チートな親から生まれたのは「規格外」でした

真那月 凜

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128.父さんの過去

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「物心がついたころから俺は継承争いに巻き込まれて何度も殺されかけてな…10歳の頃に心臓を刺された。幸か不幸か仮死状態になった俺を向こうは死んだと思い込み試練の森の入り口に捨てていった」
「試練の森って…」
俺は絶句した
試練の森は獰猛な魔物が住まう森だ
危険度が高く森自体の調査もあまり進んでいないはず
森に入って無事生還できのはSランク以上だろうと言われているくらいだ
そんな森の入り口に子供を捨て置く?しかも王家が?

「下手に隠蔽するより楽で確実に処分できるから、だろうな」
「そんな…」
「ただ、血の匂いに集まった魔物に体中を食い荒らされていたところを、カルムとカルムの親父さんに救われたんだ」
そんな惨事を父さんはただ淡々と話す

10歳っていえば今のケインと同じ年頃だ
そんな時にこんな壮絶なことに巻き込まれてたとか…
「史実にも殺害されたと記録された。なのに忘れた頃に追手が放たれ同年代の男たちが調べられる。そんな生活に嫌気がさして生きる目的も失った。サラサと出会ったのはそんな時だった」
父さんは母さんと出会って人生が変わったと言っていた
それは大げさでも何でもなく本当に言葉のままだったのだと初めて思えた

「その後も色々ありはしたんだがな、大きく変わったのは結婚した日だ。サラサがゼノビアから言われたらしい『俺の過去にとらわれずに生きていけ』と」
「父さんの過去にとらわれずに?」
「ああ。その時史実が書き変えリア・キングストン』という名がなくなって俺はただのレイになった」
そんなことがあり得るんだろうか?
でも父さんがそんなウソをつく必要も意味もない

「その直後に授かったのがシア、お前だ」
「!」
突然俺につながったことに思わず息を飲む

「…俺はずっと…自分の血を引く子供を持つなんて許されないと思ってたんだ。死んだとされてなお追われ続ける忌まわしい血が幸せをもたらすはずがないからな」
「忌まわしい血…」
その言葉にどれだけの思いが詰まっているのか想像するのが怖い
長い間心を殺すほどの事態を生んだ血…
「それに逃げ続ける運命を背負わせるなんて考えたくもなかった」
そんなことにはならない、なんて言えるはずがない
10歳の子供を試練の森に捨て置くような人たちがまともな神経をしてるとも思えない

「だから、そんな忌まわし過去がなくなったときに授かったお前は、俺にとっては未来につながる初めての絆だったんだ」
伸ばされた手が俺の頭に触れる
「下の4人も大事だが…そう言う意味でお前は特別な存在なんだよ」
「父さん…」
父さんの暖かい魔力を感じながら俺はその言葉を、父さんの過去を記憶した
この嬉しいと感じた気持ちと一緒に…


+-+補足+-+
レイの史実が書き換えられて時のお話が気になる方は
「ある日突然『異世界を発展させて』と頼まれました」の「15.ミュラーリアの婚姻の形4~5」を覗いてみてください
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