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27話 馬鈴薯
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やばー、死ぬほど売れるんだけど。
多分そこらの肉より量多いし、食べ応えもあってなおかつ破格で味もいい。
サンダーラビットは香草と混ぜてつくねっぽくしたやつを大量にスープにぶちこんで、セルフで食べてもらう感じで無料配布。
そしてその横にピンサンドベアの馬鈴薯焼きをこれも試食みたいな感じで串に刺して置いておいたら瞬く間に噂が広まって集客数がえらいことになった。
あっ、どうでもいいけど芋なんだけどさぁ~なんかこの世界ではイモって言うより馬鈴薯の方が通じるんだよね~~~解せぬ。
んで、ピンサンドベアはあらかじめ加工しておいたやつを長期保存できる容器に移し、料理のレシピを移した板を立てて、世の奥さま方歓喜する手抜き……ゴホンゴホンッ、ラクはや!ごつうま料理の作り方☆的なやつも一緒に宣伝する。
そしてそして、最後は駄目押しに某テレビショッピングもビックリな破格さでごりっごりに押ししていく。
「いらっしゃいませ~! お姉さんお姉さん、大変珍しいピンサンドベアのブロックも一緒にいかがです? なんと今なら100グラム300ペリト!! 他にはない、大破格ですよ~~~?」
「あらぁ~いいわねぇ!!……でも、調理が難しいんでしょ? まして家庭料理なんて……ねぇ?」
「それがなんと!! 炒めてもよし、スープに入れるもよし、パンに挟むもよし、はたまたおつまみにだって最適ななんでも使えちゃうお得な食材なんですよ? どうです、ワンブロック買ってみませんか?」
「もう一声ッ!!」
年配の女性のとなりから恰幅のいいマダムが声を挟む。
「っくぅ~~~!! 今日だけ特別大特価!! 同じお値段で3ブロックお付けして、なんと!!!!!!」
「1ペテ!!!!!! なんと1ペテでお売りします!!!!!!」(※約1000円くらい)
「買ったっ!!!」
「私もお願いっ!!!」
「俺も買いだ~~~!!!」
「毎度ありがとうございました!!」
ってな感じで、とりあえず売り切りたいこともあってバンバン破格の値段交渉でこの値段で落ち着いた。
いや~~~、本当はもっと安く……というか無料でもいいんだけど、流石にタダにしちゃうと次他のとこで買うときクレーマー続出しそうで……流石に他のこういう商売を売りにしてる人たちから恨まれたくないし、ある程度金銭的やり取りすることで商品価値もあげなきゃだし?
まぁ、色々あるけどとにかく在庫ゼロにするまではこの街で歩き回ってみようかなって感じ。
「明日は薬草とハーブ類もブレンドしたやつ売ってみるかぁ~」
∞∞∞∞∞∞
ヴィクトールは先日の瓦石竜プレツィヌスの襲撃があった集落の情報の聞き込みにガウル王国から南西に位置する国境付近のゴトバ駐屯地に訪れ被害の状況や支援について確認し、本題のローイズ・ウィリアンについて伺う。
ゴトバ駐屯地第一部隊長クルトはヴィクトールにこう述べた。
「ハッ、ローイズ・ウィリアンと思われる人物から風魔法の伝達が届き、高度の魔法技術、そして魔法の残滓の形跡から高濃度な魔力を確認。そして音声ともにローイズ・ウィリアン本人と思われます」
こちらを、と手渡された紙は伝達魔法から出てきたとされるものが残ったもので、自筆であろうその文と内容は緊急性の高いもので荒れていても可笑しくはないはずなのに丁寧に書かれた書面は大変読みやすく、なにより美しかった。
「これが本当に風魔法で?」
「ハッ、間違いないかと」
ヴィクトールはその事実に息を飲んだ。
風魔法の伝達は最近ようやく確立されたもので、なおかつ空気抵抗や風圧で紙や封が擦りきれてもおかしくない。
いや、実際は届くのが早ければ早いほど、距離が遠ければ遠いほど擦りきれていることがほとんどだ。
だのに、かの者は熟練の魔術師でも到着するのに早くも三日三晩掛る魔力操作の難しいグリッウォ山脈から出された伝達が、状態を維持したまま分かる限りでは一日も……いや、数刻も掛らずに届いたというではないか。
「こちらに早く連絡が行き届いたことで被害も最小限に留まり、魔獣の駆除も完了していたことから我が隊員達に被害はありませんでした」
「そうか」
「そして集落の者に聞き込みに及んだところ、ローイズ・ウィリアンと思われる少年とAランクの冒険者のゲルグ・モーラントが魔獣の討伐と支援を行ったとのこと」
「……なぜローイズ・ウィリアンと断言しない」
「実は……集落の者が言うには少年はその名を使ってはおらずレーナと名乗っており、現在その人物の調査を進めている段階であります」
「レーナ? それは事実か?」
「ハッ、確認済みです」
ヴィクトールは次から次へと出てくる新たな情報を脳裏に刻み、先日出会った中性的な少年を思い浮かべる。
もし、これらが全て本当であれば相手の実力を見誤ったものだと自身の憶測に訂正を入れた。
「ゲルグ・モーラントの所在は分かるか」
闇雲に探すより接触したものを当たる方が効率がいい、ヴィクトールはそう考えると同時にローイズ・ウィリアンことまだ見ぬレーナに無自覚に急く想いを馳せるのであった。
多分そこらの肉より量多いし、食べ応えもあってなおかつ破格で味もいい。
サンダーラビットは香草と混ぜてつくねっぽくしたやつを大量にスープにぶちこんで、セルフで食べてもらう感じで無料配布。
そしてその横にピンサンドベアの馬鈴薯焼きをこれも試食みたいな感じで串に刺して置いておいたら瞬く間に噂が広まって集客数がえらいことになった。
あっ、どうでもいいけど芋なんだけどさぁ~なんかこの世界ではイモって言うより馬鈴薯の方が通じるんだよね~~~解せぬ。
んで、ピンサンドベアはあらかじめ加工しておいたやつを長期保存できる容器に移し、料理のレシピを移した板を立てて、世の奥さま方歓喜する手抜き……ゴホンゴホンッ、ラクはや!ごつうま料理の作り方☆的なやつも一緒に宣伝する。
そしてそして、最後は駄目押しに某テレビショッピングもビックリな破格さでごりっごりに押ししていく。
「いらっしゃいませ~! お姉さんお姉さん、大変珍しいピンサンドベアのブロックも一緒にいかがです? なんと今なら100グラム300ペリト!! 他にはない、大破格ですよ~~~?」
「あらぁ~いいわねぇ!!……でも、調理が難しいんでしょ? まして家庭料理なんて……ねぇ?」
「それがなんと!! 炒めてもよし、スープに入れるもよし、パンに挟むもよし、はたまたおつまみにだって最適ななんでも使えちゃうお得な食材なんですよ? どうです、ワンブロック買ってみませんか?」
「もう一声ッ!!」
年配の女性のとなりから恰幅のいいマダムが声を挟む。
「っくぅ~~~!! 今日だけ特別大特価!! 同じお値段で3ブロックお付けして、なんと!!!!!!」
「1ペテ!!!!!! なんと1ペテでお売りします!!!!!!」(※約1000円くらい)
「買ったっ!!!」
「私もお願いっ!!!」
「俺も買いだ~~~!!!」
「毎度ありがとうございました!!」
ってな感じで、とりあえず売り切りたいこともあってバンバン破格の値段交渉でこの値段で落ち着いた。
いや~~~、本当はもっと安く……というか無料でもいいんだけど、流石にタダにしちゃうと次他のとこで買うときクレーマー続出しそうで……流石に他のこういう商売を売りにしてる人たちから恨まれたくないし、ある程度金銭的やり取りすることで商品価値もあげなきゃだし?
まぁ、色々あるけどとにかく在庫ゼロにするまではこの街で歩き回ってみようかなって感じ。
「明日は薬草とハーブ類もブレンドしたやつ売ってみるかぁ~」
∞∞∞∞∞∞
ヴィクトールは先日の瓦石竜プレツィヌスの襲撃があった集落の情報の聞き込みにガウル王国から南西に位置する国境付近のゴトバ駐屯地に訪れ被害の状況や支援について確認し、本題のローイズ・ウィリアンについて伺う。
ゴトバ駐屯地第一部隊長クルトはヴィクトールにこう述べた。
「ハッ、ローイズ・ウィリアンと思われる人物から風魔法の伝達が届き、高度の魔法技術、そして魔法の残滓の形跡から高濃度な魔力を確認。そして音声ともにローイズ・ウィリアン本人と思われます」
こちらを、と手渡された紙は伝達魔法から出てきたとされるものが残ったもので、自筆であろうその文と内容は緊急性の高いもので荒れていても可笑しくはないはずなのに丁寧に書かれた書面は大変読みやすく、なにより美しかった。
「これが本当に風魔法で?」
「ハッ、間違いないかと」
ヴィクトールはその事実に息を飲んだ。
風魔法の伝達は最近ようやく確立されたもので、なおかつ空気抵抗や風圧で紙や封が擦りきれてもおかしくない。
いや、実際は届くのが早ければ早いほど、距離が遠ければ遠いほど擦りきれていることがほとんどだ。
だのに、かの者は熟練の魔術師でも到着するのに早くも三日三晩掛る魔力操作の難しいグリッウォ山脈から出された伝達が、状態を維持したまま分かる限りでは一日も……いや、数刻も掛らずに届いたというではないか。
「こちらに早く連絡が行き届いたことで被害も最小限に留まり、魔獣の駆除も完了していたことから我が隊員達に被害はありませんでした」
「そうか」
「そして集落の者に聞き込みに及んだところ、ローイズ・ウィリアンと思われる少年とAランクの冒険者のゲルグ・モーラントが魔獣の討伐と支援を行ったとのこと」
「……なぜローイズ・ウィリアンと断言しない」
「実は……集落の者が言うには少年はその名を使ってはおらずレーナと名乗っており、現在その人物の調査を進めている段階であります」
「レーナ? それは事実か?」
「ハッ、確認済みです」
ヴィクトールは次から次へと出てくる新たな情報を脳裏に刻み、先日出会った中性的な少年を思い浮かべる。
もし、これらが全て本当であれば相手の実力を見誤ったものだと自身の憶測に訂正を入れた。
「ゲルグ・モーラントの所在は分かるか」
闇雲に探すより接触したものを当たる方が効率がいい、ヴィクトールはそう考えると同時にローイズ・ウィリアンことまだ見ぬレーナに無自覚に急く想いを馳せるのであった。
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