チートな親から生まれたのは「規格外」でした

真那月 凜

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131.深い傷

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「ロニー?気持ち悪いってどういうこと?」
「何でもすぐ覚えて忘れないから気持ち悪いって」
ロニーは表情も変えずにそう言った
どう考えても一度や二度、軽い気持ちで言われた言葉とは違うだろ…

「誰がそんなこと言ったの?」
「村の人皆に言われた。父さんと母さんもそう言ってた」
「ひどい…」
レティが思わずつぶやいていた
「だから父さんは僕を貴族に売るんだって言ってた。お前にはそれくらいしか役に立てる場所がないから二度と戻ってくるなって」
「ロニー…何てこと…」
ナターシャさんがロニーを抱きしめる
ロニーを守った理由が思っていた事よりも酷かった
最悪なことにロニーはそんな酷いことをずっと覚えている
諦めたような死んだ目をしていた理由がようやくわかった気がした

「ロニー、そんな思いをしたのに何でそれを俺たちに明かしたんだ?隠すこともできただろう?」
傷つくと分からないはずがないのは明白だ
だからこそ不思議だった
「…隠してもいつかばれるから」
その言葉には実感がこもっていた
つまり、隠そうとして失敗したことがあるということだ
それでも、この事実を明かすのはどれだけ覚悟がいるんだろうか…

「ロニー」
「?」
「記憶力がいいのは気持ち悪い事なんかじゃない」
思わずそう声をかけていた
「でも…」
「人より秀でた個性の一つだ」
「そうよロニー。この家にはロニーの様に個性を持った人が沢山いるわ。中でもそんな個性をたくさん持ってるのがサラサちゃんとシアなの」
どんな説明だよ…
と思わず突っ込みを入れたくなったのを何とか飲み込んだ
「そうだな。シアなんて人族やめて龍神族になっちまったくらいだしな」
カルムさんがなぜか笑いながら言う

「ロニーは2人が他の人と違うからって気持ち悪いと思う?」
ナターシャさんが尋ねるとロニーは首を横に振った
「でしょう?それと同じよ。私たちがロニーを見ても気持ち悪いだなんて思わないわ」
「皆なら名前を覚えたことを喜ぶんじゃないかな。それに羨ましがられると思うわ」
「レティシアナの言う通りよ。羨ましくてやきもちを焼くことはあっても気持ち悪いだなんて思いもしないでしょうね」
母さんに同意だな
文字を覚えるのが苦手なフラウなんて絶対妬む
でもそれは気持ち悪がるなんてものとは全く違うものだ

「おはよ~。ロニーは早起きなのね」
欠伸をしながらそう言って入ってきたのはユリアだ
「…ユリアも早い」
ロニーがぽそりと言った
「え?ロニー私の名前覚えてくれたの?」
「ん。覚えた」
「すごいわ!ママ聞いた?」
「聞いたわ。でもユリアの名前だけじゃないみたいよ?」
ナターシャさんはクスクス笑いながら言う
「そうなの?」
輝くような目を向けられたロニーは戸惑いながらも頷いた
「皆、覚えた」
「皆…ってこの家の人皆?」
「…ん」
驚きを含んだ声にロニーがこわばった
「私が来た時この家は今より人が少なかったけど中々覚えられなかったのに…ロニーは凄いのね!」
そんな言葉を向けられると思っていなかったのかロニーは目をパチパチさせていた
ユリアが自慢の弟だと皆にそのことを伝えて回り、そんなユリアにロニーが少しずつ懐き、心を開くようになるのは当然だったのかもしれない
後にロニーがいわゆるシスコンになりユリアの恋人が中々できなくなることをこの時は想像もしなかった

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