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87 居場所
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紘伊はハーツのそばにいる選択をした。その選択は間違っていないようで、ハーツは紘伊のやりたいようにさせてくれようとしたけど、紘伊が好きなのは獣人のハーツで、人化したハーツを紘伊は望んでいない。
紘伊は自分の気持ちを固め、一呼吸おいて顔を上げ、ハーツに笑顔を見せると、たくさんキスをして腫れたように感じる唇をハーツの唇に触れさせた。
「ハーツ、ハーツは何になりたい?」
「紘伊の望むものに」
ハーツの願いはずっと変わらない。でも最初から王になる気も領主になる気もなかったと思う。自由な立ち位置だからこそ、向こうに行って裏の仕事を担っていたのだと思う。それに兄弟仲が悪い訳でもない事を知っている。ただ王であった兄がハーツを恐れてしまった。離れている時間が長かったせいと、向こうでのハーツの仕事が思った以上の功績をあげたせいもある。要はハーツが力を持ち過ぎたのだ。
「俺はユウとの約束があるし、向こうだとエルが窮屈そうだと思うし」
ハーツの背中に腕を回しながらキスの距離でハーツを見つめる。
「ハーツと毎日会いたい」
そう言うとハーツが嬉しそうに表情を崩し、紘伊を抱きしめてくれた。胸元に抱き込まれると少し柔らかめな胸の獣毛にくすぐられて気持ちいい。
「門をウェルズの家と繋いでしまおうか」
「そんな事ができるの?」
ハーツの言葉を聞いて体を起こす。
門は現在、王城の地下室と研究施設の地下と繋がっている。今回はエルの能力が作用して門が開き、紘伊の望む場所、ハーツの居場所へ導かれたのだが、これはきっと頻繁にできるものではない。
「こうして突然ヒロイが現れるのも嬉しいが、特殊な方法は後にどんな副作用があるか分からないから、あまり多用しない方が良いだろう」
ハーツの言いように紘伊は不貞腐れる。エルに気持ちを読まれるくらい、ハーツに会いたかった。そう思わせるくらいハーツは紘伊を放置していたのだ。
「だったらもっと会えるようにしてくれよ」
体勢を替えてハーツの仰向けの上に乗る。呼吸で上下するのを楽しみながら、全てが密着する事でハーツを強く感じる。
「次期王の選別は長期を要する。俺がいない方が纏まるかもしれない。ヒロイが望むのなら向こうで暮らす。ヒロイがウェルズに居たいと望むのなら、領の仕事を手伝う事にする。俺の全てをヒロイに委ねる。もうヒロイを寂しくさせない。それにエルが懐きすぎるのも勘に触る」
「嫉妬?」
そう言うとハーツに抱き込まれて位置を替えられた。ハーツの両腕の間で仰向けになっていて、深く唇を合わせられ、苛立つように攻められた。
「エルはおまえの竜だ。多少は目を瞑る。だがお前の全ては俺のものだ。嫉妬させるな」
だったら毎日側にいて、毎日抱きしめられる距離で眠って欲しい。
「ウェルズに帰ろうかな」
激しいキスの合間に吐息のような言葉を伝えた。息で笑ったハーツの表情が格好良過ぎて蕩けてしまう。
「ヒロイの望み通りに、愛してるよ、ヒロイ」
もう心も体も蕩けている。全てがハーツに捕えられている。
「俺も愛してる、ハーツ」
何度してもしたりない。ハーツが欲しい。ハーツに求められて紘伊の中の寂しさが埋められて行く。
紘伊は自分の気持ちを固め、一呼吸おいて顔を上げ、ハーツに笑顔を見せると、たくさんキスをして腫れたように感じる唇をハーツの唇に触れさせた。
「ハーツ、ハーツは何になりたい?」
「紘伊の望むものに」
ハーツの願いはずっと変わらない。でも最初から王になる気も領主になる気もなかったと思う。自由な立ち位置だからこそ、向こうに行って裏の仕事を担っていたのだと思う。それに兄弟仲が悪い訳でもない事を知っている。ただ王であった兄がハーツを恐れてしまった。離れている時間が長かったせいと、向こうでのハーツの仕事が思った以上の功績をあげたせいもある。要はハーツが力を持ち過ぎたのだ。
「俺はユウとの約束があるし、向こうだとエルが窮屈そうだと思うし」
ハーツの背中に腕を回しながらキスの距離でハーツを見つめる。
「ハーツと毎日会いたい」
そう言うとハーツが嬉しそうに表情を崩し、紘伊を抱きしめてくれた。胸元に抱き込まれると少し柔らかめな胸の獣毛にくすぐられて気持ちいい。
「門をウェルズの家と繋いでしまおうか」
「そんな事ができるの?」
ハーツの言葉を聞いて体を起こす。
門は現在、王城の地下室と研究施設の地下と繋がっている。今回はエルの能力が作用して門が開き、紘伊の望む場所、ハーツの居場所へ導かれたのだが、これはきっと頻繁にできるものではない。
「こうして突然ヒロイが現れるのも嬉しいが、特殊な方法は後にどんな副作用があるか分からないから、あまり多用しない方が良いだろう」
ハーツの言いように紘伊は不貞腐れる。エルに気持ちを読まれるくらい、ハーツに会いたかった。そう思わせるくらいハーツは紘伊を放置していたのだ。
「だったらもっと会えるようにしてくれよ」
体勢を替えてハーツの仰向けの上に乗る。呼吸で上下するのを楽しみながら、全てが密着する事でハーツを強く感じる。
「次期王の選別は長期を要する。俺がいない方が纏まるかもしれない。ヒロイが望むのなら向こうで暮らす。ヒロイがウェルズに居たいと望むのなら、領の仕事を手伝う事にする。俺の全てをヒロイに委ねる。もうヒロイを寂しくさせない。それにエルが懐きすぎるのも勘に触る」
「嫉妬?」
そう言うとハーツに抱き込まれて位置を替えられた。ハーツの両腕の間で仰向けになっていて、深く唇を合わせられ、苛立つように攻められた。
「エルはおまえの竜だ。多少は目を瞑る。だがお前の全ては俺のものだ。嫉妬させるな」
だったら毎日側にいて、毎日抱きしめられる距離で眠って欲しい。
「ウェルズに帰ろうかな」
激しいキスの合間に吐息のような言葉を伝えた。息で笑ったハーツの表情が格好良過ぎて蕩けてしまう。
「ヒロイの望み通りに、愛してるよ、ヒロイ」
もう心も体も蕩けている。全てがハーツに捕えられている。
「俺も愛してる、ハーツ」
何度してもしたりない。ハーツが欲しい。ハーツに求められて紘伊の中の寂しさが埋められて行く。
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