チートな親から生まれたのは「規格外」でした

真那月 凜

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2-62.砂の城

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セトイカでは3月の初めに大きなイベントがある
俺達はルワードさんに誘われてそのイベントに参加することにしたんだけど…
「なかなかうまくできないよねぇ…」
シャノンがスコップを放り出した

「諦めるのはまだ早いだろ」
「だってルーク、全然固まらないんだよ?」
朝っぱらからすでに1時間以上、俺達は海岸の砂と戯れてるわけだ
山を作ってみてもサラサラの砂はすぐに崩れ落ちていく
こんな砂でどうしろというのかと文句を言いたくなる気持ちはよくわかる

「何だ、お前らまだ何にもできてないじゃないか」
「グース!おはよ」
「おはようさん。ん?お前ら初めてか?」
「ああ。この町で初めて海を見たくらいだからな」
「なのに砂の城コンテストに参加したのか?」
グースが呆れたように言う

「ルワードさんに誘われただけだよ。せっかくこの町に居るんだから参加するのも悪くないだろって」
「子どもから老人まで参加してるから誰でも楽しめるぞって言ってたんだもん」
「それがこんなに難しいと思わないじゃん」
俺達が口々に言うのを聞いてグースが笑い出す

「ルワードは実行委員だからな。イベントを盛り上げるために参加者をかき集めてる」
「げ、そういう理由だったのか?」
「まぁ、楽しんでもらいたいってのも確かだろうけどな」
ケラケラ笑うグースに思わず項垂れる

「しょうがねぇな、このままじゃつまんないだろうから基本だけ教えてやる。ルークそのバケツに海水汲んで来い。1/3くらいでいいから」
「海水?分かった」
ルークはバケツを持って海に向かって走って行った

「何で水?」
「砂は渇いてる時はくっつかないんだ。そんな砂じゃ城どころか山も作れねぇな」
なるほど
確かに波打ち際を歩く分には足が埋まることもあまりなかった気がする

「確かにさっきからどれだけ上からかけても流れていくんだよね」
シャノンはそう言いながらスコップですくった砂を5センチほどの小山にかける
その砂は見事に平坦な場所まで流れて行った

「汲んで来たよ」
「ご苦労さん。この砂は水を混ぜると水が接着剤の役割をしてくれる」
「水が?」
「ああ。だからこうして…」
グースは言いながら別のバケツに砂と水を入れて押し固めていく

「結構押し込んでる?」
「ああ。こうやって固めるんだ。固めれたら…よっと」
ひっくり返したバケツを外すと砂の塊が出来ていた

「すごい!」
「水の量で固さが変わる。乾燥して来たら水をかけてやるのも忘れるな」
「なるほど…だからみんな水を何度も汲みに行ってたのか」
周りを見るとバケツを持って海に向かう人が何人もいる

「そういうことだ。あとはまわりを見ながらやり方を覚えればいい」
「分かった。助かったよグース」
これでようやく一歩前進だ

「ありがとう!」
「あとでお店行くね」
シャノンだけ違うことを言ってる気がするが、まぁ聞かなかったことにしよう

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