかも普通の守護騎士ではありません。彼の聖力は私よりも多く、測定器の限界を超えています」
「兄上よりも…上?」
緑の瞳を見開かせ、彼は値踏みするように紫紋を見る。
「それで、君をここに呼んだのは他でもない。カドワキ殿は今日から騎士団で世話をすることになったので、色々と面倒を見てやってほしいのだ」
「私が…ですか?」
団長の言葉に驚いた彼は、食い入るように紫紋を見る。
「彼は剣についてはまったくの素人だ。君は後輩の指導も良く見ていると聞いている。適任だろう」
「私もそう思います」
「い、いえそんな…」
団長と兄、二人に太鼓判を押され、ピエールは照れくさそうにする。
どちらかと言えば女性的な雰囲気の副神官と違い、騎士なだけあってピエールは精悍な顔つきをしている。
灰色にも緑にも見える瞳と、赤い髪の毛も、まったく副神官と似たところはない。
しかも照れた顔は、副神官の場合は色気があったが、ピエールは褒められて嬉しそうに尻尾を振るワンコのようだ。
紫紋はここに来る直前に話していた一馬や、紫紋を頭とか、総長と言って慕ってくれる仲間を思い出した。
『あいつらと、また会えるだろうか』
柄にもなく紫紋の胸に寂しさが去来する。
「彼は寮舎に入る。最上階の続き部屋が空いていただろう。そこのひとつを彼に使ってもらう」
「あそこをですか? あそこは王族の方々が騎士団に入団した時や、外国からの要人が騎士団を視察に来た時に使う部屋です」
どんな部屋なのか知らないが、紫紋は、ホテルのスイートルームを思い出した。
「だが、今王族は誰も所属していないし、カドワキ殿は言わば外国からの要人だ」
「あの、俺は別に普通の部屋でも…」
「そういうわけには、いかない。それからクルーチェ、君は暫くはその向かいにある部屋を使え」
紫紋の提案は団長によって、あっさり却下されてしまった。
「よろしいのですか?」
ピエールの瞳が輝く。またもや彼のお尻に尻尾が見えた気がした。
「副神官も、それで異論はありませんね」
団長が自分の采配について、確認する。
「そのようにしていただけるなら、神殿としても不足はありません」
自分のことなのに、他人が勝手に決め、それを副神官に確認することに、紫紋は戸惑いを感じたが、この世界で自分は右も左もわからない。
出来るだけ自分で出来ることはして、甘えすぎないようにしようと、紫紋は思った。
というか、どんな仕草も様になっている。
「団長、クルーチェが参りました」
思わず見惚れていたところに、秘書官のカスティーリャがノックして言った。
「クルーチェ?」
副神官と紫紋が顔を見合わせる。
「来たか。入れ」
団長が答えると、扉が開いてカスティーリャが入ってきた。
「失礼します! ピエール・クルーチェ、団長がお呼びと伺い参りました」
元気な声がカスティーリャの向こうから聞こえる。カスティーリャが脇に避けると、頭頂部をこちらに向けた赤い髪が見えた。
「頭を上げていい」
「はっ」
団長の言葉で頭を上げたピエールは、そこにいた人物を見て「あ」と声を上げた。
「兄上」
「ピエール」
緑の瞳を見開き、兄のファビアンを見て、それから紫紋に視線を向ける。
「クルーチェ…副神官もクルーチェだから、ややこしいな。彼がシモン・カドワキ。異世界から聖女様と共に召喚された守護騎士だ」
「紫紋です」
「ピエールだ。カドワキ…守護騎士?」
ピエールが目を凝らし、まじまじと紫紋を見つめる。それから紫紋の手の甲にある印に視線を移す。
「聖女の召喚を行うとは聞き及んでおりましたが、彼も? 彼が守護騎士というのは、本当なのですか」
ピエールは団長と兄を交互に見て、説明を求める。
「詳しくはわかりません。ですが、彼が聖女様と共に召喚され、守護騎士であることは間違いありません」
「本当に守護騎士なのですか?」
すぐには信じられないのか、彼は同じ質問をする。
「しかも普通の守護騎士ではありません。彼の聖力は私よりも多く、測定器の限界を超えています」
「兄上よりも…上?」
緑の瞳を見開かせ、彼は値踏みするように紫紋を見る。
「それで、君をここに呼んだのは他でもない。カドワキ殿は今日から騎士団で世話をすることになったので、色々と面倒を見てやってほしいのだ」
「私が…ですか?」
団長の言葉に驚いた彼は、食い入るように紫紋を見る。
「彼は剣についてはまったくの素人だ。君は後輩の指導も良く見ていると聞いている。適任だろう」
「私もそう思います」
「い、いえそんな…」
団長と兄、二人に太鼓判を押され、ピエールは照れくさそうにする。
どちらかと言えば女性的な雰囲気の副神官と違い、騎士なだけあってピエールは精悍な顔つきをしている。
灰色にも緑にも見える瞳と、赤い髪の毛も、まったく副神官と似たところはない。
しかも照れた顔は、副神官の場合は色気があったが、ピエールは褒められて嬉しそうに尻尾を振るワンコのようだ。
紫紋はここに来る直前に話していた一馬や、紫紋を頭とか、総長と言って慕ってくれる仲間を思い出した。
『あいつらと、また会えるだろうか』
柄にもなく紫紋の胸に寂しさが去来する。
「彼は寮舎に入る。最上階の続き部屋が空いていただろう。そこのひとつを彼に使ってもらう」
「あそこをですか? あそこは王族の方々が騎士団に入団した時や、外国からの要人が騎士団を視察に来た時に使う部屋です」
どんな部屋なのか知らないが、紫紋は、ホテルのスイートルームを思い出した。
「だが、今王族は誰も所属していないし、カドワキ殿は言わば外国からの要人だ」
「あの、俺は別に普通の部屋でも…」
「そういうわけには、いかない。それからクルーチェ、君は暫くはその向かいにある部屋を使え」
紫紋の提案は団長によって、あっさり却下されてしまった。
「よろしいのですか?」
ピエールの瞳が輝く。またもや彼のお尻に尻尾が見えた気がした。
「副神官も、それで異論はありませんね」
団長が自分の采配について、確認する。
「そのようにしていただけるなら、神殿としても不足はありません」
自分のことなのに、他人が勝手に決め、それを副神官に確認することに、紫紋は戸惑いを感じたが、この世界で自分は右も左もわからない。
出来るだけ自分で出来ることはして、甘えすぎないようにしようと、紫紋は思った。
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