チートな親から生まれたのは「規格外」でした

真那月 凜

文字の大きさ
上 下
175 / 370
62.砂の城

2

しおりを挟む
週末

クライスの妹の婚約披露パーティーへ車で向かう。

「クライスの妹って何歳?」

「14歳?だっけ?」

王子の誕生日パーティーで2人が踊っているのを見たっきり。クライスと似てる金髪の綺麗な女の子だった。



「名前は?」

何も知らないな。ルイスは笑いながらえーと?

「アメリア?だな。」

と答えた。

バートリー家の家の少し手前で車を止めて貰う。結構、玄関前は人が多く出席者が多いのが解る。

・・・と思っていたら原因は会長だった。



「そういや玄関前で待ち合わせてたな。」

握手会の様に会長に握手を求めて中へ入っていく御令嬢や御子息達。

私達を見付けた会長は遅い!!と言い放った。

その途端に視線が此方へ向かう。

「ルナリー様にルイス様だわ!!」

あはは。握手会突入。



「さあ、時間になりますから中へ。」

見かねたバートリー家の使用人が声を掛けてくれて漸く中へ入る事が出来た。



「会長、申し訳ない。」

「いやいや、待ち合わせは玄関前は今後は却下だな。」

目立つ場所は避けよう。



相変わらず広くて豪華な大理石の玄関ルームを抜けてパーティールームへ案内される。

パーティールームはレストランが開けるくらいの広さがあった。

立食パーティー形式で今日も食べる暇が無さそうな気がする。



庶民にはこれを食べない感覚が未だに解らない。勿体ないよなあ。



クライスは両親の隣で挨拶をしている様だ。御令嬢達が次々に挨拶に来ている。

「僕達も御両親には挨拶しておこうか。」

会長と共にクライス達の元へ。途中、色々な方々から声を掛けられるのでやっと辿り着けた。



「本日はお招きありがとうございます。」

「おめでとうございます。」

クライスの御両親は嬉しそうに

「まあ!ようこそ!いつもクライスがお世話になっております。」

と丁寧にお辞儀をされた。

「やっと来たねー。もう辛い。」

クライスがゲンナリと愚痴を言う。



「こんにちは。お招きありがとうございます。」

背後から王子とキャサリンが声を掛ける。

本日のメンバーは揃った。



「もう握手会は嫌だわ・・。」

キャサリン達も此処に来るまでに相当捕まったようだ。



「では、お父様、お母様。今日は会長と一緒におりますので。」

クライスは嬉しそうに此方へ。御両親は会長に息子が我儘を言ってすみませんと謝っていた。

シャッフルダンスの件は無事に両親にOKを貰えた様だ。



私達の婚約披露パーティーの時の様に御両親の挨拶からパーティーが始まった。

妹さんの結婚相手は同級生のビクター君と言う。好青年になりそうな感じ。今は可愛い感じの子だ。



ダンスも14歳ってまだ可愛らしい。2人とも綺麗な顔立ちだし今まで婚約していなかったのが不思議なくらいだ。

いや、クライスや会長にカインにジョージも婚約してないから普通なのかな。



「クライス様は誰と踊られるのかしら?」

「誰も御令嬢が御一緒じゃないわ!」

「もしかして?え?ケビン様?いやーん!素敵!」



御令嬢達、聞こえてますよー。その通りですよー。

クライスと会長は笑いを堪えて聞こえないフリをしている。

やっぱり素敵なのね。

エリザベス様程では無くても皆、こう言うの好きなんだなあ。



「さあ、行こうか会長。」

「ああ。レッツゴーだね。」

クライスが会長をエスコートして前へ出る。

続いて王子をエスコートするルイス

キャサリンをエスコートする私と続くと御令嬢達や御子息達の声援の様な歓喜の悲鳴の様な。

キャー!!!と言う声と共に拍手が起こった。



「ノネット・クライムの皆様だわ!」

「クライス様とケビン様!お似合いですわ!」

「あら!ジェファーソン様とルイス様の方がお似合いよー!」

「キャサリン様とルナリー様、可愛い!!」



好き放題言ってる声が周囲から聞こえる。



「何と言うかウケるよな。」

「アイドルって大変なのね。」

キャサリンと踊りながら呟く。お陰様で男性のパートもすっかり覚えてしまった。



「ねぇ。クライス見てよ。」

キャサリンがクライスと会長の方へ視線を向ける。

「う。。何かめっちゃ嬉しそう。」



「どんだけ御令嬢嫌いなのかしら。困った奴だわー。」

「会長が本気で好きになったらどうするんだろうな?」

2人で顔を見合わせる。



「私は会長を応援するかなあ。」

キャサリンが真剣な顔で言う。

「まあ、そうなるか。」

そうなったらそうしよう。うん。



ダンスは無事に終了し主役の妹さんと婚約者よりも大きい拍手を貰ってしまった。



幸せそうな御令嬢達。そしてもっと幸せそうなクライス。



「お疲れー!任務完了だよな?」

6人で部屋の隅へ移動。



「ありがとうー!本当に助かったー!」

クライスは本当に嬉しそうだ。

勿論、会長も。



今日は隅でこっそり食事出来そう。

「美味いな。」

「うん。クライスの家の料理人も凄いなあ。」

ルイスもモグモグ。



「マッケンジー夫妻食べ過ぎだぞ。」

会長に笑いながら突っ込まれる。お腹空いてるしー。



パーティーは無事に終了。

クライスにお茶でも飲んで行きなよ!と客間に案内された。
しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

転生したら使用人の扱いでした~冷たい家族に背を向け、魔法で未来を切り拓く~

沙羅杏樹
恋愛
前世の記憶がある16歳のエリーナ・レイヴンは、貴族の家に生まれながら、家族から冷遇され使用人同然の扱いを受けて育った。しかし、彼女の中には誰も知らない秘密が眠っていた。 ある日、森で迷い、穴に落ちてしまったエリーナは、王国騎士団所属のリュシアンに救われる。彼の助けを得て、エリーナは持って生まれた魔法の才能を開花させていく。 魔法学院への入学を果たしたエリーナだが、そこで待っていたのは、クラスメイトたちの冷たい視線だった。しかし、エリーナは決して諦めない。友人たちとの絆を深め、自らの力を信じ、着実に成長していく。 そんな中、エリーナの出生の秘密が明らかになる。その事実を知った時、エリーナの中に眠っていた真の力が目覚める。 果たしてエリーナは、リュシアンや仲間たちと共に、迫り来る脅威から王国を守り抜くことができるのか。そして、自らの出生の謎を解き明かし、本当の幸せを掴むことができるのか。 転生要素は薄いかもしれません。 最後まで執筆済み。完結は保障します。 前に書いた小説を加筆修正しながらアップしています。見落としがないようにしていますが、修正されてない箇所があるかもしれません。 長編+戦闘描写を書いたのが初めてだったため、修正がおいつきません⋯⋯拙すぎてやばいところが多々あります⋯⋯。 カクヨム様にも投稿しています。

私が産まれる前に消えた父親が、隣国の皇帝陛下だなんて聞いてない

丙 あかり
ファンタジー
 ハミルトン侯爵家のアリスはレノワール王国でも有数の優秀な魔法士で、王立学園卒業後には婚約者である王太子との結婚が決まっていた。  しかし、王立学園の卒業記念パーティーの日、アリスは王太子から婚約破棄を言い渡される。  王太子が寵愛する伯爵令嬢にアリスが嫌がらせをし、さらに魔法士としては禁忌である『魔法を使用した通貨偽造』という理由で。    身に覚えがないと言うアリスの言葉に王太子は耳を貸さず、国外追放を言い渡す。    翌日、アリスは実父を頼って隣国・グランディエ帝国へ出発。  パーティーでアリスを助けてくれた帝国の貴族・エリックも何故か同行することに。  祖父のハミルトン侯爵は爵位を返上して王都から姿を消した。  アリスを追い出せたと喜ぶ王太子だが、激怒した国王に吹っ飛ばされた。  「この馬鹿息子が!お前は帝国を敵にまわすつもりか!!」    一方、帝国で仰々しく迎えられて困惑するアリスは告げられるのだった。   「さあ、貴女のお父君ーー皇帝陛下のもとへお連れ致しますよ、お姫様」と。 ****** 不定期更新になります。  

【コミカライズ2月28日引き下げ予定】実は白い結婚でしたの。元悪役令嬢は未亡人になったので今度こそ推しを見守りたい。

氷雨そら
恋愛
悪役令嬢だと気がついたのは、断罪直後。 私は、五十も年上の辺境伯に嫁いだのだった。 「でも、白い結婚だったのよね……」 奥様を愛していた辺境伯に、孫のように可愛がられた私は、彼の亡き後、王都へと戻ってきていた。 全ては、乙女ゲームの推しを遠くから眺めるため。 一途な年下枠ヒーローに、元悪役令嬢は溺愛される。 断罪に引き続き、私に拒否権はない……たぶん。

令嬢に転生してよかった!〜婚約者を取られても強く生きます。〜

三月べに
ファンタジー
 令嬢に転生してよかった〜!!!  素朴な令嬢に婚約者である王子を取られたショックで学園を飛び出したが、前世の記憶を思い出す。  少女漫画や小説大好き人間だった前世。  転生先は、魔法溢れるファンタジーな世界だった。リディーは十分すぎるほど愛されて育ったことに喜ぶも、婚約破棄の事実を知った家族の反応と、貴族内の自分の立場の危うさを恐れる。  そして家出を決意。そのまま旅をしながら、冒険者になるリディーだったのだが? 【連載再開しました! 二章 冒険編。】

転生チートは家族のために~ユニークスキルで、快適な異世界生活を送りたい!~

りーさん
ファンタジー
 ある日、異世界に転生したルイ。  前世では、両親が共働きの鍵っ子だったため、寂しい思いをしていたが、今世は優しい家族に囲まれた。  そんな家族と異世界でも楽しく過ごすために、ユニークスキルをいろいろと便利に使っていたら、様々なトラブルに巻き込まれていく。 「家族といたいからほっといてよ!」 ※スキルを本格的に使い出すのは二章からです。

悪役令息に転生したけど、静かな老後を送りたい!

えながゆうき
ファンタジー
 妹がやっていた乙女ゲームの世界に転生し、自分がゲームの中の悪役令息であり、魔王フラグ持ちであることに気がついたシリウス。しかし、乙女ゲームに興味がなかった事が仇となり、断片的にしかゲームの内容が分からない!わずかな記憶を頼りに魔王フラグをへし折って、静かな老後を送りたい!  剣と魔法のファンタジー世界で、精一杯、悪足搔きさせていただきます!

魔境へ追放された公爵令息のチート領地開拓 〜動く屋敷でもふもふ達とスローライフ!〜

西園寺わかば🌱
ファンタジー
公爵家に生まれたエリクは転生者である。 4歳の頃、前世の記憶が戻って以降、知識無双していた彼は気づいたら不自由極まりない生活を送るようになっていた。 そんな彼はある日、追放される。 「よっし。やっと追放だ。」 自由を手に入れたぶっ飛んび少年エリクが、ドラゴンやフェンリルたちと気ままに旅先を決めるという物語。 - この話はフィクションです。 - カクヨム様でも連載しています。

どーでもいいからさっさと勘当して

恋愛
とある侯爵貴族、三兄妹の真ん中長女のヒルディア。優秀な兄、可憐な妹に囲まれた彼女の人生はある日をきっかけに転機を迎える。 妹に婚約者?あたしの婚約者だった人? 姉だから妹の幸せを祈って身を引け?普通逆じゃないっけ。 うん、まあどーでもいいし、それならこっちも好き勝手にするわ。 ※ザマアに期待しないでください

処理中です...