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21 王様になる準備
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今日はミルルが成人を迎える日だ。
0時にミルルを起こす約束をしているから、お祝いはしたいと思う。
思いついたのはケーキを焼く事で、ミルルの好きな胡桃を使って焼いてみた。
たぶんおいしく出来たと思う。
だけど、照れる。
別に初めてのお付き合いでもないのに、初めてかと思うくらいにソワソワしている。
だけど、あれだ。
一緒にいられるだけで幸せとか、そういうのは初めてだ。
元々、気の長い方ではある。
騒がしいよりは静かな方が好きだし、外に行くより家の中が好き。
だから10日出掛けなくてもさして苦ではないけど。いや、苦どころか、楽しくて仕方がないとか。
完全にミルルなしでは生きて行けなくなっている。我ながらこの先どうする。
「ミルル、もうすぐ0時になるよ」
時間10分前に起こした。
毛布の背中だろう部分をポンポンとして、あたまだろう部分を撫でる。
「ん」
って、毛布がゴソゴソして。
「おふろ、いく」
「おふろ?」
びっくりした。
それは想定していない。
久しぶりに毛布から出て来たミルルを見た。ぺたんって座り込んで、目を腕でゴシゴシしている。
「おふろ行くの?」
幸い、自分の為にお湯は張ってあるのだが、これはあれだ。体力の無いミルルをお風呂に入れるんだよな? 私が。
伸び上がって首に巻きついて来るミルルを抱き上げて、お風呂に運ぶ。
手を上げるから服を上から抜いて、ズボンと下着を下ろす。そうするとまた首に巻きついて来るから、抱えてバスチェアーに座らせて、お湯をかけて石鹸で洗って、また抱き上げて湯船に下ろす。
「王子さまだね」
「おうさまになるよ?」
縁に手を置いて、肩まで浸かっている姿が可愛い。王様って。成人を迎えるって意味だろうけど。私にとってある意味王様だよ、ミルルは。
「あれすもはいろう?」
「いや、良いよ。体を拭いて、服を着せないと。湯冷めしたら意味ないだろう?」
そう言うとぷうっと頬が膨らんだ。
「大人になるんだろう?」
膨らんだ頬を撫でると、むうっと今度は唇をとがらす。
いったいこんなに可愛いミルルは、いつまで見られるのだろう。もう18だ。あと少しなのか。
「さあ、あがろう」
湯船から引き上げて、タオルで包む。
暖かな巣に連れて行って、ストーブの前で服を着せた。
「可愛い王子さま、綺麗になって、王さまになる時間ですよ」
さっき用意したケーキを取り出す。
ロウソクは危ないからつけられないけど、それでもミルルは喜んでくれた。
嬉しいって顔をして、目にいっぱい涙を浮かべて、声にならない喜び方も可愛い。
「ありがとう」
ゴソゴソ動いて、首に巻きついて来て、じっと見上げて来るから、惹かれるようにキスをした。
0時にミルルを起こす約束をしているから、お祝いはしたいと思う。
思いついたのはケーキを焼く事で、ミルルの好きな胡桃を使って焼いてみた。
たぶんおいしく出来たと思う。
だけど、照れる。
別に初めてのお付き合いでもないのに、初めてかと思うくらいにソワソワしている。
だけど、あれだ。
一緒にいられるだけで幸せとか、そういうのは初めてだ。
元々、気の長い方ではある。
騒がしいよりは静かな方が好きだし、外に行くより家の中が好き。
だから10日出掛けなくてもさして苦ではないけど。いや、苦どころか、楽しくて仕方がないとか。
完全にミルルなしでは生きて行けなくなっている。我ながらこの先どうする。
「ミルル、もうすぐ0時になるよ」
時間10分前に起こした。
毛布の背中だろう部分をポンポンとして、あたまだろう部分を撫でる。
「ん」
って、毛布がゴソゴソして。
「おふろ、いく」
「おふろ?」
びっくりした。
それは想定していない。
久しぶりに毛布から出て来たミルルを見た。ぺたんって座り込んで、目を腕でゴシゴシしている。
「おふろ行くの?」
幸い、自分の為にお湯は張ってあるのだが、これはあれだ。体力の無いミルルをお風呂に入れるんだよな? 私が。
伸び上がって首に巻きついて来るミルルを抱き上げて、お風呂に運ぶ。
手を上げるから服を上から抜いて、ズボンと下着を下ろす。そうするとまた首に巻きついて来るから、抱えてバスチェアーに座らせて、お湯をかけて石鹸で洗って、また抱き上げて湯船に下ろす。
「王子さまだね」
「おうさまになるよ?」
縁に手を置いて、肩まで浸かっている姿が可愛い。王様って。成人を迎えるって意味だろうけど。私にとってある意味王様だよ、ミルルは。
「あれすもはいろう?」
「いや、良いよ。体を拭いて、服を着せないと。湯冷めしたら意味ないだろう?」
そう言うとぷうっと頬が膨らんだ。
「大人になるんだろう?」
膨らんだ頬を撫でると、むうっと今度は唇をとがらす。
いったいこんなに可愛いミルルは、いつまで見られるのだろう。もう18だ。あと少しなのか。
「さあ、あがろう」
湯船から引き上げて、タオルで包む。
暖かな巣に連れて行って、ストーブの前で服を着せた。
「可愛い王子さま、綺麗になって、王さまになる時間ですよ」
さっき用意したケーキを取り出す。
ロウソクは危ないからつけられないけど、それでもミルルは喜んでくれた。
嬉しいって顔をして、目にいっぱい涙を浮かべて、声にならない喜び方も可愛い。
「ありがとう」
ゴソゴソ動いて、首に巻きついて来て、じっと見上げて来るから、惹かれるようにキスをした。
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