847 / 942
3年生夏休み
7月29日(土)晴れ 明莉との夏休みⅢその2
しおりを挟む
夏休み8日目の白だしの日。
僕は今日も変わらず塾へ行く一方で、明莉も今日はバド部の活動があった。
一応、空調がある体育館の中で活動できるとはいえ、この暑い中でスポーツをするのはなかなかキツイと僕は思う。
そんな僕が3回分の集中講義を終えてから帰宅すると、ちょうど部活帰りで着替え終わった明莉が居間にいた。
「りょうちゃんおかえり&おつかれー」
「ただいま。そっちもお疲れ様」
「ありがと。まぁ、あかりはもう慣れたようなもんだけどね」
「そうか。もう入部してから半年近く経ってるもんな」
「それもあるけど、あかりは中学からずっとやってるわけだし」
そう言われると中学の時すぐに卓球部の幽霊部員となった僕とは大違いだ。
継続力の高さでいえば明莉の方が圧倒的に上かもしれない。
「なんて偉そうに言ってみたけど、別にバドミントン上手いわけじゃないんだけどね。試合は全然勝ててないし」
「へー……よく考えたら僕、明莉のバドミントンの試合見たことないかも」
「それはそう。あかりが呼んだことないし」
「な、なんで?」
「いや、呼ぶレベルの大きな試合はなかったし、兄を見に来させるのはちょっと……」
「別にいいと思うけどなぁ。家族全員で試合を応援するシーンとかあるじゃないか」
「だから、あれは県大会とか大きな舞台だから成立するの。規模の小さい試合で家族全員来たらちょっと恥ずかしいじゃん」
「まぁ……授業参観ですら恥ずかしかったからそうか」
「でも、あかりは一度文芸部の活動風景見てみたいかも」
「僕は駄目なのに!?」
「いや、これは純粋な興味だから」
確かに試合と普段の活動では内容が大きく違うけど……見学されても特に面白いところはないようにも思う。
いや、そんなこと言ってしまったら興味を持って入部してくれる1年生達に失礼かもしれないけど。
「それなら4月の時に見学すれば良かったのに」
「その時に行ったら入部するかもって期待されちゃうかもしれないじゃん。あかりは天井からショーケースを覗くような立ち位置で見学したいの」
「なんでちょっと凝った言い方をしたんだ。でも……夏休み中は活動らしい活動してないからなぁ」
「えっ? 見に行っていい感じなの?」
「もちろん、他の部員に聞く必要はあるけど、ちょっとくらい見学してもいいと言ってくれるとは思う。夏休み中は緩くやってるし」
「大丈夫? 先輩の圧力でなんとかしようとしてない?」
「そ、そんなことはないよ。本当に来るつもりなら事前に言っといてくれたら」
「わかった。午前中の行けそうな時間わかったらまた教えるね」
冗談として流されると思っていたら、前向きな反応を見せるのは予想外だった。
まぁ、他の部活の活動風景を見る機会なんてないから興味を持つのはわからなくはない。
でも、僕だって明莉の試合を見てみたい気持ちが……いや、やめておこう。
これを言ったら鬱陶しい兄だと思われてしまう。
僕は今日も変わらず塾へ行く一方で、明莉も今日はバド部の活動があった。
一応、空調がある体育館の中で活動できるとはいえ、この暑い中でスポーツをするのはなかなかキツイと僕は思う。
そんな僕が3回分の集中講義を終えてから帰宅すると、ちょうど部活帰りで着替え終わった明莉が居間にいた。
「りょうちゃんおかえり&おつかれー」
「ただいま。そっちもお疲れ様」
「ありがと。まぁ、あかりはもう慣れたようなもんだけどね」
「そうか。もう入部してから半年近く経ってるもんな」
「それもあるけど、あかりは中学からずっとやってるわけだし」
そう言われると中学の時すぐに卓球部の幽霊部員となった僕とは大違いだ。
継続力の高さでいえば明莉の方が圧倒的に上かもしれない。
「なんて偉そうに言ってみたけど、別にバドミントン上手いわけじゃないんだけどね。試合は全然勝ててないし」
「へー……よく考えたら僕、明莉のバドミントンの試合見たことないかも」
「それはそう。あかりが呼んだことないし」
「な、なんで?」
「いや、呼ぶレベルの大きな試合はなかったし、兄を見に来させるのはちょっと……」
「別にいいと思うけどなぁ。家族全員で試合を応援するシーンとかあるじゃないか」
「だから、あれは県大会とか大きな舞台だから成立するの。規模の小さい試合で家族全員来たらちょっと恥ずかしいじゃん」
「まぁ……授業参観ですら恥ずかしかったからそうか」
「でも、あかりは一度文芸部の活動風景見てみたいかも」
「僕は駄目なのに!?」
「いや、これは純粋な興味だから」
確かに試合と普段の活動では内容が大きく違うけど……見学されても特に面白いところはないようにも思う。
いや、そんなこと言ってしまったら興味を持って入部してくれる1年生達に失礼かもしれないけど。
「それなら4月の時に見学すれば良かったのに」
「その時に行ったら入部するかもって期待されちゃうかもしれないじゃん。あかりは天井からショーケースを覗くような立ち位置で見学したいの」
「なんでちょっと凝った言い方をしたんだ。でも……夏休み中は活動らしい活動してないからなぁ」
「えっ? 見に行っていい感じなの?」
「もちろん、他の部員に聞く必要はあるけど、ちょっとくらい見学してもいいと言ってくれるとは思う。夏休み中は緩くやってるし」
「大丈夫? 先輩の圧力でなんとかしようとしてない?」
「そ、そんなことはないよ。本当に来るつもりなら事前に言っといてくれたら」
「わかった。午前中の行けそうな時間わかったらまた教えるね」
冗談として流されると思っていたら、前向きな反応を見せるのは予想外だった。
まぁ、他の部活の活動風景を見る機会なんてないから興味を持つのはわからなくはない。
でも、僕だって明莉の試合を見てみたい気持ちが……いや、やめておこう。
これを言ったら鬱陶しい兄だと思われてしまう。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
恋のぼり *君と過ごした夏は大きな奇跡に包まれていた*
神原オホカミ【書籍発売中】
青春
君の願いが、どうか叶いますように――
とある山岳部の過疎化地域に住む俺『成神蒼環(なるかみそうわ)』は
『願いが叶う』と言われている村の伝統行事の継承者だ。
しかし実際には、コンビニもカラオケもない田舎の村で、退屈で窮屈な毎日をただただ消化する毎日。
ある日、ひょんなことからクラスメイトの茅野亜子と、立ち入り禁止の屋上に行く計画を立てることに。
幼馴染二人が計画に加わっていく中で、村の再開発にともなうゴルフ場の設立の話を耳にはさむ。
そして、自分が継承する伝統行事が失われてしまうかもしれない危機に直面している知ってしまう。
願いが叶うと言われる伝統行事をめぐり
高校生たちが悩みながら行動を起こしていく青春物語。
◆表紙画像は簡単表紙メーカー様で作成しています。
◆無断転写や内容の模倣はご遠慮ください。
◆大変申し訳ありませんが不定期更新です。また、予告なく非公開にすることがあります。
◆文章をAI学習に使うことは絶対にしないでください。
◆アルファポリスさん/エブリスタさん/カクヨムさん/なろうさんで掲載してます。
〇改稿投稿:2024年
【ショートショート】雨のおはなし
樹(いつき)@作品使用時は作者名明記必須
青春
◆こちらは声劇、朗読用台本になりますが普通に読んで頂ける作品になっています。
声劇用だと1分半ほど、黙読だと1分ほどで読みきれる作品です。
⚠動画・音声投稿サイトにご使用になる場合⚠
・使用許可は不要ですが、自作発言や転載はもちろん禁止です。著作権は放棄しておりません。必ず作者名の樹(いつき)を記載して下さい。(何度注意しても作者名の記載が無い場合には台本使用を禁止します)
・語尾変更や方言などの多少のアレンジはokですが、大幅なアレンジや台本の世界観をぶち壊すようなアレンジやエフェクトなどはご遠慮願います。
その他の詳細は【作品を使用する際の注意点】をご覧下さい。
【完結】捨ててください
仲 奈華 (nakanaka)
恋愛
ずっと貴方の側にいた。
でも、あの人と再会してから貴方は私ではなく、あの人を見つめるようになった。
分かっている。
貴方は私の事を愛していない。
私は貴方の側にいるだけで良かったのに。
貴方が、あの人の側へ行きたいと悩んでいる事が私に伝わってくる。
もういいの。
ありがとう貴方。
もう私の事は、、、
捨ててください。
続編投稿しました。
初回完結6月25日
第2回目完結7月18日
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
静かに過ごしたい冬馬君が学園のマドンナに好かれてしまった件について
おとら@ 書籍発売中
青春
この物語は、とある理由から目立ちたくないぼっちの少年の成長物語である
そんなある日、少年は不良に絡まれている女子を助けてしまったが……。
なんと、彼女は学園のマドンナだった……!
こうして平穏に過ごしたい少年の生活は一変することになる。
彼女を避けていたが、度々遭遇してしまう。
そんな中、少年は次第に彼女に惹かれていく……。
そして助けられた少女もまた……。
二人の青春、そして成長物語をご覧ください。
※中盤から甘々にご注意を。
※性描写ありは保険です。
他サイトにも掲載しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる