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90.レティへの報告
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「最後にレティシアナへの報告なんだが…」
「私…ですか?」
そうだった
レティへの報告もあるからこの場にレティが同席してたってことをすっかり忘れてた
「君を捉えていた貴族の事が分かったよ」
「!」
コーラルさんの言葉にレティの体がこわばった
旅の話をする中でレティと出会った経緯も勿論話している
話を聞いた母さんは真っ先にレティの傷痕を文字通り“治癒”したからレティの足にはもう、あの忌々しい傷跡は存在しない
当時受けた心の傷迄はどうすることも出来ないけど…
だからこそ許される問題じゃないとコーラルさんは調べてくれると約束してくれた
奴隷の枷を嵌めることも魔封じを悪用することも犯罪だから当然と言えば当然だけどな
奴隷を個人的に囲うことも、魔封じの悪用もその罰は“犯罪奴隷になる”だったはずだ
それだけ悪質なことをレティは長い間されていたってことでもある
「まずあの”元”貴族の名はエルゲス・モダニール。モダニール領の”元”領主だ。レティシアナの言っていた馬車の横転した場所はモダニール領の西端で、横転事故は普段、馬車の整備を怠っていたのが原因だった」
“元”をやたらと強調してるのは気のせいか?
馬車や屋敷の整備を怠るのは小物領主では多いらしい
そっちに回す金があるなら、家具や調度品、ドレスや宝石といった贅沢品に回して体裁を整えようとする
でも整備費用をケチってその挙句があの事故だとするとただの馬鹿でしかない
「事故により御者は即死、エルゲスは偶然通りがかった冒険者が近くの町に運び治療を施されていた。我々が発見した時には既に領に戻っていたようだが」
いっそ死んでも良かったのにと思ったものの口には出さなかった
「屋敷を調べたら少し調べただけでも捕縛するに十分なネタが山ほどあった。地下室にはレティシアナ同様奴隷の枷を付けられた少年少女が5人、全て獣人で力を抑えるために威力封じの枷が付けられていた」
「レティシアナの時と手口は同じってことね?」
「そういうことだ。獣人の少女はエルゲスに凌辱され続けて心が壊れかけていた。元々が性に奔放な種族だったおかげか数日で落ち着いたが、助け出した時はメイドに触れられるのすら恐れたほどだ」
少女というからには成人していない子供なんだろう
どれだけの恐怖と屈辱を強いられたのか想像しただけでも胸糞が悪い
同時にレティがそう言う意味では無事だったことが奇跡的なことの様にさえ感じる
かといってけがで済んだというレベルでないことも事実だ
レティ自身も同じことを考えたのか体が震えていた
「エルゲス本人と屋敷の者全てその場で捉えて、調査を済ませた後は全員が犯罪奴隷としてその身柄を鉱山に送られたよ」
「全員?それって結構な数にならない?」
「いや、全員と言っても執事と料理人、メイドが2人の4人だ。バレるのを怖れて極力人を減らしていたんだろう」
逆に言えば4人共がずっとそれを黙認してたってことか…
俺は無意識のうちに自分の拳を握りしめていた
「私…ですか?」
そうだった
レティへの報告もあるからこの場にレティが同席してたってことをすっかり忘れてた
「君を捉えていた貴族の事が分かったよ」
「!」
コーラルさんの言葉にレティの体がこわばった
旅の話をする中でレティと出会った経緯も勿論話している
話を聞いた母さんは真っ先にレティの傷痕を文字通り“治癒”したからレティの足にはもう、あの忌々しい傷跡は存在しない
当時受けた心の傷迄はどうすることも出来ないけど…
だからこそ許される問題じゃないとコーラルさんは調べてくれると約束してくれた
奴隷の枷を嵌めることも魔封じを悪用することも犯罪だから当然と言えば当然だけどな
奴隷を個人的に囲うことも、魔封じの悪用もその罰は“犯罪奴隷になる”だったはずだ
それだけ悪質なことをレティは長い間されていたってことでもある
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そっちに回す金があるなら、家具や調度品、ドレスや宝石といった贅沢品に回して体裁を整えようとする
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いっそ死んでも良かったのにと思ったものの口には出さなかった
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「レティシアナの時と手口は同じってことね?」
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どれだけの恐怖と屈辱を強いられたのか想像しただけでも胸糞が悪い
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逆に言えば4人共がずっとそれを黙認してたってことか…
俺は無意識のうちに自分の拳を握りしめていた
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2024/7/26 95.静かな場所へ、97.寿命 を少し修正してます
子供達の親のお話はこちら
■ある日突然『異世界を発展させて』と頼まれました(長編/ファンタジー)
この機会にご一読いただけると嬉しいです
■召喚に巻き込まれたけど元の世界に戻れないのでこの世界を楽しもうと思います
■あなた方が呪いと呼ぶそれは本当は呪いではありません
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