チートな親から生まれたのは「規格外」でした

真那月 凜

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129.それぞれの道

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「相談があるんだけど」
ギルドからの帰りに突然そう言ってきたのはルークとシャノンだ
いつもと違う真剣な表情に、とりあえず夕飯食べてから部屋に来ればいいとは言ったもののその表情はずっと強張っていた

「で?」
俺は2人を部屋に通して尋ねた
レティは母さんに料理を教わっているためこの場にはいない

「僕たちこのままパーティーでいてもいいのかなって思ってさ」
「は?」
何なんだ突然?
思いもよらぬルークの言葉に俺は一瞬固まった

「レティが入ってからシアの動きは目に見えて変わっただろ?旅の間、同じBランクでもシアと同じでソロで動いていたレティとの差は大きかった」
「まぁ、戻ってすぐレティはAランクに上がっちゃったけどね」
ルークの言葉にシャノンも続く

「シアは僕たちの事を足手まといとは言わない。でも戦闘に入った時、シアが気に掛けるレベルが全く違うのが分かるんだ」
「さりげなくフォローしてくれるシアにどれほど助けられてきたのか、そんなことにレティが入って改めて気づいたの」
レティと行動するようになってからシャノンとルークはそのことについてよく話すようになったと言う
もとから2人で話をすることが多いのを知ってたから内容まで気にしたことは無い
その内容がいつの間にかそんなものになってたこと自体に衝撃を受けた

「レティが正式に『無限』に入った今、シアが僕たちとパーティーを組み続けるメリットは少ないと思う。今までは同年代で近いレベルがいなかったからこそ成り立っていたんだって思い知ったよ」
「きっとね、シアがそれを口にすることはないし、そんな風に考えることもないと思う。でもこのままでは嫌なの」
2人がそこまで考えてた事に俺は全く気付かなかった
普段素直に思ってることを表に出す2人にしては珍しいことかもしれない

正直俺は2人を足手まといとは思わない
確かにレティと2人でも大半の依頼はこなせるし迷宮攻略も進めることは出来る
だからといってルークとシャノンがいらないかと言えばNOだ
特にスタンピードが起こったときなんかは2人がいるのといないのでは雲泥の差がある
俺達が2人でも支障がないのはあくまで普段の行動に限られる
そもそも強さだけがパーティーを組むメリットってわけでもないしな
現に『弾丸』でも『暁』でも、その他大多数のパーティーでもパーティー内のレベル差があるのが普通だ
ただ、それを今の2人に言っても理解できないんだろうけど…
産まれた頃から見てるだけにその頑固さも嫌という程知ってる
さて、どうしたものか
俺は2人を前に暫く思案する
今確実に言えることは一つしかない

「…コーラルさんの後ろ盾の問題もあるからパーティーを抜けるのは簡単ではないかな」
「「…」」
2人もそれは気にかかっていたのか反論はしてこない
かといって納得がいってる表情ではない
でも少なくとも2人と同等のレベルの冒険者を2人見つけないと無理だろうな

「俺自身、有事の際にレティと2人で対処できるとは思わない。それは旅の間に身に染みた事だ」
「でも普段は…」
「そうだな。確かに普段はレティと2人でも問題はない」
その事実はごまかしようがないから正直に伝えておくことにした
「でもそれはルークとシャノンにも言える事だろ?」
「え?」
「どういうこと?」
一瞬泣きそうな顔をした2人は首をかしげた
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