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しおりを挟むただ、そんな俺の心情はどうやら余さず顔に出てしまっていたのだろう。
「シェラ様はプアラティカ殿下の元とお伺い致しております。ご用がおありのようで、呼び出されたのだとか」
先程の侍従が控えめに教えてくれる。
報告のようなものだろう。特に口止めなどもされたりしていないようだ。
俺は小さく頷いた。
「そうか、ありがとう。なんの用なんだろうな? あとで聞いておくよ」
気にならないと言えば嘘だし、それを誤魔化したりなんてしない。
どこまでも正直な俺の言葉に、侍従はほっと安堵した様子を見せ、
「ええ、それが宜しいかと。この後はどう致しましょうか? まだお茶の時間までは少しありますが……」
にこと微笑んで、この後の予定を訪ねてくる。
俺は少し悩んでから言葉を返した。
「うーん、そうだな……とりあえず隣に移動する、かな……あとは……まだ読んでない本、あったっけ……」
「新しく数冊、見繕ってくるよう申し付けましょうか?」
「ああ、そうだな、そうしてもらえると助かるよ」
「ではそのように」
言いながら動き出した俺を侍従が如才なく手助けしていく。
続けて、俺にとって非常に助かる提案をしたかと思うと、近くに控えていた別の侍従に目配せしていた。
静かに音もなく、彼が部屋を出ていった様子を見るにつけ、おそらくは早速、書庫にでも向かってくれたのだろう。
(いい本があればいいけど)
思いながら見送って、ほどなくして隣室へと移動して。
いつものソファに腰かけるとほとんど同時ぐらいに、どうやらシェラが戻ってきたらしく、元より少し隙間が開けられていた扉から、気配薄く彼が室内へと体を滑り込ませてきたのに気付く。
さり気ない顔をして他の侍従と同じように部屋の隅へ控えるのに、声をかけようかと一瞬迷う。
ちなみに侍従や護衛達の出入りの際は、わざわざ部屋がノックされたりなどは成されない。
部屋の扉がぴったりと閉められていることなど、敢えて用がある時ぐらいのもので、彼らは基本的に主人へと自らの動きを悟らせないよう振舞うことを義務付けられているのである。
そう言えばその辺り、シェラは少しばかり甘いなとなんとなく思って、何かに気付きかけた気がしたが、直後、他の侍従が目の前のテーブルにお茶を置いたのに気を取られ、今まさにシェラに声をかけようと思っていたことも含め、すぐにそんなこと全て忘れてしまった。
もちろん、それが重要な意味を持っていたわけではない。
だが、俺が少しばかり疑問に思っていることの一助になることだったのは確かで。
思い出した時には、自分の注意力の散漫さに頭を抱えたくなるのだが、それはまだ少し先の話なのだった。
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