可愛い子が押し掛けて来たけど信用しても良いのだろうか

サクラギ

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14 やっかいな人遺伝子 ※

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 ミルルが冬眠中は仕事をセーブして、なるべく巣穴にいられるようにしている。

 ミルルが正式に伴侶として婚姻してくれたら、冬眠申請を出して、もっと長く一緒にいられるのだが。それは来季の楽しみに取っておく。

 巣穴に行くと、ミルルは気配を察して、ひっついて来る。

 私が本を読んでいるなら、太ももの上に頬を寄せたり、足にしがみついたり、いろいろだ。

 一緒に寝れば、背中を胸に添わせて来たり、向かい合って手を繋いでいたり。

 これは寂しいだけか? そこに少しは特別な気持ちはないのか? と、心の中で問うている。

「ミルル、成人を迎えるよね? どうする? お祝いは冬眠が明けてからで良いかな」

 あと2週間ほどで年が明ける。
 その年に18歳になる子全てが成人を迎える事になる。

 今日は本を読んでいる私の足に沿って寝ているミルルだ。私の話など聞こえてはいない。わかっていても話してしまう。たまに小さな返しがある時もあるから、そうした小さな、可愛い、を期待している。

 毛布がモゾモゾ動く。
 小さいけど荒い息遣いが聞こえている。

「どうした? ミルル、気分が悪い?」

 毛布を少しめくって、ミルルの顔を見ようと思ったが、ビクッとしたミルルがすぐに隙間を閉じてしまった。

 でも隙間から瞬間に見えたミルルの表情で、察した。

 我ら獣人は、獣の遺伝子を継いだ人だ。過去の文献を読めば、環境に適合が難しくなった人が、生き抜く為に獣の遺伝子を組み込み、獣人を創ったのだという。だがこの話も賛否両論あり、獣が進化する為に人の利点を組み込んだ説もある。

 どちらにしても我ら獣人は、人の遺伝子を持つことに変わりはなく、時に面倒な習性を引き起こす。

 ミルルの変化は、冬眠中のリスには現れない症状で、人の遺伝子が強く出ているのだろう。

「苦しい?」

 ミルルの体を膝に乗せて、背中を撫でると、体がびくびく跳ねた。

「——や、あぁ……」

 小さな声が聞こえて来る。
 可愛いすぎて、どうしようもない衝動に駆られる。

「ミルル、孤児院ではこういう時、どうしてた?」

 まさかユートではないよな? と、不安が過るが、ミルルには伝わらないように、優しさに努める。

「ううぅ……ぼく、は、なかったよ? こんなの、……なんで?」

 安堵が胸に広がった。

「初めて?」

 うんって毛布が動く。

「つよいこは、たまに、あったけど、ぼくはなくて……こわい、こわいよぉ」

 精通はまだということか?
 見た目が幼いのは、中身も幼いからか。だがミルルは、大人の男の性処理をしていた。幼い、知識もない子を道具として扱った、過去の知りもしない相手を呪う。

「怖くないよ、大丈夫、私に任せてくれる?」

「やだ、だって、くるしくて、きたないよ?」

 本当に、ミルルに間違った性への恐れを植え付けた大人を罰してやりたい。

「違うよ、ミルル。私はミルルが大好きだ。好きな相手にしてもらうのは、普通のことなんだよ」

 背中を引き上げて、毛布に包んだミルルを膝に乗せる。背中を胸にもたれさせ、毛布の隙間からミルルの顔を覗かせた。

 目にいっぱい涙を溜めて、頬を上気させたミルルはとても色っぽい。

「ミルルも私のことを好きになってくれていたら良いけど、違っても良いよ。今は私に全部預けて欲しい」

 じっと見上げられる。
 涙に当たる光で、くるくると輝く。
 本当に可愛い。
 全部を預けてくれるのではないかと期待してしまう。

 背伸びして、肩に手を置かれて、体を捻るようにしたキスに、驚いた。
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