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21 お勉強会

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 そりゃあね、教員免許は持ってるよ。いろんな資格もあるけど、幼児を見る資格とは違うと思うけど。

 図書館でユウとグランに会ってから、なぜか図書館の一階に大きなテーブルが持ち込まれていて、小さな教室状態になっている。国語と算数を日本語で教えている。給食っぽく軽い昼食が運ばれて来て、ホント、小学校と幼稚園の先生気分だ。トイレまで付き合うんだ。獣人の子は可愛いけど。そりゃあハーツがいなければ暇なんだけど。

「僕ら夏休みで領地からこのホテルに遊びに来ているんだよ」

 人的に言うと6年生のルカが言う。一番年上の子だ。

「ハーツは子どもがいないから、ここにいるのは珍しいんだよ」

「ハーツこわい」

 ユウが言う。そうしたら焦ったグランがユウの口を押さえている。

「そんな事を言ってヒロイがハーツをきらいになったらどうするの? ハーツにおこられるよ」

 小さな声が聞こえてしまった。ここは良くも悪くも声が響く。思わず笑ってしまった。

「大丈夫だよ、グラン、ハーツは優しいよ」

 そう言うとユウがえ~と言う。

「そんなに怖いの?」

「ハーツ、嫌だって言っても肩に乗せて来るし、苦しいって言っても離してくれない」

 ユウが不機嫌になる。思わず笑いそうになったのを留める。

「そっか、それはハーツが悪いね」

「ユウのお父さんはハーツと仲良しだからね。ユウを可愛がっているんだよ」

 ルカが教えてくれた。

「みんなのお父さんは兄弟とか親類とかそんな感じなの?」

「いろいろ。でも仲良しだよ。良く飲みに行ったり遊んだりしてる」

 なるほど、家族ぐるみの付き合いって事か。領地が同じなら学生の頃の友人だとも考えられる。でなければ紘伊に子どもを預けようとは思わないだろうし。

「おやすみはいつまで?」

「あと10日くらいだけど、もうすぐ領地の家に帰るよ」

「そっか、じゃあ、また領地で会えるのかな?」

「ハーツは知らない。いつもいないよ?」

「領地に帰らないの?」

 てっきりハーツが領主だと思っていた。この子達にハーツの事を聞くのは反則だろうか。

「ハーツはモテるからね~って母様が言ってる」

 グランがまたユウの口を押さえている。

「知ってるから大丈夫だよ、グラン」

「仕方ないよ、獅子族は元々モテる種族だからね。ハーツに選ばれたヒロイはすごいんだよ? 良かったね、ヒロイ」

 ルカに慰められる。獣人の美の基準は分からないけど、ハーツがモテるのは聞かなくても分かる。いろんな所に恋人がいても驚かない。

「良かったね、ヒロイ」

 ユウがルカの口まねをする。可愛いけど子どもは残酷だ。本当は選ばれていないんだよ? いっ時の気まぐれなんだよ? そんな事を子どもに言えない。重い何かが腹の奥に溜まる。でも覚悟のうえだ。子供たちとの時間も楽しい。美味しいお菓子を食べながら、勉強を見てあげられる。そう思えばこの時間が尊く思えた。
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