チートな親から生まれたのは「規格外」でした

真那月 凜

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131.深い傷

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「この子がロニーよ」
ナターシャさんが紹介すると続くようにチビからの自己紹介が始まった
初対面で20人近く覚えるのはまず無理だろうけど…
「ロニー、大勢いてすぐには覚えれないだろうからゆっくり覚えていくといい」
カルムさんのその言葉にロニーは小さく首を横に振った
その目はただ宙を見ている感じで子供特有の輝きが全くない
一言でいえば虚ろな目
それだけでもロニーの心の傷が深いとわかる

「ロニーの色合いはシアにそっくりね」
「へ?」
「確かにそっくりだわ」
スカイの言葉にレティもうんうんと頷いている
再びロニーを見れば青みがかった銀髪にサファイヤの目
確かに俺と同じような色合いだ
髪の青みが俺よりも少し濃いくらいだろうか
父さん、俺、ロニーと並べば綺麗なグラデーションになりそうだ
「まぁ、似た者同士よろしくな」
ロニーの頭を軽くなでてそう言う
何の返事も帰ってこないけどビクつくわけでもないから問題ないと思っていいんだろうか?

ナターシャさん達が家の中を案内している間にスカイたちには何かする時は声をかける様に言っておく
「分かってるよ。無理に引き込む必要はないけど根気よく、でしょ?」
ドヤ顔で言うスカイにスージーとユリアが来た時もしつこい程同じことを言われていたのを思い出す
「はは…お前たちの方が一緒にいる時間が長いだろうから頼むぞ?」
「任せて」
トン…と胸を叩いて言うスカイが頼もしく見える
この後、部屋に戻ってすぐ“シアのミニチュアみたいで可愛い”とつぶやいたレティの言葉は聞かなかったことにした


「おはよー」
「おはようございます」
翌朝、レティと下に降りると母さんとナターシャさんがいつものように食事の準備をしていた
違うのはそこにロニーがいる点か

「おはよう2人とも」
「おはよう」
「レティ果実水でいいか?」
「うん」
頷いたのを見て2人分の果実水を用意する
「ん?」
視線を感じて振り返るとロニーがじっと俺を見ていた

「ロニーも飲むか?」
一応尋ねてみると小さく頷いた
「ほら」
子供用の軽めのコップに注いで前に置く
「良かったわねロニー。『ありがとう』言わないとね」
ナターシャさんがロニーの背後から覗き込むようにしてそう言った
「…ありがとシア」
かろうじて聞こえるような小さな声
「どういたしまして。ロニーはもう俺の名前を憶えてくれたのか?」
あれだけの人数を一気に紹介されてよく覚えていたなと感心する
「覚えた。レティシアナはシアの恋人」
「「「「え?」」」」
母さん達含め固まった
「1つ下にルークとシャノン、その2つ下がスカイで、スカイの3つ下がケイン。あともうすぐ1歳になるシエラ」
スラスラと読み上げる様に言葉が続く
名前だけでも大変なのにつながりも歳も覚えてるってことか?

「ロニー、ひょっとして全員覚えた?」
「ん」
まさかの記憶力だ
ロニーの両親がロニーを、弟を犠牲にしてでも守ろうとした理由が透けて見える
話し方こそ2歳半らしいたどたどしさがあるけど言葉をきちんと理解してるのは明らかだ
「本当にシアのミニチュアを見てるみたいね」
「へ?母さん?」
なにを突然言い出すのか…
「そう言えばそうね。シアもロニーほどじゃないけど、幼いころから記憶力も良かったし知識もあったからね」
「…気持ち悪くないの?」
突如投げかけられた疑問に俺達は再び固まった
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