チートな親から生まれたのは「規格外」でした

真那月 凜

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91.コイバナ?

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旅を終えて3週間が経った
少しずつ周りが落ち着いて来る中、以前と変わったことと言えば、俺の側には自然とレティがいるってことくらいかもしれない

「…で?」
目の前で酒を流し込んでそう首をかしげたのはマリクだ
「お前が俺に相談なんてそうそうないからな。今日はいくらでも付き合うぞ?」
「…悪いな」
ニヤリと笑いながらそう続けたマリクに俺は苦笑しながら返す

「まぁ何の件かは何となく予想は出来るけどな」
「…何だと思うんだよ?」
「そりゃぁ、ほら、レティシアナ?」
マリクは苦笑しながらそう言った
完全に見抜かれてるらしい
自分がそこまでわかりやすい態度を取っていたのかとうんざりする

「…そんなにわかりやすいのか?」
「ん~まぁ、お前の場合はこれまでが完全シャットアウトだったからな。それがパーティーに入れた上に常に側に置いてるだろ」
「別に側に置いてるわけじゃ…」
ないはず…だぞ?
側にいろと言ったことはないし、どちらかと言えば気づいたら側にいるだけだし?

「確かにその辺の奴らみたいに常にくっついてるとかじゃないけど、お前が誰かと、しかも異性と行動するなんてシャノンだけだったからな」
「…確かに」
「はたから見ててもお前がレティシアナを大事にしてるのは分かるし、レティシアナがそれを無条件に受け入れてるのもわかる。彼女の方もシアにだけはかなり気を許してるみたいだしな」
「気を許してる?レティが?」
そのことに全く思い当たることがなかった

「何だ、気づいてなかったのか?双子にも一線を引いてる感じだけど?」
「え…?」
「俺から見る限りレティシアナもお前と同じで自分のテリトリーに人を置かないタイプだ。まぁ種族的に考えても仕方ないのかもしれないけどな。一見どこにでもいそうな外見とは違って希少種だから」
簡単に相手を信用すれば囚われていた過去と同じことが起こり得るだろうとマリクは言う
「けどレティはシャノン達とも…」
「一見仲はよさそうだな。でも挨拶とか必要な会話はともかく、雑談のレベルでレティシアナから声をかけるのはシアだけだ」
「は?」
そんなはずは…
俺は色々思い出してみたけど確かに大抵の場面でシャノン達から話しかけていたのだと気づく

「それもあるから俺達はお前たちが既にそういう仲だって思ってた。だからそうじゃないって聞いてびっくりしたくらいだ」
「…旅の間はそんな余裕なかったんだよ。戻って来てから町をまわって色々言われたせいで、あえて考えないようにしてたことに気付いたけどな…」
「まぁそれは仕方ないか。双子を連れて帰る使命感もあっただろうしな。実際サラサさんとの約束を破ればどうなるかは俺でも考えたくない」
子供のころから怒られた記憶は山ほどあるだけに想像は容易い
それが命に関するとなれば火を見るより明らかだ
怒るだろうし、それ以上に深い悲しみに襲われることも明白だもんな

「で、自覚した以上ははっきりさせるんだろう?」
「ぐ…」
ストレートに問われて俺は言葉を飲み込んだ
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