チートな親から生まれたのは「規格外」でした

真那月 凜

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105.宿で迎える朝…

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野営を含む2日間の道のりは魔物も賊も出ず楽しい旅の形で終わった
よほどでない限りそうなるだろうとは思っていても、実際そうなるとホッとする
「宿の部屋だが希望はあるか?一人部屋を5部屋でも問題ないが」
「僕とシャノンは一緒で問題ないけど?」
年頃とは言え旅のおかげかその辺はあまり気にしなくなった2人は即答だった
「じゃぁ2人部屋を2つ。ケインは俺達の部屋でいい」
俺がそう言うと従者が手配をしに行った

「当日で問題ないんだ?」
「それ以前の問題だな。護衛の観点から1つの階全ての部屋を押さえてある」
「まじか…」
宿によって部屋数は違うだろうけどそれなりの金額になりそうだ
「じゃぁ抑えてる部屋から使う部屋を選ぶの?」
「そうなるな。事前に大まかには決まめてはいるが、宿に着いた時点で割り振りをし直すこともある」
「大抵は領主さまの部屋を基点にして割り振るんだ」
なるほど
今回みたいに直前にメンバーが変わったり、道中で怪我することもあるだろう
怪我人を隣の部屋に配置しても役目を果たせないもんな
そう考えれば絶対ココと決めてる方が都合が悪いか

「お部屋の用意が出来ました。領主さまの部屋は3階の右手真ん中、両隣に騎士達の部屋、向かいの2部屋がシア達の部屋です」
従者が説明しながらカギの絵を見せてくれる
部屋の配置が分かっているなら俺達はコーラルさんの部屋の絵を覚えておけばいい
「夕食と朝食は宿の食堂で手配済みだ…ただし足りない分は屋台で賄ってくれ」
普段のシャノンとルークの食べる量を思い出したのか最後に付け足された
その分だとシャノンとルークにお金まで渡された

「明日は1日、自由にしてもらって構わない。出発は明後日の朝の鐘が鳴る頃だ。シア達には宿屋の前で待っていてもらいたい」
「分かった。夕食はこの後すぐ食べれる感じ?」
「ああ。もう準備は出来ているらしい。私たちは荷物を部屋に置いて着替えたら頂く予定だ」
「じゃぁ俺達もそうするか?」
「うん。もうお腹ペコペコ」
シャノンが言った途端“馬車でずっと何かを口に入れていた気もするが…”という騎士が呟く声が聞こえた
「レティとケインも食べれるか?」
「うん!」
「私も大丈夫」
「よし、じゃぁ一旦部屋を見てから各自食堂だな」
大まかな予定が決まりそれぞれ動き出した

「ここだな」
カギの絵柄と一致する扉を見つけて中に入る
「意外と広い?」
「一応領主が止まる宿だからな」
「あ、そうよね」
レティはそう言えばといいながら笑う
「領主さまが泊まる部屋は広い?」
「大抵はそうなるんじゃないか?偉い人の立場ってのもあるしな」
「そっか」
ケインは頷いて部屋をうろつき始めた

「ケインはこの町でしたいことはある?」
「ん~薬草売ってるお店があれば行きたい」
レティの問いに返ってきたのは子供らしからぬ場所
とはいえ薬草大好きなケインにとってはどこよりも行きたい場所と言えるだろう
「なら朝からギルドに顔を出して店の場所を聞こう。レティはどこか行きたいところは?」
「特にないかな~町を少しぶらつきたい気はするけど」
人ごみは嫌いでも初めての場所は気になるらしい
「じゃぁ薬草を見てからぶらつくか。目ぼしいものがあれば儲けもんってとこだな」
「楽しみだねケイン」
「うん。楽しみ」
こうしてレティがケインを気遣ってくれるのは本当に有り難い
どちらかと言えば人見知りのケインもレティには最初から懐いてた時点でその人柄の良さが分かる

「シア、準備できたなら食堂行こうよ」
ドアをノックしながらシャノンが声をかけて来る
俺達は3人顔を見合わせて思わず笑っていた
「行くか」
俺が言うと2人とも頷いた
揃って食堂に足を踏み入れればコーラルさん達は既に食べ始めていた
長いそのテーブルに同席させてもらって大勢で取る食事は家と同じようで違う
ちょっと不思議な感覚を覚えながら皆との食事を楽しんだ
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