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王城内のハーツ専用の部屋に押しかけて来て数日、紘伊の身の回りの世話をトマスがしてくれている。トマスと会ったのは、ハーツのいる獣人国に来て滞在したホテルでだった。あの時は人化していたが、今は本来の姿に戻っていて、トマスはヤギの獣人で、頭部の左右の角と小さな耳で種族がわかる。
「実際、トマスさんはどうなの?」
ハーツは会議に出席してるから部屋にいない。ハーツのいない間にと思い、昼食の用意を持って来てくれたトマスに話しかければ、トマスは何の事だと疑問の表情を見せた。
「ハーツの事だよ。俺はこの国の事がよくわからないからね、ハーツが周りにどの立場を望まれているのかも知らないし、ウェルズ領に戻るのが許される事なのかも知らないんだよ。ハーツはその辺りを教えてくれないから、トマスさんなら教えてくれるかもって」
両手を合わせるお願いのポーズが獣人国に通用するとは思えないが、トマスは給餌の手を止めて紘伊を見る。半ば諦めの表情に見える態度だったけど、ため息混じりに答えてくれた。
「元々ひとつ所におさまらない性質の方ですので、ウェルズ領に定住されるのを望む声もありますが、どうせ長くは続かないとの意見もあります。未だに伴侶の座を狙う者も多数おりますし」
紘伊の思っていた内容とは違う意見に驚いてしまった。どうやら紘伊はハーツの側にいすぎて、外にも出ていなかった為、ハーツのモテっぷりを忘れていたようだ。
「ですので早く契約の儀を受け、正式なハーツェリンド様の伴侶となり、お子をお産みになられたら良いのです」
紘伊は忘れていた——正確には記憶の奥に押しやっていた現実を思い出した。
「それはそうかもしれないけど、ハーツは契約しなくても良いって言ってたし、子どもも絶対には望んでいないって……」
紘伊は自分が身ごもる事への恐れを思い出した。
「ヒロイさまがお決めになる事です。私は一般的な意見を述べた迄」
昼食の用意を終えたトマスは、紘伊の習慣に合わせて一礼をすると、部屋を出て行った。
王城でのメニューは人に合わせてある。今日は卵とハムのサンドウィッチとトマトスープとサラダだ。バスケットに二段重ねで入っているサンドウィッチは量が多くて食べきれないが、だいたい食べ終わる頃にハーツが戻って来て手伝ってくれる。それを期待して食べ始めた。
珍しく昼食時に来客がある。ドアがノックされて返事をすると、ゆっくりとドアが開いた。みんな紘伊の部屋に来る者は人の習慣を学んで来る。来客もドアを潜る前に一礼をした。
「実際、トマスさんはどうなの?」
ハーツは会議に出席してるから部屋にいない。ハーツのいない間にと思い、昼食の用意を持って来てくれたトマスに話しかければ、トマスは何の事だと疑問の表情を見せた。
「ハーツの事だよ。俺はこの国の事がよくわからないからね、ハーツが周りにどの立場を望まれているのかも知らないし、ウェルズ領に戻るのが許される事なのかも知らないんだよ。ハーツはその辺りを教えてくれないから、トマスさんなら教えてくれるかもって」
両手を合わせるお願いのポーズが獣人国に通用するとは思えないが、トマスは給餌の手を止めて紘伊を見る。半ば諦めの表情に見える態度だったけど、ため息混じりに答えてくれた。
「元々ひとつ所におさまらない性質の方ですので、ウェルズ領に定住されるのを望む声もありますが、どうせ長くは続かないとの意見もあります。未だに伴侶の座を狙う者も多数おりますし」
紘伊の思っていた内容とは違う意見に驚いてしまった。どうやら紘伊はハーツの側にいすぎて、外にも出ていなかった為、ハーツのモテっぷりを忘れていたようだ。
「ですので早く契約の儀を受け、正式なハーツェリンド様の伴侶となり、お子をお産みになられたら良いのです」
紘伊は忘れていた——正確には記憶の奥に押しやっていた現実を思い出した。
「それはそうかもしれないけど、ハーツは契約しなくても良いって言ってたし、子どもも絶対には望んでいないって……」
紘伊は自分が身ごもる事への恐れを思い出した。
「ヒロイさまがお決めになる事です。私は一般的な意見を述べた迄」
昼食の用意を終えたトマスは、紘伊の習慣に合わせて一礼をすると、部屋を出て行った。
王城でのメニューは人に合わせてある。今日は卵とハムのサンドウィッチとトマトスープとサラダだ。バスケットに二段重ねで入っているサンドウィッチは量が多くて食べきれないが、だいたい食べ終わる頃にハーツが戻って来て手伝ってくれる。それを期待して食べ始めた。
珍しく昼食時に来客がある。ドアがノックされて返事をすると、ゆっくりとドアが開いた。みんな紘伊の部屋に来る者は人の習慣を学んで来る。来客もドアを潜る前に一礼をした。
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