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89.思わぬ繋がり
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「何にせよこれは事件解決に貢献した褒美として受け取ってもらいたい」
「褒美…」
俺達は顔を見合わせた
「ファシスネーションフラワーの栽培地の特定はそれだけ大きな意味があるということだよ。事件解決に加えて今後の医療の発展が見込まれるからね」
そう言いながらコーラルさんが取り出したのは白金貨の詰まった袋とメダルのようなものだった
「白金貨150枚だ。君に金はさほど必要が無いだろうが褒賞の額は一律だからね」
「別にそんなつもりじゃなかったしむしろいらないけど…」
「まぁそう言わずに取っておきなさい。こっちのメダルは王都に行くことがあれば使えばいい」
「?」
「あぁ、例のメダルか」
父さんが納得したように言う
「父さん知ってんの?」
「弾丸も持ってるからな。めんどくさい事態になった時に見せればいい。王家がバックに居るぞって脅しくらいにはなる」
「は?」
思わず呆けてしまった
「王家の紋章の他にシアのパーティー名と名前が入っているから、偽物だと言いがかりをつけられたらギルドカードを見せればいい。それでも難癖をつけてくる相手は憲兵に突き出して構わんよ」
「貴族相手に憲兵が役に立つのか?」
「王都に関しては憲兵も半数は貴族の者を配置しているから問題ない」
なるほど
一応は考えられてるってことか…
「まぁ個人的に王都に行く気はないけど行った時は奥の手にさせてもらうよ」
「そういやそのメダル、王都以外でも使えるのか?」
「使えるがそのメダルの意味を知る憲兵は少ないな」
「…流石に全憲兵が把握するのは無理か」
父さんはそういいながら大きなため息を吐いた
「そういうことだ。だから地方に関しては旅の間と同じようにしてくれたらいい。ギルドと憲兵に上下関係はないからね。こっちからギルドに依頼すれば容赦なく動いてくれる」
「そう言えばギルドは独立した機関なんだっけ」
「各国と連携を取ってはいるが国に従う義務はないよ」
「それはどうして?」
「過去に戦争に悪用された事実があるからだ。高ランク冒険者は魔物以上に脅威だからね」
「スタンピードの際に憲兵率いる国や貴族がしゃしゃり出てきて、ギルドの作戦に口を出した挙句、町が滅んだ例も少なくないと聞く」
父さんの言葉に俺はレティと顔を見合わせていた
「それ、国のせいじゃ…」
「耳に痛い話だがその通りだ。それ以来ギルドは国にも貴族にも縛られない独立した機関になった。冒険者ギルドも商業ギルドもね」
「そっか。憲兵は基本的に人が相手だもんな。魔物への対峙とは違うよな」
俺がボソッと呟くとコーラルさんが驚いたようにこっちを見ていた
「…何?」
「いや、成人したてのシアでもわかることが、学のあるはずの貴族や憲兵に理解できないのは何故かと思ってね」
「…憲兵の試験に初級迷宮の攻略でも入れたらどうだ?ちょっとは頭も柔らかくなるんじゃないか?」
「ふふ…迷宮は人の理の通用しない世界だものね」
母さんが楽しそうに笑う
こういう時は碌なことを考えていないはず
実際迷宮なんて季節も度外視されてるし、人間の思うとおりに動く世界じゃないからな
固定観念にとらわれてたら階層を進める事なんてできないだろうし
「それに、初級でも迷宮ボスを倒せるくらいになってくれれば、ギルドへの無茶な素材交渉も少しは減るかもしれないわね~」
「違いない」
ギルマスの愚痴を聞いてきている父さん達ならではの皮肉か…
「だがそのおかげでシアは儲けてるんじゃなかったか?」
「そのおかげでと言うにはランクと量が普通じゃないだろうが」
「ふむ。それもそうか?」
父さんの突っ込みに、コーラルさんはお得意のとぼけ顔でやり過ごす
何にしても、あの忌々しい事件が解決したならいいか
「褒美…」
俺達は顔を見合わせた
「ファシスネーションフラワーの栽培地の特定はそれだけ大きな意味があるということだよ。事件解決に加えて今後の医療の発展が見込まれるからね」
そう言いながらコーラルさんが取り出したのは白金貨の詰まった袋とメダルのようなものだった
「白金貨150枚だ。君に金はさほど必要が無いだろうが褒賞の額は一律だからね」
「別にそんなつもりじゃなかったしむしろいらないけど…」
「まぁそう言わずに取っておきなさい。こっちのメダルは王都に行くことがあれば使えばいい」
「?」
「あぁ、例のメダルか」
父さんが納得したように言う
「父さん知ってんの?」
「弾丸も持ってるからな。めんどくさい事態になった時に見せればいい。王家がバックに居るぞって脅しくらいにはなる」
「は?」
思わず呆けてしまった
「王家の紋章の他にシアのパーティー名と名前が入っているから、偽物だと言いがかりをつけられたらギルドカードを見せればいい。それでも難癖をつけてくる相手は憲兵に突き出して構わんよ」
「貴族相手に憲兵が役に立つのか?」
「王都に関しては憲兵も半数は貴族の者を配置しているから問題ない」
なるほど
一応は考えられてるってことか…
「まぁ個人的に王都に行く気はないけど行った時は奥の手にさせてもらうよ」
「そういやそのメダル、王都以外でも使えるのか?」
「使えるがそのメダルの意味を知る憲兵は少ないな」
「…流石に全憲兵が把握するのは無理か」
父さんはそういいながら大きなため息を吐いた
「そういうことだ。だから地方に関しては旅の間と同じようにしてくれたらいい。ギルドと憲兵に上下関係はないからね。こっちからギルドに依頼すれば容赦なく動いてくれる」
「そう言えばギルドは独立した機関なんだっけ」
「各国と連携を取ってはいるが国に従う義務はないよ」
「それはどうして?」
「過去に戦争に悪用された事実があるからだ。高ランク冒険者は魔物以上に脅威だからね」
「スタンピードの際に憲兵率いる国や貴族がしゃしゃり出てきて、ギルドの作戦に口を出した挙句、町が滅んだ例も少なくないと聞く」
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「それ、国のせいじゃ…」
「耳に痛い話だがその通りだ。それ以来ギルドは国にも貴族にも縛られない独立した機関になった。冒険者ギルドも商業ギルドもね」
「そっか。憲兵は基本的に人が相手だもんな。魔物への対峙とは違うよな」
俺がボソッと呟くとコーラルさんが驚いたようにこっちを見ていた
「…何?」
「いや、成人したてのシアでもわかることが、学のあるはずの貴族や憲兵に理解できないのは何故かと思ってね」
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母さんが楽しそうに笑う
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実際迷宮なんて季節も度外視されてるし、人間の思うとおりに動く世界じゃないからな
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「違いない」
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父さんの突っ込みに、コーラルさんはお得意のとぼけ顔でやり過ごす
何にしても、あの忌々しい事件が解決したならいいか
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2024/7/26 95.静かな場所へ、97.寿命 を少し修正してます
子供達の親のお話はこちら
■ある日突然『異世界を発展させて』と頼まれました(長編/ファンタジー)
この機会にご一読いただけると嬉しいです
■召喚に巻き込まれたけど元の世界に戻れないのでこの世界を楽しもうと思います
■あなた方が呪いと呼ぶそれは本当は呪いではありません
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