チートな親から生まれたのは「規格外」でした

真那月 凜

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91.コイバナ?

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「その事なんだけどさ…」
「?」
「マリクがローラと付き合うきっかけってどんなだった?」
「は…?」
マリクが酒を吹き出した
汚いから勘弁してほしい

「悪い…けど何でそんな話になるんだよ?」
取り出したタオルを受け取りながらマリクが聞き返してくる
ちなみにタオルも母さんが広めた物だ
それまではただの布がタオル代わりだったらしい

「いや、はっきりさせた方がいいんだろうけど、いざそうするにも、どうしていいかわからなくてさ」
正直ここ数日その事ばかり考えていた
でも結局どうしていいかわからないままなんだよな
女と関わらないように過ごしてきただけに、参考に出来るのが母さん達やシャノンしかいない
でもそこは参考にしたらダメな気はする

「付き合ってくれとか…今さら感半端ないなって思うしさ。かといってこのままってのも何か情けないし」
「…そうやってうじうじしてる方が情けないけどな?」
マリクに笑いながら言われて居たたまれなくなる

「まぁさ、付き合うって言葉はともかくお前はこのまま側にいて欲しいんだろ?」
「ああ」
それはもう誤魔化すことのできない気持でもある
「例えばだけどさ、レティシアナがあの家に居づらいって言ったらそのまま出ていかせるのか?」
「レティが居心地が悪いなら俺が別に用意する」
反射的に言い返していた
無理して家族に合わせて欲しいとは思わない
お互いに居心地のいい相手であればそれが最善だろうけど、種族も違えば育った環境も違う
少し距離を置いた方がお互い楽ならその方がいいってだけの事だしな
そんな俺を見てマリクが大笑いした

「そういうことだよ。お前にとって既に付き合うなんて次元じゃないってことだ」
「…」
「まぁさ、プロポーズは早すぎるだろうけど、側にいたい、側にいて欲しいって気持ちくらいは伝えてもいいんじゃないか?お前はレイさんの血を引いてるから覚悟が必要なのは向こうの方かもしれないけどな」
「覚悟…?」
何で付き合う付き合わないの話でそんな不穏な言葉が出て来るのかさっぱりわからない

「俺の母さんにしてもサラサさんにしてもだけど、未だに抱きつぶされてるのは知ってるだろ?」
「!!」
今度は俺が吹き出す番だった
いや、確かに父さん達の話の端々からその辺の事情は知ってるし、シエラも1歳になってない
それにこの世界では15の成人を迎えれば一人前とみなされる
その時点で異性とのかかわりは大きく変化するやつが大半だし、町を歩いてても裏通りに入れば年代問わず盛ってる男女がそこら中にいる
物心つくかつかないかって頃から見慣れた光景だし、大人達も性生活に関してかなりオープンに語ってるから嫌でも耳に入る
元の世界とは違ってこの世界では性交渉なんて恥ずかしいどころか当然のこととして扱われる
それこそ食事とか買い物と同じ位置づけと言えるくらいに…
その状態で興味を持つなという方が無理があるんだろう
もっとも、貴族と呼ばれる部類の人たちは『女性は処女でないと』とか言われてるらしいけど

「高ランクになるほど大変らしいからなぁ…」
「他人事みたいに…」
「いや、俺自身18超えたくらいから実感してるんだよ。Bに上がったくらいからそれに拍車がかかったし」
「…」
兄妹の様に育ってきたマリクにそう言われてしまえば、俺の中に言い返す言葉は持ち合わせていなかった
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