チートな親から生まれたのは「規格外」でした

真那月 凜

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「…シア…?」
かすれるような声に皆が振り向くとシャノンがテントから出てきていた

「シャノン、気分はどうだ?」
「うん。スッキリしてる。もう大丈夫そう」
その言葉を聞いて安堵する
ずっと寝込んでいたせいか足元が危ういのを見て抱き上げて椅子に座らせた

「ありがと…」
「水も飲んどけ」
「ん」
指し出したカップをくけ取って一気に飲み干した

「この人たちは?」
「お前を助けてくれたパーティーで『黒煙』。父さん達の知り合いだ」
「お父さん達の…私を…助けてくれてありがとうございます」
「気にすんな。シアたちにも行ったが俺達が弾丸から受けた恩をその子供に返しただけだ」
「そうそう。冒険者同士なんてそんなもんだ。感謝してくれるなら、どこかで困ってる奴らがいたらそいつらを助けてやってくれ」
それが冒険者の代々受け継がれている習わしだという
普段いがみ合おうとどこかでつながった感じがするのはそのせいなのかもしれない

「ごめんなシャノン。ちゃんと止めてやれなくて、守ってやれなくて…その苛立ちをぶつけて…」
「ルーク…謝らないで。悪いのはわがまま言って好き勝手した自分だもん。シアもルークも迷惑かけてごめんなさい。見捨てないでくれてありがとぅ…」
そう言ったシャノンの目から涙が溢れ出す

「もう一人で突っ走るのはやめてくれ」
「うん。約束する」
「なら、この話は終わりだ。旅は始まったばかりでこの先の方が長い。飯食ったら今日はゆっくり休め」
「ん」
頷くシャノンの頭をなでてから準備を続けた
ルークが寄り添い黒煙の3人と共に色々話を始めた

「カディアさんも休憩しててくださいよ」
「いや、俺はシアの料理の方が気になってな」
そういうカディアさんの視線はずっと俺の手元に向いてる
ぶっちゃけ勘弁して欲しい

「俺の料理の腕は大したことないですよ?」
「いやいや。あのサラサの息子だろう?あの日食べた飯は上手かったからな。その作り方を知れるならこんな機会を逃していいわけがない」
食い気味で言われた

「黒煙の料理番はカディアさんってことですかね?」
「そういうことだ。俺達は拠点を持ってないから野営が多くてな」
「なら煮込みスープ系のがいいですか?」
「煮込みスープ?スープはただのスープじゃないのか?」
「野菜や肉を入れたスープですね」
「ほう」
興味を持ったらしい
俺は角うさぎの残っていた肉と野菜、きのこを取り出した

「これは?」
「きのこですね。道中でついでに採取してストックしてる分」
言いながら材料を刻んでいく
煮込む時間を短縮するために細かめだ
それを全て水と一緒に鍋にほりこみ火にかける
その間に串焼き用の肉を用意する
これは道中で狩ったフォレストウルフの肉だ
Eランクだけど脂がのってて火の通りが早いから串焼きには重宝する

「ネギも一緒に串焼きにするのか?」
変わったことをすると呟きながらも串にさすのを手伝ってくれている
申し訳ない気もするけど楽しそうだから気にしないことにした

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