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6・祝賀会
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ユグは数名の従者を連れて祖国を目指した。船で10日、大陸に渡り馬で移動する。距離を決めて馬を変え、宿を取りながら帰るのにさらに10日を要した。
早く戻ろうと思えば空船を使い、半分の日数で帰れたが、そこは気持ちの問題だ。あまり早く帰ってしまうと、戻るのも簡単だと思えてしまう。
それでも途中で何度も逃げ出したいと思った。しかし、国を思えばそれもできない。
国に戻れば3日掛けて帰還の祝賀会が行われ、隣には華やかに彩ったアリシア嬢がいる。
帰還の祝賀会が終われば、婚約式が行われ、婚姻後に住む屋敷として王城東にある白鳥宮と呼ばれる離れが用意された。
ユグの荷物はすでに白鳥宮に運び込まれており、アリシアの部屋も用意されている。
ユグは自室に入ると人払をし、連日のパーティで疲れた体をソファに沈めた。
アリシアが近日、宮へ入る。
婚姻より先に関係を結べと言う事らしい。幼い頃より許嫁であるのだ。待たせた時間の方が長い。
戦地へ赴く前は、アリシアを好ましく思っていた。皆に祝福され、羨まれ、誇らしく思っていた。このままアリシアと婚姻し、アリシアの家の後ろ盾を得て、次期王の座を手にし、偉大なるこの国の王になるのだと思っていた。それが己の道であると。
静かな宮の中にいると、ドールが蔓延る地など夢のようだ。死と隣り合わせの地にいると生を強く思う。
宮は静かであるが物足りず、人の思惑の何と醜いことかと辟易する。
身の世話をする侍女でさえ、醜い思惑に塗れている。気が休まらず神経が冴える。ドールのいない地での方が気が冴えるなど、感覚がおかしくなっている。
あの地での自身がおかしいのだと、ユグは忘れることに努めた。
美味いものを食い、美しい物を見て、楽しく振る舞う。酒は極上、取り巻くのは見目麗しい者たち。
アリシアはその者たちに囲まれてもさらに上を行く美貌の持ち主で、その振る舞いも清らかで、礼儀正しく、貴族らしい慎みもある。
アリシアを侍らせると周りが去る。気を利かせた行動であるが、ユグは望んでおらず、しかし、アリシアを無下にもできず、愛しむふりをすれば、周りがいっそう羨んで見る。
アリシアは微笑み、頬を染め、寄り添い、潤んだ瞳で見つめて来る。
頬に触れ、髪にキスをし、甘い囁きを耳元に吐く。
馬にアリシアを乗せ、近くの湖まで遠乗りに出て、城下町に仲睦まじい姿を見せる。
王や王妃、上級貴族に招かれ、何日もお茶会や夜会に出席した。
アリシアは白鳥宮に輿入れすると、ユグのお忍びを待っている。そういうものだとお付きの者に言われた。
その日の湯殿には薔薇が浮かび、上級な香料を付けさせられた。
周りにお膳立てされる行為は義務でしかない。誰にも知られぬよう避妊薬を用意し、夜殿の湯冷しに混ぜ、緊張を解くよと甘い言葉を囁き飲ませた。
早く戻ろうと思えば空船を使い、半分の日数で帰れたが、そこは気持ちの問題だ。あまり早く帰ってしまうと、戻るのも簡単だと思えてしまう。
それでも途中で何度も逃げ出したいと思った。しかし、国を思えばそれもできない。
国に戻れば3日掛けて帰還の祝賀会が行われ、隣には華やかに彩ったアリシア嬢がいる。
帰還の祝賀会が終われば、婚約式が行われ、婚姻後に住む屋敷として王城東にある白鳥宮と呼ばれる離れが用意された。
ユグの荷物はすでに白鳥宮に運び込まれており、アリシアの部屋も用意されている。
ユグは自室に入ると人払をし、連日のパーティで疲れた体をソファに沈めた。
アリシアが近日、宮へ入る。
婚姻より先に関係を結べと言う事らしい。幼い頃より許嫁であるのだ。待たせた時間の方が長い。
戦地へ赴く前は、アリシアを好ましく思っていた。皆に祝福され、羨まれ、誇らしく思っていた。このままアリシアと婚姻し、アリシアの家の後ろ盾を得て、次期王の座を手にし、偉大なるこの国の王になるのだと思っていた。それが己の道であると。
静かな宮の中にいると、ドールが蔓延る地など夢のようだ。死と隣り合わせの地にいると生を強く思う。
宮は静かであるが物足りず、人の思惑の何と醜いことかと辟易する。
身の世話をする侍女でさえ、醜い思惑に塗れている。気が休まらず神経が冴える。ドールのいない地での方が気が冴えるなど、感覚がおかしくなっている。
あの地での自身がおかしいのだと、ユグは忘れることに努めた。
美味いものを食い、美しい物を見て、楽しく振る舞う。酒は極上、取り巻くのは見目麗しい者たち。
アリシアはその者たちに囲まれてもさらに上を行く美貌の持ち主で、その振る舞いも清らかで、礼儀正しく、貴族らしい慎みもある。
アリシアを侍らせると周りが去る。気を利かせた行動であるが、ユグは望んでおらず、しかし、アリシアを無下にもできず、愛しむふりをすれば、周りがいっそう羨んで見る。
アリシアは微笑み、頬を染め、寄り添い、潤んだ瞳で見つめて来る。
頬に触れ、髪にキスをし、甘い囁きを耳元に吐く。
馬にアリシアを乗せ、近くの湖まで遠乗りに出て、城下町に仲睦まじい姿を見せる。
王や王妃、上級貴族に招かれ、何日もお茶会や夜会に出席した。
アリシアは白鳥宮に輿入れすると、ユグのお忍びを待っている。そういうものだとお付きの者に言われた。
その日の湯殿には薔薇が浮かび、上級な香料を付けさせられた。
周りにお膳立てされる行為は義務でしかない。誰にも知られぬよう避妊薬を用意し、夜殿の湯冷しに混ぜ、緊張を解くよと甘い言葉を囁き飲ませた。
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