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67.素敵な日常
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「オリビエ、今日はお出かけしないの?」
サロンでロキと読書を堪能しているところにやってきたのはコルザだった
ここしばらく定休日は迷宮に行ったり町をうろついたりして、あまり屋敷にいなかったから不思議に思ったのかしら?
「今日はのんびり過ごす予定よ」
「そっか。じゃぁ僕もここで本読んでいい?」
「勿論」
頷くとコルザは絵本を取って来て私の足元に座り込んだ
ロキはその様子をチラッと見ただけで読書に戻る
外からはリラとロベリがはしゃぐ声やダビア達の白熱した迷宮談議が聞こえてくる
コーヒーの香りの中に一口サイズで作ったカップケーキの甘い香りが漂う
とても心地の良い空間だ
「あら?」
突如、足元に重みを感じた
「どうした?」
「ふふ…」
零れた笑みを隠しもせずに足元を指さした
「くっ…」
声を押さえてロキも笑い出す
私の足元では絵本を抱え込んだままコルザがもたれ掛かるように眠りについていた
「最近コルザはよく甘えて来るよね」
「…まぁ、本は言い訳だろうな」
「え?」
「コルザはお前が大好きだからな」
ロキは苦笑しながらそう言うと立ち上がってコルザを抱き上げた
そのまま向かいのソファに寝かせるとブランケットを取り出してそっとかけてやる
「ここに来るまでずっと“お兄ちゃんだから”って我慢し続けてたんだろうな。別にカメリアを嫌ってるわけじゃないだろうが、“お兄ちゃん”でいる必要のないお前の側は居心地がいいんだろう」
ロキの言葉に思い当たる節がある
カメリアもそれを強要しているわけじゃない
でも余裕のなかった生活で自然と“お兄ちゃん”を頼りにするようになってしまったのを想像するのは容易い
コルザもそれが分かっていたからカメリアの役に立ちたくて自然と頑張ってしまったって感じかな?
「気が抜ける場所は必要よね」
「まぁな。最近はカメリアも余裕が出て来たし、関わり方も変わってきてるから大丈夫だろ」
「そのことにコルザが戸惑ってる気がしなくもないけど…」
自分で言って改めて納得してしまった
「そっか。戸惑ってるから、余計?」
「多分な。嫌がってる感じはないし、そのうち落ち着くだろ」
「じゃぁそれまではしっかり甘やかしてあげようかな」
「…ほどほどにな」
何か呆れを含んだ言葉が解せない
「オリビエ…あら、コルザもここにいたのね」
パタパタと小走りで入ってきたカメリアが、ソファーで気持ちよさそうに眠るコルザを見て頬を緩めた
「絵本を読んでて眠くなったみたいよ」
「そうなのね。ありがとう」
「どういたしまして。で、どうかした?」
「あぁ、今日のお昼ご飯どうしようかと思って。珍しく全員屋敷にいるのよね」
「外がにぎやかだと思ったらそういうことだったのね?時々聞き覚えのない声も聞こえるし」
「それはジョンの知り合いだと思うわ。迷宮産の花の花壇の事で盛り上がってる」
呆れたように言うあたり相当盛り上がっているのだろう
「お天気もいいし、庭で食べましょうか」
「庭で?」
「ピクニックみたいな感じでサンドイッチやおにぎりを食べるのも楽しそうじゃない?」
「あら、それは子供たちが喜びそう」
カメリアの思考の軸は子供達だ
「決まりね。あとは唐揚げとかポテトとか…野菜スティックもいいかも」
「摘まみやすそうなもんばっかだな?」
「外だからね」
「あぁ」
なるほど、とロキは頷いた
「じゃぁカメリアと作ってくるからコルザ見ててね」
「了解」
頷いたロキを置いてカメリアとキッチンに向かった
「オリビエ、コルザは迷惑かけてないかしら?」
「ふふ…大丈夫。私もロキも子供は好きだからね」
「それならいいんだけど…」
「さぁ、子供達の大好きな唐揚げ、沢山作りましょう」
鶏肉だけでなくタコや白身魚、野菜も取り出して唐揚げとフライ、天ぷらの盛り合わせを大量に作る
その合間に野菜スティックとディップを作っていく
「ご飯炊けたね」
揚げ物が落ち着いてきたタイミングで炊きあがったご飯をおにぎりにする
カメリアはサンドイッチに取り掛かった
2人で作ると大量の料理もそれなりのペースで出来上がった
サロンでロキと読書を堪能しているところにやってきたのはコルザだった
ここしばらく定休日は迷宮に行ったり町をうろついたりして、あまり屋敷にいなかったから不思議に思ったのかしら?
「今日はのんびり過ごす予定よ」
「そっか。じゃぁ僕もここで本読んでいい?」
「勿論」
頷くとコルザは絵本を取って来て私の足元に座り込んだ
ロキはその様子をチラッと見ただけで読書に戻る
外からはリラとロベリがはしゃぐ声やダビア達の白熱した迷宮談議が聞こえてくる
コーヒーの香りの中に一口サイズで作ったカップケーキの甘い香りが漂う
とても心地の良い空間だ
「あら?」
突如、足元に重みを感じた
「どうした?」
「ふふ…」
零れた笑みを隠しもせずに足元を指さした
「くっ…」
声を押さえてロキも笑い出す
私の足元では絵本を抱え込んだままコルザがもたれ掛かるように眠りについていた
「最近コルザはよく甘えて来るよね」
「…まぁ、本は言い訳だろうな」
「え?」
「コルザはお前が大好きだからな」
ロキは苦笑しながらそう言うと立ち上がってコルザを抱き上げた
そのまま向かいのソファに寝かせるとブランケットを取り出してそっとかけてやる
「ここに来るまでずっと“お兄ちゃんだから”って我慢し続けてたんだろうな。別にカメリアを嫌ってるわけじゃないだろうが、“お兄ちゃん”でいる必要のないお前の側は居心地がいいんだろう」
ロキの言葉に思い当たる節がある
カメリアもそれを強要しているわけじゃない
でも余裕のなかった生活で自然と“お兄ちゃん”を頼りにするようになってしまったのを想像するのは容易い
コルザもそれが分かっていたからカメリアの役に立ちたくて自然と頑張ってしまったって感じかな?
「気が抜ける場所は必要よね」
「まぁな。最近はカメリアも余裕が出て来たし、関わり方も変わってきてるから大丈夫だろ」
「そのことにコルザが戸惑ってる気がしなくもないけど…」
自分で言って改めて納得してしまった
「そっか。戸惑ってるから、余計?」
「多分な。嫌がってる感じはないし、そのうち落ち着くだろ」
「じゃぁそれまではしっかり甘やかしてあげようかな」
「…ほどほどにな」
何か呆れを含んだ言葉が解せない
「オリビエ…あら、コルザもここにいたのね」
パタパタと小走りで入ってきたカメリアが、ソファーで気持ちよさそうに眠るコルザを見て頬を緩めた
「絵本を読んでて眠くなったみたいよ」
「そうなのね。ありがとう」
「どういたしまして。で、どうかした?」
「あぁ、今日のお昼ご飯どうしようかと思って。珍しく全員屋敷にいるのよね」
「外がにぎやかだと思ったらそういうことだったのね?時々聞き覚えのない声も聞こえるし」
「それはジョンの知り合いだと思うわ。迷宮産の花の花壇の事で盛り上がってる」
呆れたように言うあたり相当盛り上がっているのだろう
「お天気もいいし、庭で食べましょうか」
「庭で?」
「ピクニックみたいな感じでサンドイッチやおにぎりを食べるのも楽しそうじゃない?」
「あら、それは子供たちが喜びそう」
カメリアの思考の軸は子供達だ
「決まりね。あとは唐揚げとかポテトとか…野菜スティックもいいかも」
「摘まみやすそうなもんばっかだな?」
「外だからね」
「あぁ」
なるほど、とロキは頷いた
「じゃぁカメリアと作ってくるからコルザ見ててね」
「了解」
頷いたロキを置いてカメリアとキッチンに向かった
「オリビエ、コルザは迷惑かけてないかしら?」
「ふふ…大丈夫。私もロキも子供は好きだからね」
「それならいいんだけど…」
「さぁ、子供達の大好きな唐揚げ、沢山作りましょう」
鶏肉だけでなくタコや白身魚、野菜も取り出して唐揚げとフライ、天ぷらの盛り合わせを大量に作る
その合間に野菜スティックとディップを作っていく
「ご飯炊けたね」
揚げ物が落ち着いてきたタイミングで炊きあがったご飯をおにぎりにする
カメリアはサンドイッチに取り掛かった
2人で作ると大量の料理もそれなりのペースで出来上がった
応援ありがとうございます!
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