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26話 大好き、大好き、大好き……うそつき。
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なんで、なんで……なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでッッッ!!!!!!!!!
あの人は私のものなのに!!!
私の方がずっとずっと知ってるのに!!!!
あの人の一番は私!!!!!
あの人の大切なものも私!!!!!
あんな女なんかより私の方がずっとずっともっとっ!!!!!!!!!!!
だって……だって、私を一人にしないって、約束してくれたじゃない____
魔力があった。
スキルも属性も普通の人よりもうんと高くて5歳の頃には査定もなしで自分の魔法が何であるのかなんて、とうの昔に分かってた。
だからお父さまやお母さまが下さったぬいぐるみやお人形達を使ってお披露目したの。
「……なんてことをしてるんだっ!!」
「女の子がこんなに魔力があるなんて……アリーシェ様はお見捨てになられたの…………」
「え?」
それからすぐ私は屋敷の奥深くへ幽閉され、後日我が一族は女児に魔力が多く固有スキルを持って生まれるとその一族は途絶えるとされていることを知り、私は泣き叫んだ。
私が男の子だったらよかったの?
私がなにも持って生まれてこなければよかったの?
私を大好きだと言ってくれた言葉は嘘だったの?
抱き締めてくれたのも、私が一番大切だと、かわいいと言ったのも、沢山のものをくれたのも、一緒に眠ってくれたのも全部全部……うそだったの?
いや、そんなのいや……いや、いやよ、いや……いやなの、どうして? わたし、だってなんにも…………なんにもっ………………。
わたしはなんにもしてないのに!!!!
「ぜんぶいらないから、だれか……ここから出して……だしてよ、お父さま……お母さま…………ぅうっ」
それからずっと泣いても叫んでも、ずっとずっと一人ぼっちで、食事だって小さな穴から気まぐれに少しずつしか出されない。
お風呂なんてなかったから自分でクリーンを覚えた。
明かりもない、薄暗い部屋はたまにネズミが入り込み、埃にまみれた部屋でずっとずっーーーと…………ずっと一人ぼっちだった。
でもある日、数年振りにお父様が私に会いに来てくださった。
とても嬉しくて嬉しくて仕方がなかった。
だけど、お父さまは私になんの見向きもせずに腕を鷲掴みズルズルと外へと引きずり出し、知らない男の人がいる馬車へと放り込んだ。
男の人は私をしっかりと抱き止め、父に向かって口を開く。
「おい……旦那、本当にいいのか?」
「構わん、もうこれには用はない。 さっさと連れていけ」
一体、何を言われているのか理解できなかった。
いままでだって、なんだかんだと屋敷で生活はできて、お父さまもお母さまもきっとお忙しくて会いに来てくださらないだけなのだと自分に言い聞かせてた。
きっとまた、いつか普通に生活できると夢見て__
だから、こんなのだってきっと嘘で、信じたくなくて__
「お、とう……さま?」
「忌み子が、私に口を利くんじゃないッッッ!!」
「ひっ」
馬車の扉を蹴飛ばすように閉め、私を憎しみこもった目で見つめる父だった男に私は一つ、涙をこぼした。
男の奥には、母だった女が赤子を抱いて背を向けている。
赤子は__男児だった。
「ひどい……ひどい、ひどいひどいひどいひどいひどいひどいっ!!!!!!!!! ____絶対に赦さない、絶対に…………ッ」
「おい、やめろ!!」
「はなして!! 離してよ!!! 離しなさいよっ!!!!」
今だしっかりと私を抱き止めたままだった男の人は、暴れる私をそのまま押さえ込み御者に指示を出し屋敷から離れていく。
「あの家を赦さない!!!! あなたも、あなた達も邪魔するなら赦さない!!!!!」
「なにも知らないくせに!!!! なにも知ろうとしなかったくせに!!!!!! 私はなにもしてないのにッッッ!!!!!!!!」
「あんな家滅びてしまえばいい!!!! あんな赤子なんて死んでしまえ!!!!! あの男もあの女も、メイドも執事も、犬も猫も鳥も何もかも全部全部、ぜんぶっ死んでしまえッッッ!!!!!!!」
泣きわめき、魔力の乗りきらない呪いを吐き散らす私を何を言わずにずっと、男の人は抱き止めてくれた。
喉が枯れ、涙が枯れ、もう暴れる気力もなくなった私は男の人の胸にもたれ掛りながら憎さと悔しさ、悲しさや寂しさ、色々な感情がせめぎ合いながら力の入らない手で顔を覆った。
男の人は私が抵抗の意思がないことがなことが分かるとそっと力を緩め、優しく頭を撫で静かに口を開いた。
「……お前はよくやったよ、お前は強い子だ」
「……もう大丈夫だ、俺が居るから」
「俺はゲルグ、ゲルグ・モーラント……お前を保護することになった」
「憎むなとは言わない、だが……これからはもっと他も見ろ、外を知れ」
「お前をもう一人にはさせない」
____、私はあなたに一番愛されたかったの。
大好き、大好き、大好き……うそつき。
…………いじわるして、ごめんなさい。
大好きだよ、ゲルグ。
あの人は私のものなのに!!!
私の方がずっとずっと知ってるのに!!!!
あの人の一番は私!!!!!
あの人の大切なものも私!!!!!
あんな女なんかより私の方がずっとずっともっとっ!!!!!!!!!!!
だって……だって、私を一人にしないって、約束してくれたじゃない____
魔力があった。
スキルも属性も普通の人よりもうんと高くて5歳の頃には査定もなしで自分の魔法が何であるのかなんて、とうの昔に分かってた。
だからお父さまやお母さまが下さったぬいぐるみやお人形達を使ってお披露目したの。
「……なんてことをしてるんだっ!!」
「女の子がこんなに魔力があるなんて……アリーシェ様はお見捨てになられたの…………」
「え?」
それからすぐ私は屋敷の奥深くへ幽閉され、後日我が一族は女児に魔力が多く固有スキルを持って生まれるとその一族は途絶えるとされていることを知り、私は泣き叫んだ。
私が男の子だったらよかったの?
私がなにも持って生まれてこなければよかったの?
私を大好きだと言ってくれた言葉は嘘だったの?
抱き締めてくれたのも、私が一番大切だと、かわいいと言ったのも、沢山のものをくれたのも、一緒に眠ってくれたのも全部全部……うそだったの?
いや、そんなのいや……いや、いやよ、いや……いやなの、どうして? わたし、だってなんにも…………なんにもっ………………。
わたしはなんにもしてないのに!!!!
「ぜんぶいらないから、だれか……ここから出して……だしてよ、お父さま……お母さま…………ぅうっ」
それからずっと泣いても叫んでも、ずっとずっと一人ぼっちで、食事だって小さな穴から気まぐれに少しずつしか出されない。
お風呂なんてなかったから自分でクリーンを覚えた。
明かりもない、薄暗い部屋はたまにネズミが入り込み、埃にまみれた部屋でずっとずっーーーと…………ずっと一人ぼっちだった。
でもある日、数年振りにお父様が私に会いに来てくださった。
とても嬉しくて嬉しくて仕方がなかった。
だけど、お父さまは私になんの見向きもせずに腕を鷲掴みズルズルと外へと引きずり出し、知らない男の人がいる馬車へと放り込んだ。
男の人は私をしっかりと抱き止め、父に向かって口を開く。
「おい……旦那、本当にいいのか?」
「構わん、もうこれには用はない。 さっさと連れていけ」
一体、何を言われているのか理解できなかった。
いままでだって、なんだかんだと屋敷で生活はできて、お父さまもお母さまもきっとお忙しくて会いに来てくださらないだけなのだと自分に言い聞かせてた。
きっとまた、いつか普通に生活できると夢見て__
だから、こんなのだってきっと嘘で、信じたくなくて__
「お、とう……さま?」
「忌み子が、私に口を利くんじゃないッッッ!!」
「ひっ」
馬車の扉を蹴飛ばすように閉め、私を憎しみこもった目で見つめる父だった男に私は一つ、涙をこぼした。
男の奥には、母だった女が赤子を抱いて背を向けている。
赤子は__男児だった。
「ひどい……ひどい、ひどいひどいひどいひどいひどいひどいっ!!!!!!!!! ____絶対に赦さない、絶対に…………ッ」
「おい、やめろ!!」
「はなして!! 離してよ!!! 離しなさいよっ!!!!」
今だしっかりと私を抱き止めたままだった男の人は、暴れる私をそのまま押さえ込み御者に指示を出し屋敷から離れていく。
「あの家を赦さない!!!! あなたも、あなた達も邪魔するなら赦さない!!!!!」
「なにも知らないくせに!!!! なにも知ろうとしなかったくせに!!!!!! 私はなにもしてないのにッッッ!!!!!!!!」
「あんな家滅びてしまえばいい!!!! あんな赤子なんて死んでしまえ!!!!! あの男もあの女も、メイドも執事も、犬も猫も鳥も何もかも全部全部、ぜんぶっ死んでしまえッッッ!!!!!!!」
泣きわめき、魔力の乗りきらない呪いを吐き散らす私を何を言わずにずっと、男の人は抱き止めてくれた。
喉が枯れ、涙が枯れ、もう暴れる気力もなくなった私は男の人の胸にもたれ掛りながら憎さと悔しさ、悲しさや寂しさ、色々な感情がせめぎ合いながら力の入らない手で顔を覆った。
男の人は私が抵抗の意思がないことがなことが分かるとそっと力を緩め、優しく頭を撫で静かに口を開いた。
「……お前はよくやったよ、お前は強い子だ」
「……もう大丈夫だ、俺が居るから」
「俺はゲルグ、ゲルグ・モーラント……お前を保護することになった」
「憎むなとは言わない、だが……これからはもっと他も見ろ、外を知れ」
「お前をもう一人にはさせない」
____、私はあなたに一番愛されたかったの。
大好き、大好き、大好き……うそつき。
…………いじわるして、ごめんなさい。
大好きだよ、ゲルグ。
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