13 / 25
本編
13 竜の家
しおりを挟む
竜の存在は明かされているけど、居場所は明かされていない。街中に竜がいた所を見たことがない。
たまに空を通り過ぎて行くのを見て、鳥かな? もしかしたら竜かもと思う程度。はっきり竜とわかって見たのは、凱旋の時だけだった。
「おまえは竜なんだから、竜に甘やかしてもらえ」
アルブはそう言って僕を竜のいる場所に連れて行ってくれた。しかも王城裏の屋根の上に作られた飛ぶ為の台から、アルブの竜の背に乗せて貰って飛んだ。
アルブと僕は腰に巻いた紐で繋がっている。竜は落としたりしないけど、初めてで怖いだろうからって言われた。
確かに怖い。風が顔に当たって息が出来ない。飛ばされそうだから背中をアルブに預けている。
飛竜は高度を上げて行く。
空に建物が見えて来る。雲に囲まれた建物。上部は岩山が連なっていて、その中央に白い建物がある。
空にあるんだと思ったら、その建物から飛竜が5体舞い降りて来た。
僕の周りを囲んでいる。背中に人はいない。
一緒に建物の台の上に降りると、僕が地面に降りるのを待って、竜たちが鼻を寄せて来た。匂いを嗅がれている気がする。
「おい、おまえら、メイが怖がるだろ。早く中に入れ」
アルブの声で竜が中に入って行く。
アルブの飛竜は解けるように、人型に戻った。裸になるのかと思ったら、ちゃんと服を着た状態だった。でもホッとする。もし僕が竜になれて、突然人型に戻ってしまったら、恥ずかしい思いをするから。
「おいで」
アルブに連れられて中に入る。
広い部屋の左右に区切りがあって、その一つ一つに違う装飾がされている。その奥に扉がある。
正面奥に大きな絨毯が敷かれた場所があって、いろんなクッションや座椅子が置いてある。そこに各々の格好をした人がいる。全部で10人。
「あれみんな竜だ」
アルブが言うから驚いてしまった。見た目は人と同じ。いや同じじゃない。すごく華やかだったり、豪華だったりする。みんな男だ。
僕の後ろにいたアルブの飛竜ジルが僕を抱き上げた。この先はアルブでも入れないらしい。
「怖くない。甘えて来い」
アルブが見送っている。僕は胸がドキドキした。竜がいっぱい。
「おいで」
近づいて行くと僕は真ん中に入れられて、頬擦りされたり撫でられたりした。
竜にも上下関係があるらしく、一連の挨拶が終わると、上位の竜だけになった。
アルブの竜のジルが僕を膝に乗せてくれて、金の長い髪をして目が青い綺麗な顔の竜と、赤い髪と赤い目をした男らしい竜が残っている。
「メイ、金の髪がフィン、赤がレンだ」
僕は頭を下げた。
「メイは王族の子だから頭は下げなくて良い。少しずつ竜の振る舞いに慣れろ」
ジルを見上げて頷いた。
「許せん、薬を使うとは卑劣だ」
レンが怒っている。
「メイを怖がらせてはダメですよ。その件はアルブが終わらせたのですから、今はメイを存分に可愛がってあげましょう」
フィンがそういうと、別の竜が食べ物や飲み物を運んで来た。人が食べる物と同じものだ。
「お腹がすいたでしょう。好きなものをどうぞ」
ジルを見ると、頷いてくれた。
僕は目の前にあった果物を取って口にした。甘い実だった。おいしいって顔をしたのだろう。フィンが愛しいって顔で頬についた果実の汁を舐め取ってくれる。びっくりした。
「仲の良い竜はお互いに舐め合ったりする。ただ伴侶の前ではやらない。人は嫉妬深い生き物だから」
ジルが説明をしてくれる。ジルが僕の教育係らしい。
レンとフィンもお互いに食べあったり、顔や手を舐め合ったりしている。でもジルはしない。
「同じ国の竜でも、仲の悪い者もいる。機嫌の悪い時もある。だがメイだけは誰とでも仲良くできる。それが王族の証。竜の種族を繋いでいる」
ジルの説明を見上げて聞いていたら、頬にキスをされた。
「俺たちにとって王族はとても可愛く映る。大切で愛しくて、守るべき存在だ。伴侶と同じくらいな」
竜が僕を愛しいって目を細めて見て来る。騎竜で戦いにも行くような強い竜が、僕を甘やかしてくれている。不思議だった。
「ジルは伴侶以外の竜に触れない。そのキスは特別だ」
レンがニヤッと笑った。
眠くなったのを仕草で気づいた竜たちが、僕をベッドに運んでくれた。添い寝はジルが僕を背中から抱えて、レンが僕のお腹に抱きついて、フィンは僕の手を握っている。
不思議と安心する。温かくて気持ちの良い場所。竜だけが暮らす特別な場所だ。
たまに空を通り過ぎて行くのを見て、鳥かな? もしかしたら竜かもと思う程度。はっきり竜とわかって見たのは、凱旋の時だけだった。
「おまえは竜なんだから、竜に甘やかしてもらえ」
アルブはそう言って僕を竜のいる場所に連れて行ってくれた。しかも王城裏の屋根の上に作られた飛ぶ為の台から、アルブの竜の背に乗せて貰って飛んだ。
アルブと僕は腰に巻いた紐で繋がっている。竜は落としたりしないけど、初めてで怖いだろうからって言われた。
確かに怖い。風が顔に当たって息が出来ない。飛ばされそうだから背中をアルブに預けている。
飛竜は高度を上げて行く。
空に建物が見えて来る。雲に囲まれた建物。上部は岩山が連なっていて、その中央に白い建物がある。
空にあるんだと思ったら、その建物から飛竜が5体舞い降りて来た。
僕の周りを囲んでいる。背中に人はいない。
一緒に建物の台の上に降りると、僕が地面に降りるのを待って、竜たちが鼻を寄せて来た。匂いを嗅がれている気がする。
「おい、おまえら、メイが怖がるだろ。早く中に入れ」
アルブの声で竜が中に入って行く。
アルブの飛竜は解けるように、人型に戻った。裸になるのかと思ったら、ちゃんと服を着た状態だった。でもホッとする。もし僕が竜になれて、突然人型に戻ってしまったら、恥ずかしい思いをするから。
「おいで」
アルブに連れられて中に入る。
広い部屋の左右に区切りがあって、その一つ一つに違う装飾がされている。その奥に扉がある。
正面奥に大きな絨毯が敷かれた場所があって、いろんなクッションや座椅子が置いてある。そこに各々の格好をした人がいる。全部で10人。
「あれみんな竜だ」
アルブが言うから驚いてしまった。見た目は人と同じ。いや同じじゃない。すごく華やかだったり、豪華だったりする。みんな男だ。
僕の後ろにいたアルブの飛竜ジルが僕を抱き上げた。この先はアルブでも入れないらしい。
「怖くない。甘えて来い」
アルブが見送っている。僕は胸がドキドキした。竜がいっぱい。
「おいで」
近づいて行くと僕は真ん中に入れられて、頬擦りされたり撫でられたりした。
竜にも上下関係があるらしく、一連の挨拶が終わると、上位の竜だけになった。
アルブの竜のジルが僕を膝に乗せてくれて、金の長い髪をして目が青い綺麗な顔の竜と、赤い髪と赤い目をした男らしい竜が残っている。
「メイ、金の髪がフィン、赤がレンだ」
僕は頭を下げた。
「メイは王族の子だから頭は下げなくて良い。少しずつ竜の振る舞いに慣れろ」
ジルを見上げて頷いた。
「許せん、薬を使うとは卑劣だ」
レンが怒っている。
「メイを怖がらせてはダメですよ。その件はアルブが終わらせたのですから、今はメイを存分に可愛がってあげましょう」
フィンがそういうと、別の竜が食べ物や飲み物を運んで来た。人が食べる物と同じものだ。
「お腹がすいたでしょう。好きなものをどうぞ」
ジルを見ると、頷いてくれた。
僕は目の前にあった果物を取って口にした。甘い実だった。おいしいって顔をしたのだろう。フィンが愛しいって顔で頬についた果実の汁を舐め取ってくれる。びっくりした。
「仲の良い竜はお互いに舐め合ったりする。ただ伴侶の前ではやらない。人は嫉妬深い生き物だから」
ジルが説明をしてくれる。ジルが僕の教育係らしい。
レンとフィンもお互いに食べあったり、顔や手を舐め合ったりしている。でもジルはしない。
「同じ国の竜でも、仲の悪い者もいる。機嫌の悪い時もある。だがメイだけは誰とでも仲良くできる。それが王族の証。竜の種族を繋いでいる」
ジルの説明を見上げて聞いていたら、頬にキスをされた。
「俺たちにとって王族はとても可愛く映る。大切で愛しくて、守るべき存在だ。伴侶と同じくらいな」
竜が僕を愛しいって目を細めて見て来る。騎竜で戦いにも行くような強い竜が、僕を甘やかしてくれている。不思議だった。
「ジルは伴侶以外の竜に触れない。そのキスは特別だ」
レンがニヤッと笑った。
眠くなったのを仕草で気づいた竜たちが、僕をベッドに運んでくれた。添い寝はジルが僕を背中から抱えて、レンが僕のお腹に抱きついて、フィンは僕の手を握っている。
不思議と安心する。温かくて気持ちの良い場所。竜だけが暮らす特別な場所だ。
2
あなたにおすすめの小説
伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい
マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。
最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡)
世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
僕はただの平民なのに、やたら敵視されています
カシナシ
BL
僕はド田舎出身の定食屋の息子。貴族の学園に特待生枠で通っている。ちょっと光属性の魔法が使えるだけの平凡で善良な平民だ。
平民の肩身は狭いけれど、だんだん周りにも馴染んできた所。
真面目に勉強をしているだけなのに、何故か公爵令嬢に目をつけられてしまったようでーー?
「役立たず」と追放された神官を拾ったのは、不眠に悩む最強の騎士団長。彼の唯一の癒やし手になった俺は、その重すぎる独占欲に溺愛される
水凪しおん
BL
聖なる力を持たず、「穢れを祓う」ことしかできない神官ルカ。治癒の奇跡も起こせない彼は、聖域から「役立たず」の烙印を押され、無一文で追放されてしまう。
絶望の淵で倒れていた彼を拾ったのは、「氷の鬼神」と恐れられる最強の竜騎士団長、エヴァン・ライオネルだった。
長年の不眠と悪夢に苦しむエヴァンは、ルカの側にいるだけで不思議な安らぎを得られることに気づく。
「お前は今日から俺専用の癒やし手だ。異論は認めん」
有無を言わさず騎士団に連れ去られたルカの、無能と蔑まれた力。それは、戦場で瘴気に蝕まれる騎士たちにとって、そして孤独な鬼神の心を救う唯一の光となる奇跡だった。
追放された役立たず神官が、最強騎士団長の独占欲と溺愛に包まれ、かけがえのない居場所を見つける異世界BLファンタジー!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる