チートな親から生まれたのは「規格外」でした

真那月 凜

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105.宿で迎える朝…

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翌朝目を覚ました俺は身体を起こしてすぐそばで眠るケインと隣のベッドで眠るレティを見ながらくつろいでいた
「それにしても…」
ケインを見て改めて思う
俺にやたらと執着するケインと、それを当然の様に受け入れている俺自身
他にも兄姉がいるのになぜ俺なのか
そして俺自身はなぜ当然の様に受け入れているのか…?

「前世の自分と重ねてるのか?」
足を痛めて自由に動き回れないケインと寝たきりだった自分
でもケインの場合は母さんに頼めば治すことができる
それをしない理由は未だに分からないけどそれを責める気はない
本来治癒魔法に類するものは莫大な金が必要になる
ケインの様に損傷が激しければその分さらに高額になる
だから母さんは緊急時やよっぽどの事態でない限りは安易に治療することはない
ただしあの家に関する者以外にはという前提条件が存在する

「そのうち分かる時が来るんだろうか?」
「…分かるって何が?」
レティが起きたらしい
目をこすりながら首をかしげるその様にケインがいなければ理性を保てただろうかとどこかで思う
「ケインが俺に執着する理由と俺がそれを当然の様に受け入れてる理由、それとケインが足を治さない理由かな」
「それは…難しい謎ね」
「だろう?」
苦笑しながら言うレティに同じく苦笑して返す

「うぅ…?」
もぞもぞとしながらケインが目を覚ます
「おう、おはようケイン」
「ケインおはよう」
「おはよ…」
寝ぼけたまま布団の奥に潜り込もうとするケインを引っ張り出した
「薬草、見に行くんだろう?」
「…行く!」
薬草という言葉に一気に覚醒したらしい
勢いよく身体を起こしベッドから抜け出した

「朝食はルーク達が起きるまで待つか」
「そうだね。別行動するにしても少しくらいはすり合わせしとかないとだし」
ピアスもあるし追跡できないわけじゃないけど、完全な別行動というのもいただけない

「シア、リトスは?」
『ここだよー』
リトスはテーブルに置いたポーチから飛び出してケインの肩に乗る
「おはよ、リトス」
『おはよー』
「シア、リトスの果物ある?」
「ん?ほれ。ケインも食べたかったら食え」
イチゴのような果物を取り出して渡す
「ありがと。リトス一緒に食べよ」
『わーい』
2人はテーブルでお行儀よく果物を頬張っていた

「シャノンとルークも起きたみたいだな」
「ほんとだ」
俺が気づくとレティも察知したらしい
「何でわかるの?」
「俺達は気配が分かるからな。寝てるか起きてるかくらいは分かる」
「すごいね!」
こういう察知能力はリトスの方が凄いぞ?」
「え?」
ケインは驚いたようにリトスを見た
「リトスの察知能力は母さん達より優れてるからな。ってことだからリトス、今日は一日ケインの側にいてくれ」
『わかったー』
リトスは風魔法も結界も使えるから悪意がある相手からなら問題なくケインを守ってくれるはず
勿論俺とレティが側にいるからそんな事態にならないとは思うけど、絶対とは言えないから保険のようなものだ

「シア、入るよー」
「ああ」
ルークの言葉に返すと2人が入ってきた
「シャノンが早起きなんて珍しいな?」
「だって買い物する時間が限られてるんだもん」
「なるほど」
「…シャノンは物欲には絶対勝てないのね」
俺が頷く横でレティが呟いた
レティ、それは一生無理だと思う
あえて言葉にはしないけど…
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