チートな親から生まれたのは「規格外」でした

真那月 凜

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「ルーク?お前顔色が…何があった?!」
戻ってきたことにホッとしたのは束の間
当のルークの顔色があまりにも悪い

「大丈夫。助けて貰ったんだ」
「助けてって…」
一体何があったんだ?
そう思ってたら4人の男が入ってきた
なんか見たことある気がするのは気のせいだろうか?

「久しぶりだなシア。随分でかくなった」
そう言って笑った顔は記憶の中にある
「スタンピードの後の打ち上げに来てた…」
そうだ、この人たちは確か『黒煙』ってパーティーだ
打ち上げの時に弾丸に誘われたからってうちに来た人たちの中にいたのを思い出す
スタンピードの後Sランクパーティーになったはず

「お、覚えてるのか?」
「ばか、それより先にシャノンだろうが」
世間話を続けようとしたその人を小突きながら一人がこっちを見た

「話は後だ。ルークから少し聞いてる」
「…」
「俺は回復魔法が使えるしレベルは150オーバーだ。これはシアより下か?」
俺のレベルは120
咄嗟に首を横に振る

「一度見てみよう」
「…こっちです」
縋るような気持ちでシャノンのテントに案内した
30の差がどれだけのものかは分からない
それでも俺よりは希望がある

「呪いと毒と闇魔法…俺にはこれ以上悪化しないように抑えるのが精一杯なんだ…」
「呪いに毒、そこに闇魔法があるなら…」

『キュアディスペル(解毒・解呪)』

シャノンが光に包まれた後、少しずつシャノンの体から黒いモヤが出て来た

「顔色が…」
ルークが呟いた
少しずつシャノンの顔色が良くなっていく

「呪いと毒に闇魔法が揃ってる場合は呪いと毒を同時に対処する必要がある」
「…それがキュアディスペル?」
「そうだ。片方に対処しても闇魔法で阻止されるんだ。逆に言えば闇魔法はそのために使われてる」
「だから何度回復かけても意味がなかったのか…」
「それに、闇魔法が絡むと回復薬は効かない」
衝撃の事実だった
自分の知識がまだまだ足りないことを実感する

「ヒールもかけたしこれで大丈夫だと思うが今夜は俺たちもここに留まろう」
「いいんですか?」
「ああ。特に急ぐ旅でもないしな。レイとサラサの子供を見殺しにするなんて俺達としてはあり得ない」
一人が言えば残りの3人も頷いている
「あ、じゃぁ飯の準備は俺達が。そういえばルークは何があったんだ?」
準備に取り掛かろうとして思い出す
シャノンの事ですっかり頭から抜け落ちていたらしい

「…八つ当たりしてポイズンウルフの子供を殺してしまったんだ」
「は?ポイズンウルフは必ず親が側にいるだろ?まさか…」
「そのまさか。多分蹴り飛ばされたときに毒が入ったんだと思う。もう駄目だって思った時にこの人たちが助けてくれた」
ルークはバツが悪そうに、自分が荒れた心のまま警戒を怠ったせいだと情けなそうに続けた
これ以上俺が言う必要はなさそうだ

「無事で良かった。シャノンだけでなく、ルーク迄助けて貰ってありがとうございます」
黒煙の4人に頭を下げる

「気にすんな。俺達が弾丸に助けられたお礼だとでも思ってくれればいい」
「弾丸に?」
「ああ。スタンピードの時にな」
「Sランク目前にして粋がってたんだろうなぁ。そのせいで隙が出来てロイとカディアが死にかけた」
「まさにさっきのルークみたいな状態だったんだよ。相手は7匹の群れ、俺とロイは瀕死、流石にポルトとアークも俺達を庇いながらAランク7匹相手には無理があった」
そんな状況になったら俺達はどうするだろうか…
考えただけでも背筋が寒くなる

「その時に弾丸が助けに入ってくれたんだ
「レイが回復薬を譲ってくれたけど止血位にしかならなくてな。でもナターシャとサラサが弾丸と一緒にいてくれたおかげで俺達は命拾いした」
「ロイなんてサラサがいなきゃ死んでたよな」
「ああ。だからあの後自分の回復魔法のレベルを必死で上げた。そのためにサラサによく相談に行ったもんだ」
「母さんに?」
「俺達の知らなかった魔法を教えてもらったし実際に見せてもらった。さっきのキュアディスペルもその時に教えてもらったものだな」
それを聞いて不思議と心が温かくなる
俺達は間接的に母さんたちに助けられたらしい
俺達にはチートな耐性があるから回復魔法はあまり力を入れてなかった
それが俺自身のおごりだったのだと初めて知った
母さんが薬をあれだけ持たせたときに気付くべきだったのに…

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