チートな親から生まれたのは「規格外」でした

真那月 凜

文字の大きさ
上 下
201 / 370
77.一安心

2

しおりを挟む
「シャノン、入るぞ」
「はーい」
一応返事を聞いてから中に入る
自分のテントなのに変な感じだけど…

「飯出来たぞ」
「やった。行こ、レティシアナさん」
シャノンに引っ張られるように彼女、レティシアナはテントを出た

「そーだシア、レティシアナさんはシアと同じ年なんだって」
何でそれをニヤニヤした顔で言う?

「それにしてもすごくいい匂い!」
「礼ならルークに言え。あいつが見つけた」
「わーい。ルークありがとー」
シャノンはルークの方に飛びついていく
じゃれてる二人を見ながらレティシアナは呆然としていた

「えーと、レティシアナでいいのか?」
「あ、はい。名乗りもせずにごめんなさい」
「気にしなくていい。さっきも言ったけど俺はシア、シャノンとじゃれてるのはルーク。あいつらは双子だ。それとこいつはリトス」
肩に乗っているリトスを紹介する

「ふふ…よろしくね、リトス」
『よろしく~』
リトスは差し出されたレティシアナの手に頬ずりした

「シア早く食べようよー」
「分かったから急かすな。飯は逃げない」
「逃げないけど冷めちゃうでしょ」
こういう時はやたらともっともらしいことを言ってくる
キャンプ用のテーブルには所狭しと料理が並んでいるように見えて、その半分以上は肉が占めていた
テーブルを挟んで2人が座れるベンチが2つ置いてある
その片方に双子が並んで座っていた

「そっち」
シャノンの向かいを指して言うとレティシアナは頷いて座った

「じゃぁ食おうか」
「「いただきまーす」」
2人は揃って言うなり肉にかぶりつく
「あの、いただきますって…?」
「あぁ、俺達の中での食前の祈りみたいなもん。食材やそれを用意してくれた人への感謝を込めた言葉って感じかな」
「…素敵な言葉ね」
レティシアナはそう言って呟くようにいただきますと言ってから食べ始めた

「おいしい…」
「でしょう?シアはお母さんに似て料理がうまいの」
「何でシャノンが得意げなんだよ?」
ルークが呆れたように言う

「いいじゃない。自慢の“お兄ちゃん”なんだから」
「甘える時しか使わない呼び方をいきなり出すな」
「でも本当の事だもん」
膨れたように言うシャノンにレティシアナがクスクスと笑い出す
その笑顔にルークとシャノンが固まった

「あ、あの…?」
困惑気味にレティシアナが首を傾げる

「レティシアナさん滅茶苦茶綺麗!」
「僕一瞬で引き込まれたかも…」
「…悪いな。あんまり気にしなくていいから」
俺が呆れながら言うとレティシアナは頷いた
そんな他愛のない話をしながらテーブルの上がどんどん片付いていく
尤もその大半を食べてるのはルークとシャノンの2人だけどな

「ねぇ、レティシアナさんはどうしてこの山に来たの?」
「え…?」
「ほら、ここは街道からそんなに離れてないじゃない?私たちは冒険者だし肉も調達したいからだけど、レティシアナさんはどうしてかなって」
「私…は…」
食事がそろそろ終わろうかという頃、シャノンの突然の問いにレティシアナは固まった

「シャノン、そんなことわざわざ聞くな。人にはいろいろあるんだから」
「でも気になるもん」
「お前にだって人に言いたくないことくらいあるだろ?」
「うぅ…ごめんなさい」
「いえ、私が…」
「気にしなくていい。ただ確認したいことがあるからちょっといいか?」
「はい」
俺は頷いたレティシアナを促してテントに移動した

しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

スキルが覚醒してパーティーに貢献していたつもりだったが、追放されてしまいました ~今度から新たに出来た仲間と頑張ります~

黒色の猫
ファンタジー
 孤児院出身の僕は10歳になり、教会でスキル授与の儀式を受けた。  僕が授かったスキルは『眠る』という、意味不明なスキルただ1つだけだった。  そんな僕でも、仲間にいれてくれた、幼馴染みたちとパーティーを組み僕たちは、冒険者になった。  それから、5年近くがたった。  5年の間に、覚醒したスキルを使ってパーティーに、貢献したつもりだったのだが、そんな僕に、仲間たちから言い渡されたのは、パーティーからの追放宣言だった。

魔境へ追放された公爵令息のチート領地開拓 〜動く屋敷でもふもふ達とスローライフ!〜

西園寺わかば🌱
ファンタジー
公爵家に生まれたエリクは転生者である。 4歳の頃、前世の記憶が戻って以降、知識無双していた彼は気づいたら不自由極まりない生活を送るようになっていた。 そんな彼はある日、追放される。 「よっし。やっと追放だ。」 自由を手に入れたぶっ飛んび少年エリクが、ドラゴンやフェンリルたちと気ままに旅先を決めるという物語。 - この話はフィクションです。 - カクヨム様でも連載しています。

悪役令息に転生したけど、静かな老後を送りたい!

えながゆうき
ファンタジー
 妹がやっていた乙女ゲームの世界に転生し、自分がゲームの中の悪役令息であり、魔王フラグ持ちであることに気がついたシリウス。しかし、乙女ゲームに興味がなかった事が仇となり、断片的にしかゲームの内容が分からない!わずかな記憶を頼りに魔王フラグをへし折って、静かな老後を送りたい!  剣と魔法のファンタジー世界で、精一杯、悪足搔きさせていただきます!

勇者パーティを追放された聖女ですが、やっと解放されてむしろ感謝します。なのにパーティの人たちが続々と私に助けを求めてくる件。

八木愛里
ファンタジー
聖女のロザリーは戦闘中でも回復魔法が使用できるが、勇者が見目麗しいソニアを新しい聖女として迎え入れた。ソニアからの入れ知恵で、勇者パーティから『役立たず』と侮辱されて、ついに追放されてしまう。 パーティの人間関係に疲れたロザリーは、ソロ冒険者になることを決意。 攻撃魔法の魔道具を求めて魔道具屋に行ったら、店主から才能を認められる。 ロザリーの実力を知らず愚かにも追放した勇者一行は、これまで攻略できたはずの中級のダンジョンでさえ失敗を繰り返し、仲間割れし破滅へ向かっていく。 一方ロザリーは上級の魔物討伐に成功したり、大魔法使いさまと協力して王女を襲ってきた魔獣を倒したり、国の英雄と呼ばれる存在になっていく。 これは真の実力者であるロザリーが、ソロ冒険者としての地位を確立していきながら、残念ながら追いかけてきた魔法使いや女剣士を「虫が良すぎるわ!」と追っ払い、入り浸っている魔道具屋の店主が実は憧れの大魔法使いさまだが、どうしても本人が気づかない話。 ※11話以降から勇者パーティの没落シーンがあります。 ※40話に鬱展開あり。苦手な方は読み飛ばし推奨します。 ※表紙はAIイラストを使用。

転生チート薬師は巻き込まれやすいのか? ~スローライフと時々騒動~ 

志位斗 茂家波
ファンタジー
異世界転生という話は聞いたことがあるが、まさかそのような事を実際に経験するとは思わなかった。 けれども、よくあるチートとかで暴れるような事よりも、自由にかつのんびりと適当に過ごしたい。 そう思っていたけれども、そうはいかないのが現実である。 ‥‥‥才能はあるのに、無駄遣いが多い、苦労人が増えやすいお話です。 「小説家になろう」でも公開中。興味があればそちらの方でもどうぞ。誤字は出来るだけ無いようにしたいですが、発見次第伝えていただければ幸いです。あと、案があればそれもある程度受け付けたいと思います。

異世界リナトリオン〜平凡な田舎娘だと思った私、実は転生者でした?!〜

青山喜太
ファンタジー
ある日、母が死んだ 孤独に暮らす少女、エイダは今日も1人分の食器を片付ける、1人で食べる朝食も慣れたものだ。 そしてそれは母が死んでからいつもと変わらない日常だった、ドアがノックされるその時までは。 これは1人の少女が世界を巻き込む巨大な秘密に立ち向かうお話。 小説家になろう様からの転載です!

異世界召喚?やっと社畜から抜け出せる!

アルテミス
ファンタジー
第13回ファンタジー大賞に応募しました。応援してもらえると嬉しいです。 ->最終選考まで残ったようですが、奨励賞止まりだったようです。応援ありがとうございました! ーーーー ヤンキーが勇者として召喚された。 社畜歴十五年のベテラン社畜の俺は、世界に巻き込まれてしまう。 巻き込まれたので女神様の加護はないし、チートもらった訳でもない。幸い召喚の担当をした公爵様が俺の生活の面倒を見てくれるらしいけどね。 そんな俺が異世界で女神様と崇められている”下級神”より上位の"創造神"から加護を与えられる話。 ほのぼのライフを目指してます。 設定も決めずに書き始めたのでブレブレです。気楽〜に読んでください。 6/20-22HOT1位、ファンタジー1位頂きました。有難うございます。

ようこそ異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語

Eunoi
ファンタジー
本来12人が異世界転生だったはずが、神様のうっかりで異世界転生に巻き込まれた主人公。 チート能力をもらえるかと思いきや、予定外だったため、チート能力なし。 その代わりに公爵家子息として異世界転生するも、まさかの没落→島流し。 さぁ、どん底から這い上がろうか そして、少年は流刑地より、王政が当たり前の国家の中で、民主主義国家を樹立することとなる。 少年は英雄への道を歩き始めるのだった。 ※第4章に入る前に、各話の改定作業に入りますので、ご了承ください。

処理中です...